このジャンルにおける古典中の古典であるテレマンの《12の幻想曲》を中心に、ニールセンやオネゲル、武満、ペルトといった近現代作品を織り交ぜ、幅広いレパートリーを持つパユならではの〈笛一本〉の世界を作り上げた一枚。曲順もユニークで、テレマンの12曲と近現代の作品が交互になるよう配置されている。つまり次の曲に進む際に毎回200~300年の時間差が発生するというわけだ。聴いているうちに時代感覚が麻痺してくるのが面白く、音楽の普遍的魅力にも気づくことができる。息や風など空気の存在を強く感じられる作品が多く、音そのものについて考えるきっかけにもなるだろう。