ライトニング・ボルトやホワイト・ストライプス、キルズといった前例からもあきらかだが、2人編成のバンドはミニマルな構造ゆえ、その制約から生まれる高い創造性と原始的なエネルギーを剥き出しにする。さかしたひかる(ヴォーカル/ギター)と長谷川啓太(ドラムス)から成るドミコの2作目もまた然り。その楽曲のベースとなるのは、前作『soo coo?』同様、ループ・エフェクターを駆使したフレーズの反復だ。しかし、ループをはみ出すような勢いのロック・ナンバー“マカロニグラタン”“こんなのおかしくない?”からニール・ヤングに触発されたというトリッピーなフォーク“怪獣たちは”まで、針の振り切れ具合は前回を軽く凌駕する。さらに、グラマラスな歌声のなかにマック・デマルコの如きファニーな脱力感を漂わせるさかしたの描く歌詞世界も、配信曲“くじらの巣”で予見されていたように、リズミックな言葉遊びからシュールな情景描写へとスピンアウト。リスナーを誘い、その先へどこまでも。