気持ちが下を向いてると全部うまくいかないんで、ちょっと明るくなっただけでも自分的には変わったなと思ってて
――あとは、どうやれば続けられるかなんですよね。2年ごとに会うたびに金銭面がネックだっていう話になるんですけど(笑)。
「ハハハハハハ! たしかに前回も金銭面の話が」
――そこから〈税金が高い〉みたいな話になったりで。
「そうだ、〈病院代が〉とか言ってましたよね」
――それで政治批判みたいになったりが続いてるんですけど(笑)。
「Nao☆ちゃんが県知事選に出るしか!」
――〈世の中を変えないと!〉って(笑)。しかし、まさか金銭面以外の問題が出てくるとは思わなかったですね。
「ホント、脳天気に〈金銭面、ハハハ〉とか言いたかったですけどね」
――Twitterでも「もうね、やるしかないんだよ!」って書いてたじゃないですか。揺れ動きつつ覚悟を決めたんだなって。
「はい、もう覚悟は決めてるんで。逃げ出したいとは思いつつも」
――逃げ出したくなってたんですか?
「いいものができないときは落ち込みますね。その前は準備して、〈これだけやったんだからやればできる〉って思いながらやっても失敗しちゃったりして。
でも、ライヴ中に2人がアイコンタクトしてくれたり、そういうのを見ると支えてもらってるなと思うので。……ステージ上でファンの人の顔があんまり見られなくなっちゃって」
――それは精神的な問題で?
「それもありますし、どう思われてるのかわからないから怖くなっちゃって」
――歌に自信が持てないから。
「……っていうのがあって、あんまり人の顔がハッキリ見れなくなっちゃって遠くばっかり見るようになってしまって。だけど2人を見ると2人はいつも目を合わせてくれて、それがすごいうれしいし。最後まで頑張ろうってすごい思わせてくれて」
――こんな流れで聞きづらいですけど、武道館でライヴをやるべきかどうかみたいな話になったとき、けっこう危機的な状況になったみたいじゃないですか。このメンタルのときに危機的な状況が訪れてたのかと思うと、けっこう大変だったんだろうなっていう。
「……危機的な状況? そうでしたっけ?」
――覚えてないですか? 自分がいっぱいいっぱいで(笑)。
「あ、そうだそうだ、だんだんよみがえってきました」
――その結果、武道館はやらないことにしたっていう。
「そうですね。でもそれは3人で話し合って、最終的にはそういう決断をしたんですけど。最初に一回、〈どうする? ここで決断しなかったら武道館には立てないよ〉って言われて、3人で〈じゃあやります〉みたいな曖昧な返事をしちゃったんですよ。
そのときに3人で、〈これでいいのかな?〉って。〈じゃあいいや〉でいいのかなってなっちゃって、〈ちょっと時間ください〉って言って、これは運営さんとかスタッフさんとかだけじゃなくて3人の気持ちで答えを出そうって話して、そのときにかえぽが難しいって感じになって。
Nao☆ちゃんはNao☆ちゃんで、〈今年立てなかったらもう無理だ〉って。でも20周年で立つっていう選択肢もあるかもしれないけど、それはまだわからないじゃないですか。だから、ほぼ難しいんじゃないかって話になって。私も2人の意見はすごくわかるので」
――ぽんちゃは真ん中にいたわけですね。
「真ん中にいた感じですね。どちらかと言えば武道館に立ちたい寄りだったけど、自分の歌のこともよぎってて、そういうところで大切な武道館をっていうのをそのときは考えてて」
――どうせ夢の舞台に立つんだったら、もうちょっとコンディションがよくなってからとは思いますよね。
「思いますよね。映像化とかになったときに……やっぱりそんなことも考えたりしてて。で、3人で話して、なしってことになって」
――かえぽは何か突き抜けた感じになってて、すごい楽しそうだったんですよ。
「そうなんですよね」
――ぽんちゃはいま大変な状況からちょっと希望が見えてきたぐらいの状態というか、まだ霧の中にはいるけど抜け方がわかってきた状態だけど、それでも続けていく決意はできた、と。
「そうですね。それに努力も必要だと思いますし。いまも正直、これで合ってるのかわからないってなりながらも頑張ってるので。まず気持ちが下を向いてると全部うまくいかないんで、ちょっと明るくなっただけでも自分的には変わったなと思ってて。
クマさん(熊倉維仁/マネージャー)もポジティヴなこと言ってくださいますし、それだけ受け入れてたらあれですけど、闘いながら、いつか〈あのときは大変だったね〉って過去の話にいつかできたらいいなって思ってます」
――〈なんであのときあんなに落ち込んでたんだろう?〉って。
「そう! そういうこと言いたいです」
――かえぽは完全にそのモードでした(笑)。
「ハハハハハハ! そうですね、一緒にいてそう思います」
そうか、自信か。たしかにそれは足りてないかもしれないです
――ホントにわかんないもんですよね。現状はなんとも言い難いかもしれないし、気休めかもしれないですけど、なんとかなるとしか言えないですね。みんな意外となんとかなってきてるし。
「そうですね。豪さんのオーラをいただいて(笑)」
――ダハハハハ! こういうのはメンタルが一番大きいですよ、本当に気の持ちよう。
「うん、ホントにそう思います。そこはちょっとずつよくなってきてるので」
――ボクもトーク・イヴェントとか長年やってるけど、最初の3年ぐらいぜんぜんしゃべれてなかったですから。自信をつけていくしかないんですよ。
「えーっ、豪さんがですか? 想像できない。そうか、自信か。たしかにそれは足りてないかもしれないです。どこかで不安を抱えながらやってる」
――いまどんな厄介な相手と絡んでも、まあなんとかなるだろうっていう自信はありますからね。
「厄介な相手(笑)」
――ぜんぜんしゃべらないような人でもなんとかしてみせますよっていう。
「豪さんも闘ってますね、すごい! Negiccoもこの前、インナー・イヴェントに呼ばれて、サプライズ・ゲストだったんですよ」
――サプライズ・ゲストって困るんですよね。ホントにみんながサプライズとして驚いてくれるならいいんですけど。
「そう、みんなが〈キャーッ!〉とか言ってくれるならすっごくうれしいんですけど、何もなくて(笑)」
――ノー・サプライズ・ゲスト(笑)。
「県外から来た人もいて、そもそもNegiccoを知らない人もいるので。そんななかで3曲サプライズで歌って」
――この前、「BUBKA」の編集長の結婚パーティーで〈サプライズ・ゲストの西恵利香さんです!〉って言われて掟ポルシェとかコンバットRECとかもいるボクらのテーブルだけ盛り上がったんですけど、ほかのテーブルの親戚縁者とかは無反応なわけですよ。それに宇多丸さんがすごい怒ってて、〈だったら俺が前説で、この人はこういう人だって説明したのに!〉って。
「たしかに」
――みんなアウェーな現場でひどい目に遭ったりするわけですよ。
「新木場のプロレスのリングとか、アイドルをまったく見たことない人たちの前で歌ったりしたので。昔、ネギ投げてたじゃないですか。そのネギを持ってスカートめくられたり、すごい現場で」
――うわーっ!
「でも、そういう人たちにも楽しんでもらえるように……それも経験になって」
――下積みで痛い目にもいっぱい遭ってますからね。
「ありました! (浅草ROX)まつり湯で音が止まって、Nao☆ちゃんが〈コントやろう〉とか言い出して。最初はどうしたらいいかわかんなかったです。〈幽体離脱、どうするんだっけ?〉みたいな。ぜんぜん顔も似てないのに」
――おなじみの芸人パクリシリーズですね(笑)。
「ハハハハハハ! そうなんですよ、オリジナルじゃないっていう」
――おもしろい、おもしろくないじゃなくて、力強くやり切ったら勝ちなんですよ。
「ですね、そこがまだ足りないなと思いました」
――Nao☆ちゃんの強いところはそこですからね、躊躇しない。
「ハハハハハハ! この前、Tパレ感謝祭的なイヴェント※あったじゃないですか。あのときも、はるな愛さんの本名が大西賢示さんって知らないっていう」
――神懸かってましたよね。トーク・コーナーで大槻ケンヂさんと言い間違えて〈大西賢示さん〉って言って、〈それはこの後に出てくる人の本名ですよ!〉っていう(笑)。
「〈え?〉とか言ってて、すごかった(笑)」
――ぽんちゃも、もう大丈夫ですね。
「はい、大丈夫だと信じていきます」
――2年後は、もうちょっと呑気な感じで取材しましょう。
「そうですね、全編笑って終わりたいですね」
――これはこれで大事な話が聞けたと思います。
「みんなが気になってる部分ではあるかもしれないです。あんまりそういうこと話さないんで」
――よかったと思います、ありがとうございました。