地元・新潟を拠点に活躍するアイドル・グループ=Negiccoが、シングル“愛、かましたいの”“カリプソ娘に花束を”を含む4作目となるフル・アルバム『MY COLOR』を7月10日(火)にリリースする。これを記念し、プロインタヴュアーの吉田豪が彼女たちひとりひとりに直撃。2012年、2014年、2016年と折に触れてNegiccoへの取材を行ってきた吉田豪によるロング・インタヴューで、波乱に満ちたこの2年間を振り返る。3週連続掲載となるNegicco特集の第1回目にはKaede編を掲載。一時は転職すらも考えたという〈かえぽ〉ことKaedeは、新たな転機を迎えていた。 *Mikiki編集部
もう25だしなー、アイドルじゃないなー
――そんなわけで2年ぶりのインタヴューです!
「よろしくお願いします」
――前回の取材が2016年の8月で、アルバム『ティー・フォー・スリー』が出た直後というか、NHKホールでワンマンをやった直後だったんですけど、それを思うとこの2年間ってだいぶモードが変わった気がするんですよね。ソロだのカセットだのを除くと、リリースもシングル2枚(“愛、かましたいの”“カリプソ娘に花束を”)とベスト盤1枚(『Negicco 2011~2017 -BEST- 2』)というかなり緩やかな活動ペースになって。
「緩やかですね。NHKまではブワーッといってた気がするけど、ちょっと落ち着こう、みたいな」
――NHKで〈ちょっと待て。武道館をこのまま一気に目指すのはまず考えよう〉って状態になったわけじゃないですか。
「ああ、そうだ」
――けっこうな転機ですけど、みなさんはどう思っているんでしょうか?
「NHKの次ってZepp※とかでしたっけ? そのへんの記憶がちょっと消えてますね……うわ、ホントに記憶ないです! 〈三人祭り〉※※って3年前でしたっけ?」
――ですね。イヴェントでいうと私立恵比寿中学との〈エビネギ〉※1とか苗場の〈私をネギーに連れてって〉※2とかがあった時期で。
「〈エビネギ〉が去年?」

――2017年の頭で、前のインタヴューの時点でやることは決まってたぐらいの状態です。そして2年前のインタヴューの時点では、元BELLRING少女ハート・もえち(宇佐美萌)との対談が終わって、じつはその対談が大きな役割を果たしてたことが判明したという。
「ああ、大きかったですね」
――〈アイドルを辞めようと思ったときにこんな幸せな仕事はないって言ってくれる友達がいた〉って発言してたのが、もえちのことですか?
「そうです。〈辞めてもなんもいいことないよ〉って言われて(笑)」
――その時期、ホントに転職先を探してたらしいですよね。
「ああ、『オーディオギャラクシー』ってRAM RIDERさんのネットラジオでトラックの話をしましたね」
――一時はトラックの運転手になろうとしていたという。
「っていうか調べたときに出てくるのが運送業が多くて」
――つまり、転職サイトでふつうに調べるレベルで悩んで。
「そうですね、転職サイトに何個か登録して、〈あなたに合う情報が見つかりました〉みたいな」
――そしたら、大学まで行ったのにトラックの運転手が出てきて。
「運転ぜんぜんできないのに(笑)。免許はあるんですけど、3回ぐらいしか運転してないです」
――それぐらい本気で辞めようと考えた理由はなんだったんですか?
「25歳っていうのが一回いまある環境を手放したいみたいな気持ちになったタイミングだった気がしますね。20代後半に入るっていうことへの焦りみたいな。それで、ほかの仕事も考えてみようかなと思って調べたら、何もやりたいものがないと思って」
――アイドルを手放したいと思ったけど、代わりに手に入れたいものもなかった。
「何もなかった(笑)。でも、すごい焦ってた記憶はあります」
――ほかの人生も試してみたくて。
「でも、いまはぜんぜんそんなこと考えてないっていうか、もう覚悟を決めたので。……なんであんな焦ってたんだろうな?」
――いまとなっては、それぐらいの感じなんですね。
「なんだったんだろうっていうぐらい、あの年の9月前後は〈どうしようどうしよう〉ってなってて……あんまり覚えてないですね」
――ダハハハハ! 本気で悩んでたはずなのに!
「あのときはすごく深刻に考えてたと思うんですけど」
――決定的にこの仕事が嫌になったってわけでもなかったわけですよね。
「そうじゃないです。ただただ25歳という年齢に縛られて。〈いや、もう25だしなー、アイドルじゃないなー〉みたいな」

――そろそろ真っ当な人生に進まないとっていう。
「ちゃんと会社に入って仕事してないとマズい、みたいな。まあ仕事してるんですけど。あれ、なんだったんだろう? べつに家が危機的状況だったとかも何もないんですけど」
――手っ取り早くちゃんと稼がなければ、とかでもなく。
「わからないですけど、ホントに悩んでましたね。その当時ってほかのアイドルさんが辞めたりとかってありましたっけ?」
――その後のほうが多いと思いますよ。むしろ、いまっていうか。
「うん、ホントいまですよね」
自分たちの気持ちを保てる環境にいるから3人がいま頑張ってやれていると思うので
――それこそ震災前から活動してたような人たちがどんどん力尽きていったり、はるかに若い人たちも大人があきらめちゃったり、いろんな事情で活動できなくなっていく人たちを見てどう思います?
「本人たちが決めたことなので、みたいなグループに関しては前向きだからいいなと思うんですけど、運営がやめたかったのかな、みたいなのが見えると、〈……あれ?〉って」
――最近よくありますね、メンバーがTwitterで〈私はやめたくないのに〉みたいなことを書いてるケースが。
「そういうの見ると、何があったんだろうって思うし、あらためて自分は恵まれてるなって思うし」
――周りの大人があきらめないでいてくれているから。
「ホントに。もちろん3人のモチベーションがなければ続かないんですけど、自分たちの気持ちを保てる環境にいるから3人がいま頑張ってやれていると思うので」
――この2年間の変化っていうと、チームNegiccoに雪田(容史/タワーレコード・T-Palette RecordsのNegicco担当。通称ゆっきー)さんが本格的に入って新潟に移住したのも大きいですかね。
「そうですね、ビックリしました(笑)。個人面談で呼び出されたとき、〈俺、新潟に行きます〉って言われて、〈いやいやいやいや、何言ってるんですか!〉みたいな。またいつもの冗談かと思ったらホントに来られて。今年は珍しくめちゃめちゃ寒い冬だったんで、お子さんとか大丈夫かなと思いながら」
――どんな変化がありました? 基本、現場にはいた人だからそんなには変わらないんですかね。
「前までは社長(熊倉維仁/通称クマさん)と石川さんっていうマネージャーが車で移動するときに雪田さんも一緒に来て、プラス私たち3人だったんですけど、それが社長は新潟で仕事してっていう感じになったので」
――クマさんが現場について来なくてもいいようになった。
「で、クマさんは新潟で謎にライヴやってたりするんですけど(笑)」
――自分の人生を楽しみ始めて。
「〈俺、今日は事務所で仕事しなきゃいけないから送れない〉って言われた日に逆立ちの画像がTwitterに上がってて、何やってんだこの人って(笑)。だから雪田さんといる時間が長くなりました」
――何かプラスはあるんですか? 運転は雪田さんのほうがいいとか。
「ああ……あんまりないかな(笑)」
宮城のおばあちゃんには〈いつ就職していつ結婚するんだ〉って言われます
――……あ、そういえば大事な話を忘れてました。始球式問題※ですよ!
「ハハハハハハ! ありましたねえ(笑)」
――Negiccoがひとりずつ始球式をやってきて、かえぽの番が来ました、練習もして頑張りました、ところが謎の報道が出ちゃいました、という流れだったわけですけど、あれはどういう心境でした?
「ねー、ホントにビックリしましたよね」
――県知事がスキャンダルを起こして、その代打みたいに報道されて。
「もともと県知事さんも出られる予定だったらしいんですけど、それもよくわからない。しかも、前回が雨で流れてなかったらそんなことにもなってないし、その頃から〈次、リベンジしようね〉って話にはなってたから。なのに報道する側としては〈緊急登板!〉みたいに書かれてて。一個一個に食ってかかる気もないけど、わかってほしいなと思って軽く書いたりはして」
――つまり、1人で始球式をやっていたはずが、雨のせいでズレ込んで県知事と2人でやることになり、そして県知事がキャンセルしたってわけなんですね。
「キャッチボールすらまともにやったことがなかったから急に言われてその日に投げるのは無理だし、グッズも作ってるし、ユニフォームだってひとりひとり特注で作ってもらってるし、当日作れるわけないのになあって思いながら。なんとなくモヤッとして終わってしまったところはあるんですけど、でも始球式自体は楽しかったです」
――サトウ食品とNegiccoの関係とか伝わってないのかって思いますよね。
「伝わってないみたいですね、サトウ食品さんのゲームだからっていうこともわかってれば、そんな話にはならないと思うんですけど」
――その結果、不本意ながら突然報道される側になり。
「『NEWS ZERO』に出て(笑)」
――政治色から遠い場所にいたはずのNegiccoが思いっきり巻き込まれるっていう(笑)。
「政治に関してはぜんぜんわからないんですけど、始球式はいい経験でした。投げる直前まで緊張しなくて、意外とイケるなと思って。ふつうに楽しかったです。サトウ食品さんの関係者の方がいらっしゃる場所でずっと〈ネギー! ネギー!〉って言い続けてる人がいて、それで和んで、〈あ、大丈夫だ。イケるわ〉と思って」
――それはサトウ食品の偉い人なんですかね?
「偉い人が〈ネギー! 頑張れネギー!〉って。あ、名前は言ってくれないんだと思いながら(笑)。サトウ食品の社長さんもボールを受け取ったときに〈ネギネギー!〉ってやってくれたから、私もやって、これは大丈夫と思って。
私のおじいちゃんも観に来てくれたんですよ。おじいちゃんはすごい身だしなみとか気をつける人だったんですけど、最近、髪を整えたりもしなくなっちゃって。〈おじいちゃん、ちょっと元気ないからマメに行ってあげて〉とか言われてたら、始球式に来てくれて〈すげえよかったぞ!〉って。阪神ファンなんですけど(笑)」
――孫が野球に関わるだけでもうれしいんでしょうね。
「喜んでくれたみたいで。おじいちゃんおばあちゃん孝行はしていきたいですね」
――テレビに出るなりの活動って、そういう面でも大きいじゃないですか。
「親もそうだし、おじいちゃんおばあちゃんも観られるように、いまCMやらせてもらえてるから」
――サトウ食品はデカいですよね。年末になれば流れまくるから。
「ホントにありがたい。でも、宮城のほうのおばあちゃんには〈いつ就職していつ結婚するんだ〉って言われます」
――世の中のルールを押しつけられる(笑)。
「正月とかに行ったときにそういう圧力みたいなものをチラッと感じて。〈いつどんな職に就いて、子供はいつ?〉って、そりゃそういうふうに見るよなー、みたいな。それもあったのかも」
――ボクも30歳ぐらいまで、親には〈ちゃんとした仕事はまだしないのか〉〈いつ黒い髪にしてネクタイをするんだ〉的に言われてましたよ。
「〈ちゃんとした〉って思ってもらえないところではあるんですよね」
――フリーターみたいなイメージでずっと見られてたんですけど、アイドルもそうなんでしょうね。ちゃんとした仕事とは思われにくい。
「うん、思ってもらえない」
――特に大学にまで行った人だと。
「そうですね、〈彼氏いないなら紹介するよ〉みたいなことまで親戚に言われて(笑)」
――かえぽはまだそこまで切実になる必要もないのに!
「でも、田舎のほうだと遅いって思うみたいです。〈26歳なんでしょ?〉みたいな。ぜんぜん結婚願望もないんですけど」

――ボクぐらいの歳になると同級生で独身はボクひとりみたいな世界なんですよ。同業者の先輩でも独身はどんどん減ってきて、リリー(・フランキー)さんと杉作(J太郎)さんぐらいしかいないんですよ。
「ハハハハハハ! 私も最近多いですね、同級生が〈結婚するから来て〉みたいな」
――2回、3回と結婚してる人間まで回りにいる中で、ボクはなんの人生経験も積んでないんだな、とか思いますよ。
「そっか……」
――ただ、Negiccoはメンバーが結婚しても続けられるグループにしたい、みたいなところはあるわけじゃないですか。
「そうですね。だから、いまじゃないと思うけどいつかはって思ってます」
――ファンもかなり受け入れてくれるグループだと思うんですよ。
「〈よかったじゃん!〉ってなる気はしますね」
――〈Nao☆ちゃん熱愛〉とかになっても、それで離れるファンが何人いるんだって感じで。〈いい人なら認める!〉って世界だと思うんですよ。
「〈どんな人なんだ?〉って親みたいに(笑)」
新潟だからいいけど、東京だったらもう生きてないだろうな……
――じゃあ、やっぱりネックは金銭面ですか。どうすればアイドルって食べていけるようになるんでしょうね。
「東京の方はみなさんどうされてるんですか? 新潟だからいいけど、東京だったらもう生きてないだろうな……」
――アイドルが水商売やってる話とかよく聞きますけど、やらざるを得ない状況が絶対あるんですよ。アイドルだけで生活できてたらやらないわけで。
「そうだよなあ……」
――Negiccoに関しては、ここまで来てそう簡単には辞められないっていうのはあると思うんですよ。
「そうですね、小学校から大学卒業までやって」
――ものすごい数のアイドルがいるなかで、この位置まで来るのもまず難しいわけで。まあ、この位置まで来るのに時間がかかりすぎてるグループではあるんですけど(笑)。
「そうですね(笑)」
――でも、緩やかに来たからこそ保ってる空気は絶対にありますから。地元の仕事が増えてるイメージもありますけど。
「ああ、高速道路の応援大使だったりとか」
――NoGoDというバンドの人が〈新潟には新幹線で行くとNGT48のポスターに迎えられるけど、バンドマンは車移動だからNegiccoへの思い入れが強い〉って話をしてました。パーキングのトイレに行くと必ずNegiccoがいるんですよね。
「なぜか男子トイレの中にだけ貼られてるらしくて」
――そうなんですか!
「女子トイレにはないんですよ。〈用を足すところにあるんだよ〉ってみんなに言われます」
――ボクもしょっちゅう遭遇してますよ。
「だからバンドさんには〈Negiccoがいてうれしい〉っていうのは言ってもらってます」
あのベルトに関してはなんでもありですもん
――地元の仕事が増えた流れともつながるかもしれないですけど、この2年間で大きな出来事があったじゃないですか。DDT(プロレスリング)のアイアンマンヘビーメタル級王者になったっていうエピソードが(笑)。
「ハハハハハハ! ありました。〈チャンピオンベルト持って帰っていいんですか?〉って言ったら、〈持って帰って〉って言われて、ユキ(Kaedeの愛犬)が一生懸命匂い嗅いで(笑)。たぶんいろんな人の匂いがするんだろうなって」
――相当闘ってきたじゃないですか。
「Negiccoとしても闘ったし、ひとりひとりも闘って」
――スーパー・ササダンゴ・マシンと接点ができたばっかりに、おかしなことに巻き込まれていくっていう。
「Meguが挑戦したとき、ササダンゴさんが車に轢かれてて。こんなこともありなベルト持ったらマズいだろと思って、いつ轢かれるかわかんないし。あのベルトに関してはなんでもありですもん」
――誰がいつ何を仕掛けてくるかもわからないから。
「ホント怖くて。でも、なんとかいいかたちで取り返してもらって」
――Negiccoがこういうのに巻き込まれるとは思ってなかったですからね。闘いとはいちばんほど遠いグループなのに。
「たしかに。でも、ベルトはうれしかったですね。タイミング的にツアーもあったから、ツアーにベルトを持って行って取り合いしたり(笑)。しかも、それが試合ってかたちになってるのもおもしろくて、DDTさんのTwitterで〈Kaede勝ち〉みたいな」
――動画が次々とアップされて。
「ただのNegiccoのツアーの宣伝みたいになってて(笑)」
――ササダンゴさんとの最初の接点は〈夏の魔物〉※ですか?
「かな? たぶん〈魔物〉ですね」
――緑色なだけでタッグを組まされて。
「フフフフ。あの当時、ササダンゴさんが何を言ってるかわかんなくて。でも、いまはプレゼンとかでいろいろ話されてて、やっぱり頭いいなって」
命が削れました
――話は変わって、「命削れてた」「寿命縮みそう」とかTwitterに書いてたのはなんだったんですか?F
「ああ、〈世田谷コンサート〉※のときピアノを弾いたんですよ。あと、新曲の歌詞がけっこう難しくて誰も覚えられなくて。結局ちょっと調整したんですけど。ピアノに関しては週に何回か、4時間とか5時間とかずっと連続で練習してたんですけど、やってもやってもできなくて。22日の〈世田谷〉ってストリングスも入ってたから、その方々に失礼だなと思って。
家にちっちゃめのキーボードがあって、ぜんぜん鍵盤が足りないんですけど、それを持ってって練習してて。これで大丈夫そうと思ったら、いざ本番となると指が震えて震えてうまく弾けなくて。ひとりで弾き語りだと自分のペースで全部歌い続けてるからいいんですけど、3人だと歌ったり歌わなかったり上だったりハモッたりっていうのが難しくて大変でした」
――それで命が削れた。
「命が削れました。精神的に削れて。いい経験ではあったんですけど。この感じの恥ずかしいのを見てもらったから、もう何も怖くない(笑)」
――「もうちょい器用に生きたい」とかもTwitterに書いてましたよね。
「ああ、それはなんだったかな。たぶんやることが溜まってて、一個やり始めるとほかのことができなくて、そのピアノのときだと思うんですけど。ただ、体力というか集中力みたいなものは大学に行ったことでだいぶ鍛えられた気がします。短い時間でいかに詰め込むか、みたいな」
――大学に行ってた頃、あきらかに寝てないぐらいの状態だった時期があったじゃないですか。
「寝てなかったし、あの頃のほうがダンスも激しいものが多かったから」
――それを思うと、少しはいい流れにはなってるんじゃないですか?
「そうですね、大学に行っておいてよかった。大学の知識はぜんぜん使ってないけど(笑)」
――その知識を使う仕事をするべきなんですかね?
「でも、したいと思わないんですよね。もう勉強はいい、やり切ったっていう」
――これ見よがしに白衣着て、あざとい感じの理系アイドルみたいな方向は。※
「ぜんぜんいいって感じです。大学4年生になった時点で、これは違うなって思ってたから。もし就職するってなったとしても理系の仕事っていうよりは、ふつうにしたいなって。勉強したことを活かしたような仕事には就けないなと思ってて」
私は好きなものは好きって言っていきたいタイプだから
――好きなことが仕事につながったという意味ではTBSラジオ「ぼんやり審議会」への出演※もあったじゃないですか。
「フフフフ、ありましたね。最近も『TBSラジオPRESS』のコメントを書かせてもらったり、ありがたいです。ファンの方がぜんぜんついて来られない夜中のツイートとかもけっこう見てもらえてるのかなと思って」
――深夜にラジオについてつぶやいたりしてますけど、本来はゲスいAMラジオが好きな人だから、実はもっとゲスい話が好きだったりするんですかね?
「……どうなんだろう?」
――ボクらは気を遣って一切そういうこと言わないようにしてますけど、ちゃんと受け身を取れたりするのかなって。
「あぁ……どうなんだろうな、わかんない(笑)。深夜ラジオを聴いててもわかんない単語とかけっこうあります、あえて調べないですけど」
――基本、世の中を斜めに見るような人たちが聴くのがAMラジオだと思うんですよ。
「ファンの人にも〈AMはモテないよ〉って言われました(笑)」
――そりゃそうですよ!
「TBSラジオが好きです」
――それは信用できるんですけど、モテるモテないでいったら……。
「モテないですよね(笑)。ラジオが好きな友達がいて、〈バナナマンが好きでめっちゃ聴きたいんだけど、会社でラジオの話ってなかなか難しいから、あんまりラジオばっかり聴いてられないんだよね〉って言われて、べつに好きなもの聴いてればいいじゃんと思ったんですけど。〈ラジオだと話が合わないからさ〉って言われたとき、〈えぇっ?〉と思って」
――〈昨日の「バナナムーンGOLD」の野呂佳代、最高!〉みたいな話はなかなかできないわけですね。
「そうなんですよ。社会人ってそうなのかと思って。私は好きなものは好きって言っていきたいタイプだから」
――この仕事がいいのはそこじゃないですか。好きって言ってればそれが仕事につながるかもしれないっていう。堂島孝平さん好きだって言ってたら曲を書いてくれるかもしれないとか。
「ホントに。豪さんが前に〈そういうのはTwitterとかで絶対に言ってったほうがいい、本人に届くときもあるから〉って言ってくださった頃から、わりとそういうの大事だなと思って」
――それが何かを変える可能性もありますからね。それこそ藤井隆さんも、音楽活動をやってたけど手応えないと思ってあきらめてたときに、〈宇多丸さんがラジオで絶賛してましたよ、ボクも大好きです〉って伝えたことで、もう一回やろうと決意した、みたいな〉
「そうなんだ……」
ヤバい、悔しいみたいなのがけっこうありましたね
――そういえば、堂島さんがNegiccoに書いた曲をKinKi Kidsに聴かせたら、〈これはほかの人にあげちゃダメです〉って言われたって噂はホントなんですか?
「それは違うんですよ。たぶんジャニーズさんのほかのグループの曲で、〈KinKi のこの曲みたいな感じで書いてほしい〉って話をもらって作ってKinKi Kidsさんに聴かせたら、〈それ、俺らにちょうだい〉ってなったっていう話と、堂島さんは堂島さんでKinKi KidsさんにNegiccoの話をよくしてたらしくて、その話が混ざって、Negiccoの歌を奪ったのか、みたいな話になったらしいんです」
――そういうことなんですか。そんな流れで、Negiccoサイドが大人として許可を出したみたいな美しい話になってたのが。
「違うんです。やっぱりKinKiさんの曲の感じでって言ったから、もちろんKinKiさんも気に入る曲が出来上がってっていうことらしいです。しかもそれ、堂島さんが作るっていうことも言えなかった頃のライヴでの発言だったから、〈え、Negiccoの次、堂島さん?〉ってなって。で、〈次のシングルは堂島さん〉って発表されて、〈やっぱりあのときの!〉みたいな(笑)。でも、あのときはちょっとザワザワしましたね、なんでバレてるんだって」
――それが“愛、かましたいの”だった、と。〈エビネギ〉の話もちょっとしたいんですけど。
「〈エビネギ〉……久々にヤバいなって思ったのは〈エビネギ〉のリハのときで。あんまり闘うとかって意識もないし、アイドル・イヴェントとか出てもそんなに危機感を感じることってないというか、〈ネギはネギだし〉っていう甘えじゃないけど」
――別枠っていう感じで。
「うん、まあいっかと思ってたけど、いざエビ中さんと一緒にやるってなって、マイクで声を通したときにぜんぜん声量が違くて。チャオベラ(チャオ ベッラ チンクエッティ)さんのときにも経験したことがあって。〈あの、マイクぜんぜん聞こえないんですけど……〉って3人で言ってたら、〈ご自身で声を調整してください〉みたいなことをPAさんに言われて」
――つまり〈あなたが勝手に大きな声を出して下さい〉と(笑)。
「それ以来かな。一緒に歌うときに、エビ中さんの声量がすごすぎて自分たちの声が聞こえない、みたいな。私たちもちゃんとやるんですけど、お立ち台の位置だったり、ステージの階段ふうにハシゴみたいに線が引いてあるとこをちゃんと歩いて行くとか、こんなにキッチリやってるんだと思って。なんとなくでしか見てなかった部分を、実際にプロのアイドルさんってこういうふうにやってるんだって思ったし、自分はそれができてないっていうのがわかって」
――アップフロントなりスタダ(スターダスト)なり、大きな事務所でちゃんとキャリアを積んできた人たちは実力が違うっていう。
「ぜんぜん違うと思って。筋力をつけなきゃとか、体力をつけなきゃとか」
――ちゃんとジムに行かないとって。
「うん、なりましたね。その直前にノロで倒れてて、体力も落ちに落ちて、食べれなくて。いろいろヤバいなって思ってた気がします」
――それをハッキリと見せつけられて。イヴェント自体はすごい平和的で、向こうもべつに敵意も何もなくピースフルな感じでしたけど。
「なかではヤバい、悔しいみたいなのがけっこうありましたね。これは失礼になっちゃうかなと思って」
――2019年開催が発表された久しぶりの〈エビネギ〉で、多少は体力ついて変わったところが見せられるんですかね。
「ね、だからホントに準備しなきゃって思ってます。来年パワーアップして対バンしたいですね」
――あの後、松野莉奈さんが亡くなって、送る会にも行ってましたよね。
「行きました。メンバーさんとお会いしたとき、すごい笑顔で迎えてくださったんですけど、3人ともやっぱりこらえられなくて。メンバー自身がしっかりしてなきゃいけないと思ってるんだろうなって思ったけど、誰よりつらいはずだけど強くいなきゃっていう、その姿を見るのがつらくて……」
――話を変えましょう。この2年間では〈AKB紅白〉※出演も大きいんじゃないですか?
「〈AKB紅白〉は楽しかったです。やっとちゃんとNGTさんと関われて。きくち伸さんが仕切りだったから実現して」
――フジテレビのきくちさんが。
「きくちさんが1年間いろんなことをやってくださって。それもエビネギからつながってたりするんですけど」
――〈AKB紅白〉の日は「BUBKA」の編集長がものすごい興奮してたんですよ。生歌慣れしてないAKBのメンバーにスタダの若い歌唱メンバーをぶつけたりで、〈たいへんなことが起きた! ガチだらけの恐ろしいイヴェントだった!〉〈AKBのガチ恋のヲタが集まってるなかで“アイドルばかり聴かないで”を歌うNegiccoも恐ろしかった!〉って(笑)」
「きくちさん、どこ行ってもセトリに〈アイばか〉(“アイドルばかり聴かないで”)を入れるんです(笑)」
――〈ここでは歌いづらいです〉みたいなことは考えない(笑)。
「でも、意外とファンの方も笑ってたからよかったなと思って。〈おまえ!〉みたいな人はいなかったから。Negicco以外にも地方系のアイドルさんを呼ぶかと思いきや、きくちさんだからスターダストさんの方々とかモーニング娘。さんとかを呼んだ、すごいイヴェントでしたね。でも、思ったよりも緊張しなかった気がします。ガチンコ3さん、毎回お会いするたびすごいなーと思ってて。カッコイイ」
――そして、さっき言ったみたいに興奮した原稿を「BUBKA」で書いたらスタダの川上(アキラ)さんが喜んで、ももクロが「BUBKA」解禁になるみたいな流れになったらしいです。
「きくちさんすごい(笑)」
武道館……私はずっとノーだったんですよ
――あとこれは聞きづらいですけど、ちょっとした噂を聞いたんですよ。
「なんの噂ですか?」
――この2年間でNegiccoたいへんな危機があった説です。
「……〈辞める辞めない〉みたいな話ですか?」
――そうです。武道館でライヴをやるかどうかみたいな話になったときに。
「うん、ありました。武道館……私はずっとノーだったんですよ。武道館はやらないほうがいい派。でも、〈どうする?〉って話になったときに、2人は〈やる〉に近かったと思うんです。それで、一回持ち帰るって話になったけど、持ち帰ったままなんにもせず(笑)。結局、「15周年のタイミングに合わせてやらないことにしました〉って言われるまで」
――どうしてやらないほうがいい派だったんですか?
「15周年だからっていう理由で(武道館に)立つことに関して……なんだろう?」
――無理すれば武道館でもできる、ぐらいの状況が嫌だったんですか?
「うーん……いちばんあったのは、武道館に立つことで私自身のモチベーションが保てなくなる気がしたんですね」
――ここで力尽きちゃうんじゃないかと。
「そう、〈はい達成、解散!〉みたいな(笑)。〈卒業!〉なのかわかんないけど。もう武道館やったしなっていう達成感で気持ちが保てなくなるのがすごく嫌だったのと、でも〈やっぱりやろうよ、体力的にも20周年じゃなく15周年だよ〉っていうメンバーからの話もあって、それもそうだなと思って。
でも、その話が出たあとに、なんとなく雰囲気がよくなくて。こんなことでぶつかるぐらいだったら武道館なんて絶対に無理だなって思ってたんですよね、言わなかったけど。こんなんで武道館なんて無理じゃんって、ふつうに考えて」
――武道館が、それくらいのプレッシャーになってたんですね……。
「やるって決めることでグループがグチャグチャしていくぐらいなら、なんでやるの?っていうか」
――もっと楽しく活動したほうがいいじゃんって。
「そうですね。そう思ってやる武道館ってどう考えても楽しくないし」
――どうして長年の夢だったはずの武道館が、そんなにみんな追い込まれちゃうぐらいのものになっちゃったんですかね?
「うーん……いま武道館規模の人を集めることができるっていう状況だったら違うかもしれないけど、それがぜんぜん見えてなかったから」
――それをあきらめたことでいい流れにはなった?
「なりましたね。2人はわりと武道館やりたいって感じだったと思うから、ちょっと迷いました。私がやらないって言っちゃうのはって」
――でも、そういう状況でやってたらたぶん恐ろしいことになってたはずですよね。
「そうですね、いいライヴはできてなかったと思うし……」
――人間関係も崩れるぐらいの。
「もしかしたら歌もダンスも超よくなってる可能性もあるけど」
――その緊張感によって(笑)。
「じゃあ楽しいかって言われたらわかんないですね」

――この2年間、武道館もなくなって、活動のペースとしてもガツガツとシングルを出すような感じでもなくなったのは、かえぽ的にはいい流れなんですかね?
「いまはすごい楽しくやれてます。休みがぜんぜんなくて頭がいっぱいいっぱいで次の仕事のこと考えられないとか、睡眠時間が足りてなくてうまくしゃべれないとか、そういうことはないから」
――聴かなきゃいけないラジオが溜まる程度の忙しさで。
「ハハハハハハ! そうですね、ラジオは滞りますけど、それくらいかな。やらなきゃいけないこととやりたいことが、どっちもできてるかなとは思います」
――これなら続けていけそうな実感がある。
「うん、続けていけそうというか、続けていきたいという気持ちになるような状況」
――もう転職サイトには登録しない?
「メルマガは全部解除したはずです(笑)。やっぱり音楽が好きだから、歌は歌っていたいですね。ダンスはいまだにちょっとわかんないですけど(笑)」
――ソロ(“あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)”)も超よかったですもんね。
「うわぁーっ!」
――スカートの澤部渡さんとの絡みもいいし。
「澤部さんいいですよね(笑)」
――鈴木亜美の“それもきっとしあわせ”のカヴァーも最高だし、声質がホントに合ってると思います。
「おぉっ、ありがとうございます!」
――あの危うげな曲と。
「危うげな歌と(笑)」
――ちょうどいいバランスで(笑)。いい儚さが出てると思います。
「そういうのって作ってできるものではないから。うまくはないんですけど、その感じがいいのかなとは思ってます」
――歌については一時期ものすごい悩んでましたけど、最近どうですか?
「いまはすごいコントロールできるというか、体力がついたからなのかわかんないですけど、最近は〈どうしよう、失敗するかも。どうしよう?〉っていうステージじゃなくて、〈あ、声が出る!〉みたいな。お腹に力を入れる感じがつかめたみたいなのがあって。
完璧に歌えてるわけではないんですけど、歌がうまくいく、いかないをずっと考えながらやるワンマンってけっこう多かったんですけど、それよりもちゃんと周りを見たり、ダンスをもうちょっとこうしたらいいかなって考えながらできるようになってきて」
――前はいくら考えても、それがプラスにならない感じだったんでしょうね。
「ずっと考え続けて、結局全部うまくいかない、みたいな。歌以外のことに集中できない時期がけっこう長かったんですけど、いまはいい形になってきてるのかなと思う」
――すごくいい歌声を持ってる人ですからね。
「ありがとうございます。声を誉めてもらえることが多くて」
もうぜんぜん悩んでないです、なんにも(笑)
――結論としては、かえぽとしてはいい流れになってるんですね。
「そうですね。ネギは看板を下ろさなくてもイケるのかなっていう気はしてるんですよ。解散しますみたいなことじゃなくて、個々でいろいろやりたいことが出てきても」
――たまに集まって何かやるようなバランスで。
「そんなケースでもできそうな気が」
――年1で何かやるぐらいでも。
「それは楽しそう。いますぐは嫌だけど」
――みんな三十路になったら、いつまでにアルバムリリースしなきゃみたいなことに縛られず、たまーにシングルを出して、たまーになんかやるとかでもぜんぜんいいと思いますよ。
「楽屋に子連れで来て」
――それぐらいの感じでいいから、続けてほしいですよ。
「続けたいですね。やめないことが大事だなとは思ってます。うまくはないけど、続けることがたぶんいちばんの力になると思うから」
――正直、いちばん危ういのがかえぽだと思ってましたからね。
「そうですね、私いつでも抜けそうだし(笑)」
――いつも何か悩んでるっていう。
「もうぜんぜん悩んでないです、なんにも(笑)。めちゃめちゃ楽しいですね。なんか抜けました」
――じゃあ、これからほかの2人の悩みを聞きますよ。
「はい、お願いします。たぶん私に言えないことがいろいろあると思うので」
――かえぽは突き抜けたんですね。
「突き抜けました。それもあるのかも。心の負担がなくなったから歌もそんなに」
――メンタルが大きいと思いますよ。
「心がダメなときはホントにダメです、歌に出る。私はもうぜんぜん大丈夫なので。2人は抱えてるかもしれないです」
――じゃあ聞いてきます。
「お願いします」
