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私は好きなものは好きって言っていきたいタイプだから

――好きなことが仕事につながったという意味ではTBSラジオ「ぼんやり審議会」への出演もあったじゃないですか。

※2017年6月19日放送

「フフフフ、ありましたね。最近も『TBSラジオPRESS』のコメントを書かせてもらったり、ありがたいです。ファンの方がぜんぜんついて来られない夜中のツイートとかもけっこう見てもらえてるのかなと思って」

――深夜にラジオについてつぶやいたりしてますけど、本来はゲスいAMラジオが好きな人だから、実はもっとゲスい話が好きだったりするんですかね?

「……どうなんだろう?」

――ボクらは気を遣って一切そういうこと言わないようにしてますけど、ちゃんと受け身を取れたりするのかなって。

「あぁ……どうなんだろうな、わかんない(笑)。深夜ラジオを聴いててもわかんない単語とかけっこうあります、あえて調べないですけど」

――基本、世の中を斜めに見るような人たちが聴くのがAMラジオだと思うんですよ。

「ファンの人にも〈AMはモテないよ〉って言われました(笑)」

――そりゃそうですよ!

「TBSラジオが好きです」

――それは信用できるんですけど、モテるモテないでいったら……。

「モテないですよね(笑)。ラジオが好きな友達がいて、〈バナナマンが好きでめっちゃ聴きたいんだけど、会社でラジオの話ってなかなか難しいから、あんまりラジオばっかり聴いてられないんだよね〉って言われて、べつに好きなもの聴いてればいいじゃんと思ったんですけど。〈ラジオだと話が合わないからさ〉って言われたとき、〈えぇっ?〉と思って」

――〈昨日の「バナナムーンGOLD」の野呂佳代、最高!〉みたいな話はなかなかできないわけですね。

「そうなんですよ。社会人ってそうなのかと思って。私は好きなものは好きって言っていきたいタイプだから」

――この仕事がいいのはそこじゃないですか。好きって言ってればそれが仕事につながるかもしれないっていう。堂島孝平さん好きだって言ってたら曲を書いてくれるかもしれないとか。

「ホントに。豪さんが前に〈そういうのはTwitterとかで絶対に言ってったほうがいい、本人に届くときもあるから〉って言ってくださった頃から、わりとそういうの大事だなと思って」

――それが何かを変える可能性もありますからね。それこそ藤井隆さんも、音楽活動をやってたけど手応えないと思ってあきらめてたときに、〈宇多丸さんがラジオで絶賛してましたよ、ボクも大好きです〉って伝えたことで、もう一回やろうと決意した、みたいな〉

「そうなんだ……」

 

ヤバい、悔しいみたいなのがけっこうありましたね

――そういえば、堂島さんがNegiccoに書いた曲をKinKi Kidsに聴かせたら、〈これはほかの人にあげちゃダメです〉って言われたって噂はホントなんですか?

「それは違うんですよ。たぶんジャニーズさんのほかのグループの曲で、〈KinKi のこの曲みたいな感じで書いてほしい〉って話をもらって作ってKinKi Kidsさんに聴かせたら、〈それ、俺らにちょうだい〉ってなったっていう話と、堂島さんは堂島さんでKinKi KidsさんにNegiccoの話をよくしてたらしくて、その話が混ざって、Negiccoの歌を奪ったのか、みたいな話になったらしいんです」

――そういうことなんですか。そんな流れで、Negiccoサイドが大人として許可を出したみたいな美しい話になってたのが。

「違うんです。やっぱりKinKiさんの曲の感じでって言ったから、もちろんKinKiさんも気に入る曲が出来上がってっていうことらしいです。しかもそれ、堂島さんが作るっていうことも言えなかった頃のライヴでの発言だったから、〈え、Negiccoの次、堂島さん?〉ってなって。で、〈次のシングルは堂島さん〉って発表されて、〈やっぱりあのときの!〉みたいな(笑)。でも、あのときはちょっとザワザワしましたね、なんでバレてるんだって」

『MY COLOR』収録曲“愛、かましたいの”

――それが“愛、かましたいの”だった、と。〈エビネギ〉の話もちょっとしたいんですけど。

「〈エビネギ〉……久々にヤバいなって思ったのは〈エビネギ〉のリハのときで。あんまり闘うとかって意識もないし、アイドル・イヴェントとか出てもそんなに危機感を感じることってないというか、〈ネギはネギだし〉っていう甘えじゃないけど」

――別枠っていう感じで。

「うん、まあいっかと思ってたけど、いざエビ中さんと一緒にやるってなって、マイクで声を通したときにぜんぜん声量が違くて。チャオベラ(チャオ ベッラ チンクエッティ)さんのときにも経験したことがあって。〈あの、マイクぜんぜん聞こえないんですけど……〉って3人で言ってたら、〈ご自身で声を調整してください〉みたいなことをPAさんに言われて」

――つまり〈あなたが勝手に大きな声を出して下さい〉と(笑)。

「それ以来かな。一緒に歌うときに、エビ中さんの声量がすごすぎて自分たちの声が聞こえない、みたいな。私たちもちゃんとやるんですけど、お立ち台の位置だったり、ステージの階段ふうにハシゴみたいに線が引いてあるとこをちゃんと歩いて行くとか、こんなにキッチリやってるんだと思って。なんとなくでしか見てなかった部分を、実際にプロのアイドルさんってこういうふうにやってるんだって思ったし、自分はそれができてないっていうのがわかって」

――アップフロントなりスタダ(スターダスト)なり、大きな事務所でちゃんとキャリアを積んできた人たちは実力が違うっていう。

「ぜんぜん違うと思って。筋力をつけなきゃとか、体力をつけなきゃとか」

――ちゃんとジムに行かないとって。

「うん、なりましたね。その直前にノロで倒れてて、体力も落ちに落ちて、食べれなくて。いろいろヤバいなって思ってた気がします」

――それをハッキリと見せつけられて。イヴェント自体はすごい平和的で、向こうもべつに敵意も何もなくピースフルな感じでしたけど。

「なかではヤバい、悔しいみたいなのがけっこうありましたね。これは失礼になっちゃうかなと思って」

――2019年開催が発表された久しぶりの〈エビネギ〉で、多少は体力ついて変わったところが見せられるんですかね。

「ね、だからホントに準備しなきゃって思ってます。来年パワーアップして対バンしたいですね」

――あの後、松野莉奈さんが亡くなって、送る会にも行ってましたよね。

「行きました。メンバーさんとお会いしたとき、すごい笑顔で迎えてくださったんですけど、3人ともやっぱりこらえられなくて。メンバー自身がしっかりしてなきゃいけないと思ってるんだろうなって思ったけど、誰よりつらいはずだけど強くいなきゃっていう、その姿を見るのがつらくて……」

――話を変えましょう。この2年間では〈AKB紅白〉出演も大きいんじゃないですか?

※2017年12月10日の〈第7回 AKB48紅白対抗歌合戦〉

「〈AKB紅白〉は楽しかったです。やっとちゃんとNGTさんと関われて。きくち伸さんが仕切りだったから実現して」

――フジテレビのきくちさんが。

「きくちさんが1年間いろんなことをやってくださって。それもエビネギからつながってたりするんですけど」

――〈AKB紅白〉の日は「BUBKA」の編集長がものすごい興奮してたんですよ。生歌慣れしてないAKBのメンバーにスタダの若い歌唱メンバーをぶつけたりで、〈たいへんなことが起きた! ガチだらけの恐ろしいイヴェントだった!〉〈AKBのガチ恋のヲタが集まってるなかで“アイドルばかり聴かないで”を歌うNegiccoも恐ろしかった!〉って(笑)」

「きくちさん、どこ行ってもセトリに〈アイばか〉(“アイドルばかり聴かないで”)を入れるんです(笑)」

――〈ここでは歌いづらいです〉みたいなことは考えない(笑)。

「でも、意外とファンの方も笑ってたからよかったなと思って。〈おまえ!〉みたいな人はいなかったから。Negicco以外にも地方系のアイドルさんを呼ぶかと思いきや、きくちさんだからスターダストさんの方々とかモーニング娘。さんとかを呼んだ、すごいイヴェントでしたね。でも、思ったよりも緊張しなかった気がします。ガチンコ3さん、毎回お会いするたびすごいなーと思ってて。カッコイイ」

――そして、さっき言ったみたいに興奮した原稿を「BUBKA」で書いたらスタダの川上(アキラ)さんが喜んで、ももクロが「BUBKA」解禁になるみたいな流れになったらしいです。

「きくちさんすごい(笑)」

 

武道館……私はずっとノーだったんですよ

――あとこれは聞きづらいですけど、ちょっとした噂を聞いたんですよ。

「なんの噂ですか?」

――この2年間でNegiccoたいへんな危機があった説です。

「……〈辞める辞めない〉みたいな話ですか?」

――そうです。武道館でライヴをやるかどうかみたいな話になったときに。

「うん、ありました。武道館……私はずっとノーだったんですよ。武道館はやらないほうがいい派。でも、〈どうする?〉って話になったときに、2人は〈やる〉に近かったと思うんです。それで、一回持ち帰るって話になったけど、持ち帰ったままなんにもせず(笑)。結局、「15周年のタイミングに合わせてやらないことにしました〉って言われるまで」

――どうしてやらないほうがいい派だったんですか?

「15周年だからっていう理由で(武道館に)立つことに関して……なんだろう?」

――無理すれば武道館でもできる、ぐらいの状況が嫌だったんですか?

「うーん……いちばんあったのは、武道館に立つことで私自身のモチベーションが保てなくなる気がしたんですね」

――ここで力尽きちゃうんじゃないかと。

「そう、〈はい達成、解散!〉みたいな(笑)。〈卒業!〉なのかわかんないけど。もう武道館やったしなっていう達成感で気持ちが保てなくなるのがすごく嫌だったのと、でも〈やっぱりやろうよ、体力的にも20周年じゃなく15周年だよ〉っていうメンバーからの話もあって、それもそうだなと思って。

でも、その話が出たあとに、なんとなく雰囲気がよくなくて。こんなことでぶつかるぐらいだったら武道館なんて絶対に無理だなって思ってたんですよね、言わなかったけど。こんなんで武道館なんて無理じゃんって、ふつうに考えて」

――武道館が、それくらいのプレッシャーになってたんですね……。

「やるって決めることでグループがグチャグチャしていくぐらいなら、なんでやるの?っていうか」

――もっと楽しく活動したほうがいいじゃんって。

「そうですね。そう思ってやる武道館ってどう考えても楽しくないし」

――どうして長年の夢だったはずの武道館が、そんなにみんな追い込まれちゃうぐらいのものになっちゃったんですかね?

「うーん……いま武道館規模の人を集めることができるっていう状況だったら違うかもしれないけど、それがぜんぜん見えてなかったから」

――それをあきらめたことでいい流れにはなった?

「なりましたね。2人はわりと武道館やりたいって感じだったと思うから、ちょっと迷いました。私がやらないって言っちゃうのはって」

――でも、そういう状況でやってたらたぶん恐ろしいことになってたはずですよね。

「そうですね、いいライヴはできてなかったと思うし……」

――人間関係も崩れるぐらいの。

「もしかしたら歌もダンスも超よくなってる可能性もあるけど」

――その緊張感によって(笑)。

「じゃあ楽しいかって言われたらわかんないですね」​

――この2年間、武道館もなくなって、活動のペースとしてもガツガツとシングルを出すような感じでもなくなったのは、かえぽ的にはいい流れなんですかね?

「いまはすごい楽しくやれてます。休みがぜんぜんなくて頭がいっぱいいっぱいで次の仕事のこと考えられないとか、睡眠時間が足りてなくてうまくしゃべれないとか、そういうことはないから」

――聴かなきゃいけないラジオが溜まる程度の忙しさで。

「ハハハハハハ! そうですね、ラジオは滞りますけど、それくらいかな。やらなきゃいけないこととやりたいことが、どっちもできてるかなとは思います」

――これなら続けていけそうな実感がある。

「うん、続けていけそうというか、続けていきたいという気持ちになるような状況」

――もう転職サイトには登録しない?

「メルマガは全部解除したはずです(笑)。やっぱり音楽が好きだから、歌は歌っていたいですね。ダンスはいまだにちょっとわかんないですけど(笑)」

――ソロ(“あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)”)も超よかったですもんね。

「うわぁーっ!」

――スカートの澤部渡さんとの絡みもいいし。

「澤部さんいいですよね(笑)」

Kaedeの2017年のシングル“あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)”

――鈴木亜美の“それもきっとしあわせ”のカヴァーも最高だし、声質がホントに合ってると思います。

「おぉっ、ありがとうございます!」

――あの危うげな曲と。

「危うげな歌と(笑)」

――ちょうどいいバランスで(笑)。いい儚さが出てると思います。

「そういうのって作ってできるものではないから。うまくはないんですけど、その感じがいいのかなとは思ってます」

――歌については一時期ものすごい悩んでましたけど、最近どうですか?

「いまはすごいコントロールできるというか、体力がついたからなのかわかんないですけど、最近は〈どうしよう、失敗するかも。どうしよう?〉っていうステージじゃなくて、〈あ、声が出る!〉みたいな。お腹に力を入れる感じがつかめたみたいなのがあって。

完璧に歌えてるわけではないんですけど、歌がうまくいく、いかないをずっと考えながらやるワンマンってけっこう多かったんですけど、それよりもちゃんと周りを見たり、ダンスをもうちょっとこうしたらいいかなって考えながらできるようになってきて」

――前はいくら考えても、それがプラスにならない感じだったんでしょうね。

「ずっと考え続けて、結局全部うまくいかない、みたいな。歌以外のことに集中できない時期がけっこう長かったんですけど、いまはいい形になってきてるのかなと思う」

――すごくいい歌声を持ってる人ですからね。

「ありがとうございます。声を誉めてもらえることが多くて」

 

もうぜんぜん悩んでないです、なんにも(笑)

――結論としては、かえぽとしてはいい流れになってるんですね。

「そうですね。ネギは看板を下ろさなくてもイケるのかなっていう気はしてるんですよ。解散しますみたいなことじゃなくて、個々でいろいろやりたいことが出てきても」

――たまに集まって何かやるようなバランスで。

「そんなケースでもできそうな気が」

――年1で何かやるぐらいでも。

「それは楽しそう。いますぐは嫌だけど」

――みんな三十路になったら、いつまでにアルバムリリースしなきゃみたいなことに縛られず、たまーにシングルを出して、たまーになんかやるとかでもぜんぜんいいと思いますよ。

「楽屋に子連れで来て」

――それぐらいの感じでいいから、続けてほしいですよ。

「続けたいですね。やめないことが大事だなとは思ってます。うまくはないけど、続けることがたぶんいちばんの力になると思うから」

――正直、いちばん危ういのがかえぽだと思ってましたからね。

「そうですね、私いつでも抜けそうだし(笑)」

――いつも何か悩んでるっていう。

「もうぜんぜん悩んでないです、なんにも(笑)。めちゃめちゃ楽しいですね。なんか抜けました」

――じゃあ、これからほかの2人の悩みを聞きますよ。

「はい、お願いします。たぶん私に言えないことがいろいろあると思うので」

――かえぽは突き抜けたんですね。

「突き抜けました。それもあるのかも。心の負担がなくなったから歌もそんなに」

――メンタルが大きいと思いますよ。

「心がダメなときはホントにダメです、歌に出る。私はもうぜんぜん大丈夫なので。2人は抱えてるかもしれないです」

――じゃあ聞いてきます。

「お願いします」