内田勘太郎のスゴい足跡

 豪快なボトルネック奏法から繊細なフィンガー・ピッキングまで、閃きに満ちた奔放なプレイがまさに〈圧倒的〉な天才肌のギタリスト、内田勘太郎。そのスゴさが世に広まったのは、もちろん木村充揮らと70年に結成した憂歌団の活動を通じて。彼はここでブルースはもちろんジャズやボサノヴァを形式ではなく感覚で掴み取ったような独自の演奏スタイルを確立する。98年には憂歌団の冬眠を前に初ソロ作『マイ・メロディ』(CDは廃盤)を発表し、このレコーディング・メンバーと共に内田勘太郎トリオを結成。この頃にはすでに沖縄へと移住しており、本人の優しい歌声とゆったりとしたフィーリングが音楽的な特色になっていく。穏やかなギター・インスト集『チャキ シングス』をはじめ、ソロ作はいずれもリラックス感に溢れた名品だ。ほかにも宮古島出身の下地勇の作品に参加したり、オリオンビールのCMソングを手掛けたりと、沖縄を拠点に活動を続けてきたわけだが、2011年頃より木村とステージに上がる機会が増え、同年の〈フジロック〉に寺岡呼人、斉藤ノブも迎えた〈団〉名義で出演。翌年には三木たかしのトリビュート盤にて木村と“北の螢”をカヴァーという伏線もありつつ、ドラマー・島田和夫の死がきっかけとなって、2013年に憂歌団を復活させる。さらに今年に入って木村との憂歌兄弟も本格始動。還暦とは思えぬ弾けっぷりがやはりスゴい!

憂歌団のベスト・アルバム『Complete Best 1974-1997 + LIVE ANALOGUE』収録曲“パチンコ~ランラン・ブルース”のパフォーマンス映像

 

▼関連作品

左から、憂歌団のベスト盤『Complete Best 1974-1997 + LIVE ANALOGUE』(フォーライフ)、内田勘太郎トリオの2001年作『暴風波浪警報』、内田勘太郎の2002年作『チャキ シングス』、2009年作『サマータイムブルース』(すべてオーマガトキ)、2012年のコンピ『オリオンビール55周年記念 オリオンビールCMソング大全集』(テイチク)、同年のコンピ『もしも明日が~三木たかしトリビュート~』(ユニバーサル)、憂歌兄弟の2014年作『憂歌兄弟』、憂歌団の2014年のライヴDVD「憂歌団からの便り。~島田和夫祭り~」(共にSPACE SHOWER)
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