私が目にしたJACOの印象的なカットはすべてここに網羅されていると言っても過言ではない。日本の地下鉄でベースを裸で持ち歩く写真は専門誌の表紙になったし、アルバム『Invitation』ジャケットの絵も、元は内山繁氏の写真だ。ステージの写真からは、表現者としての集中、躍動が伝わってくるし、オフショットでのお茶目な一面は親しい人にしか見せないそれを感じさせる。世界一のベーシストから世界一の称号を与えられた写真家は、余すことなくその音楽、そしてJACOの人としての側面をも私たちに伝えてくれる。被写体を冷静に見つめつつも、そこには深い愛情があることはこの本を手に取ればきっと感じてもらえると思う。