INTERVIEW

クリスチャン・スコット インタヴュー 動くこと 居続けないこと―ジャズ100周年3部作が完結

Photo:Ayaka Matsui/協力:Billboard Live TOKYO

 

MOVE――動くこと 居続けないこと 3部作『The Centennial Trilogy』完結

 編集者が渡した本誌を、スコットはめくる。すると、彼がプロデュースしたシンガーのサラ・エリザベス・チャールズの記事を認めて、「お、乗っているじゃん。嬉しいなあ」と微笑む。

 また、上原ひろみとエドマール・カスタネーダの双頭作の広告を見つけ、「ヒロミはよく知っている。バークリーで一緒だったから。心が綺麗な人だよね。ほんと、会うたびにそれに感心していたんだ」

 人に、積み重ねあり。蛇足だが、バークリー音大時代の同級生にはエスペランサもいて、一時2人は恋仲にあった。ちなみに、サイバー・ジャズの最たる担い手である彼は随時若手の奏者にバンド入りのチャンスを与えていているが、その指針は「人気があるかどうかなんて無関係。ちゃんと音を聞くことができて、それから〈話す〉べき時まで待つことができる人を、俺は選ぶんだ」。

 ところで、2017年は〈ジャズ生誕100周年〉となる年である。それを受けて、スコットは〈ジャズ100周年3部作〉と銘打ち、現代性にあふれた3枚のアルバムを見事にリリースした。

 「16歳の頃から、それを祝うアルバムを出すことを考えていた。当初はバカにされもした奴隷たちの表現が100年たって、こうした美しい文化として結晶しているわけで、それをちゃんと示すことが必要だと思った。そして、俺はアルバム表題に表れているように3つのテーマ~メッセージを掲げて、3作品にしたわけだ」

 それらは根底にちゃんとジャズの本質が息づくとともに、今の空気感や刺や広がりにも満ちる。見事だ。

 「俺は人が見るように音楽を捉えないし、当然ジャンルでも人種でも分けない。音楽が存在する意義は、いろんな人とコミュニケート出来る最良の手段であること。とにかく、ジャンルというのは壁を作るだけで、マイナス極まりないコンセプトと言うしかない」

 ニューオーリンズ(1983年)生まれ、大学時代を過ごしたボストンを経て、彼は長年NYに住んでいた。だが、7ケ月前にLAに引っ越したという。

 「同じ所に長くいすぎるのは、俺にとってあまり心地いいことではない。ある一定の場所に7~8年住んでいると、その文化の中の一員になってしまって、それを外から見ることができなくなってしまう。だから、次の作品を作るにあたり、新しい場所に動かなきゃいけないと思った。第一、俺はアメリカ人であるとも思っていないし、どこがホームであるとかも決めていない。ツアーしている状態が、ホームと言えるね」

 次から、また新しい〈時期〉に突入。独立独歩の漢、クリスチャン・スコットにはますます目がはなせない。

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