地元・新潟を拠点に活躍するアイドル・グループ=Negiccoが、シングル“愛、かましたいの”“カリプソ娘に花束を”を含む4作目となるフル・アルバム『MY COLOR』を7月10日(火)にリリースする。これを記念し、プロインタヴュアーの吉田豪が彼女たちひとりひとりに直撃。2012年、2014年、2016年と折に触れてNegiccoへの取材を行ってきた吉田豪によるロング・インタヴューで、波乱に満ちたこの2年間を振り返る。

3週連続掲載となるNegicco特集、前週のKaede編に続く第2回目にはMeguのインタヴューを掲載。グループいち明るいキャラクターとしてNegiccoを支え続けていた〈ぽんちゃ〉ことMeguだったが、彼女は人知れず大きな悩みを抱えていた。そんな今回のインタヴューでは、涙を流す場面も……。 *Mikiki編集部

Negicco 『MY COLOR』 T-Palette(2018)

 

声が急に出なくなっちゃったりとか……

――そんなわけで2年ぶりのインタヴューです。

「もう2年も経ちます? 前回はカラオケボックスでしたよね」

――それは4年前じゃないですか? Nao☆ちゃんがインタヴュー中、「ここで寝ててもいいですか?」って横で寝てたときですよね。

「ハハハハハ! いまも寝てますよ(笑)。あのときお金の話とかしてましたよね」

――それも4年前です! 前回はアルバム『ティー・フォー・スリー』が出て、NHKホールワンマンの直後。つまり、タイミングでいうと武道館を目指してた人たちが、いったんそこを考え直したぐらいの時期だったので、そう思うとその後の2年間ってだいぶ変わってきたと思うんですよ。

「たしかにそうですね」

『MY COLOR』ティーザー映像

――リリースも含めて活動自体が、かなり落ち着いたペースになって。

「はい、リリイベも回数が減って、大人な感じになってきました(笑)」

――大人な感じ(笑)。

「体力的に落ち着いた感じに(笑)。Negiccoはリリイベでひとりずつ消えがちだったりしてたので」

――次々と体調不良になったりで、必ず体力の限界が……。

「どっかできて(笑)。それは極力減らそうっていうのもあったので」

――ひとりでリリイベやったりしてましたからね。

「やりましたね(笑)」

――その反省から学んで、次々と人が倒れていくようなリリイベをやってはダメだっていう。

「はい、いろいろ学んでます(笑)」

――Negiccoはそのハードなリリイベに向いてなかったんですかね。

「ハハハハハハ! そうかもしれない。Negiccoはハードなことは苦手かもしれないです。だから今回のリリイベもわりとライヴよりは特典会をたくさんやったり。ライヴもやるところはしっかりやって。久々に3人で乗り切りました」

――そうか、メンバーの体力をまず考えなきゃいけなかったわけですね。

「そうですね、そういうことを考えなきゃならなくなって」

――こっちは10代じゃねえんだぞっていう(笑)。

「そう(笑)。20代、30代だし、前回も前々回も2人でやったりしたので」

――つまり、ハード・モードでやってた時期と比べたらいまはやりやすくなってきてて、本来なら悩みが減ってなきゃおかしい状況だと思うんですよ。でも、それはそれでまだ悩んでそうな空気が感じられて。

「……自分的には体力的にも昔と変わってないと思っててイヴェントとかライヴとかやってるけど、どこかしら前とはちょっと違うなっていう違和感が出始めたりして、年をとってるんだなっていう感じはして。ぜんぜん意識はしてないんですけどね」

――意識しないで生活してるけど、たまに〈あれ? 前のようにいかなくなってるぞ〉って。

「そう、感じてます」

――2年ごとにインタヴューをやってるから、年々それを実感してるっぽいことはわかるんですよ。

「ハハハハハハ! そうですよね。毎回そんなようなこと言ってる気がする(笑)。ジムにも通ってたんですけど忙しくて、月に4回行ってたのが3回になり2回になり1回になり。米山(隆一/前新潟県)知事とも同じジムで、通ってるとこを見たりして(笑)」

――あの知事は体力あることで有名でしたからね。

「すごい走ってると思って。フルマラソンも出られてたんでめっちゃ体力あるんですよ。私は10キロしか走れなかったんですけど。サトウ食品さんが協賛で入ってることもあったので、ぜひやりたいですって話をして」

Meguの2018年のシングル“いつかきかせて”

――そういう体力の問題以外に悩みっていうと?

「そこも含めてパフォーマンスとかも自分では昔のようにやりたいっていう気持ちがあって、でも、思うようにいかないこともあったりして。声が急に出なくなっちゃったりとか……。それは自分のせいだってずっと思い込んでて、練習が足りないからじゃないかって。

でも、いろんなアーティストさんのこととか調べたら、イヤモニとかそういうことが原因で声が出なくなったり、体力だけじゃない部分で変化してきてるっていうことを感じて、もしかしたら自分もこれかもしれないと思って病院で検査したり、ボイトレの先生に見てもらったりとかしてたんですよ。

そしたら治らない症状ではなくて、いいときもあれば悪いときもあるっていう状況なので。そこは事務所の方もメンバーもそういうところを理解してくれて、いまのところ突き放さず一緒に向き合ってくれてる感じがして」

――グループのなかで歌は安定してる側だったから、最近そのことで悩んでるっぽいなっていうのはTwitterとかでもチラチラ見えてて。

「はい、ツイートの回数も減っちゃってましたし」

――「きっと皆さんも気づいていると思うけど最近の私と言ったら、、、。声が今日も出てなかった。。」とも書いてました。

「そうなんですよ。精神的にダメだと思い込むとできなくなることもけっこうあったんですけど、それだけじゃない部分もあるのかなと思って病院に行ったりして。2年前に病院に行ったときは喉にタコみたいなのができてるから、それを治せば大丈夫って言われて。

で、それは治ったんですけどそこからも調子が変わらなくて。その後、耳だったり違う部分で原因がわかって、それを治しながら自分と闘ってるっていう感じですね。ホントは休んだほうがいいらしいんですけど、そういうわけにもいかないし」

――けっこういろんなアイドルがなってるっぽいじゃないですか。

「ハロプロさんとかでも……」

――Juice=Juiceの宮本佳林さんとかもたぶん同じような症状ですよね。

「そうですね。そういうことを知れただけでも助かったというか、自分だけがなってるわけじゃないんだって」

――ある種、アイドルの職業病でもあるというか……。

「そうですよね、現代病みたいな」

 

逃げ方がわからない、みたいな

――「苦しい」とか「腹が立って悔しい」とか、かなりストレートな感情を「こんなことは書くことでは無い」とか言いながらTwitterでも出すようにもなってきたじゃないですか。

「ありましたね……。他人には言えないし、でも以前よりはとても前向きです。そういうことがあるって知っただけでも。2人にも最初はちょっとキツいこと言われたりもしたんですけど、自分のことを思って怒ってくれたので。

スタッフさんにも親身になって話を聞いてもらったり、突き放さずにいい方向に向かえるようにずっと考えてくれてて。辞めるのは簡単ですけど、ずっと続けたいので」

――それくらいまで思い悩むレヴェルだったんですか……。

「そうなんですよ! ……何度も辞めたいことはあったんですけど、本格的にそう思ったのは初めてで。だから、ここ最近は落ち込んでることはかなりありましたね」

――基本、陽気なぽんちゃだったはずが、〈あれ?〉っていうことが何度かあったじゃないですか。突然、「負けない」ってツイートしてたり。

「ハハハハハハ! 謎に(笑)」

――大丈夫か?って心配になったことが何度かありましたよ。

「フフフフ、ファンの人も心配させちゃうし。言いたくないけど、秘めてるだけじゃ伝わらないなってそのときは思っちゃってつぶやいたんですけど。(西寺)郷太さんが“愛のタワー・オブ・ラヴ”で書いてくれたように、〈誰にも話せない/ブログにも書けない〉、そんな沸々とした感情を書いてたんですけど、でもいまは言えるようになったことでスッキリしてる部分はあるし、豪さんだから話したんです(この辺りから涙声)」

2013年のシングル“愛のタワー・オブ・ラヴ”

――同じような悩みをずっとかえぽが抱えてたじゃないですか。

「だから、それこそかえぽが〈こういうのがあるから、もしかしたらぽんちゃも当てはまるところない?〉って送ってくれて、それを見て自分はこれだなと思って。彼女も同じように悩んでて、何か参考になればっていうことでいろいろ教えてもらって。でも、かえぽは克服したじゃないですか」

――そうなんですよ、それであんなに悩んでたかえぽが、さっき話したら超呑気になってて。

「そうそう、いまが楽しいってすごい言ってて。それは伝わりますよね、一緒にいても」

――かえぽがいちばん辞めそうでいちばんヤバかったのに、さっき聞いたら〈なんでそんなに悩んでたかわかんない〉って感じになってて、むしろ逆に性格的にも歌的にもすごい安定していて、グループを陽気に支えていた人がいまこうなって。

「そうですね。身近にそういう経験者がいるだけで、アドヴァイスいろいろくれたりするから、さらけ出せるようになりました。それまで原因がわからなかったので」

――周りもよくわからないから、〈もっとちゃんと練習しなよ〉みたいな感じで言っちゃったりもするだろうし。

「それもあって、そこを責められてる感じだったので。でも練習してるし、どうしたらいいかわからない状態だったので、霧の中にずっといる、みたいな」

――〈私、歌ってていいのかな?〉って悩みそうですよね。

「そうですね。だから1月のステージ※で豪さんとご一緒したときも新春一発目だったから。年明けからライヴがなかったので声出しとか家でやってたんですけど、いざ本番ってなったときにまったく出なくなってて。

だから、ゲストでいらっしゃってたエビ中(私立恵比寿中学)さんからも心配の連絡もらったりしてて。出したいのにうまく声が出ないっていうもどかしさが続いてて。で、病院に行っていろいろわかって。長く続けるといろいろありますね(苦笑)。楽しいだけじゃなくて」

※1月13日の〈Negicco RADIO LIVE ~あの人が好きなネギ~ in Yokohama Bay Hall〉

――いわゆる太陽みたいなキャラクターだった人が霧の中に迷い込んで。

「ある意味、あんまり苦労してこなかったから、高校も専門学校も全部面接で通ったり、あんまり努力を……自分なりにしてきたけど、思うようにうまくいってたところがあって。だから、いま逆境に立たされてて。逃げ方がわからない、みたいな(涙)。……すみません、涙が止まらない……」

――誰かティッシュください!

「豪さんが美輪明宏さんに見えてきた(笑)」

――金髪なだけですよ!

「急に涙が出てきて。すみません、意味わかんないこと言って」

――大丈夫ですよ、落ち着きましょう。

「ありがとうございます」

――でも、正直言ってかなり多くのアイドルが悩んできたことだから、なんとかなりますよ。

「そうですね、最近もバンドの方がそれになったって言ってて」

スタッフ「すみません、これしかなくて……」

――ペーパータオル!

「ありがとうございます(苦笑)」

 

まさか涙、涙のインタヴューになるとは思わなかった

――手相占いで〈この仕事が天職だ〉って言われた人なわけじゃないですか。

「そうなんですよ……。だけど、いまは前向きに捉えられるようになってきて。connieさんもすごくポジティヴなので、レコーディングでうまくいかなくても必ずいいところを見つけて言ってくれるんです。それを聞いて頑張ろうって思えるようになったし」

――結局、すべて気持ち次第だと思うんですよね。

「ホントにそうですね。いま調子悪いけど逆にすごいポジティヴになってきて。もちろん落ちるときは落ちますけど、悩んでてもしょうがないって思うので。そういう症状の人がたくさんいるから……それで戻ってきた人っているんですかね?」

――いるから、なんとかなりますよ! これまでヘコみ慣れてなかった感じなんですかね?

「そうなんです、ぜんぜん免疫がなくて」

――Nao☆ちゃんとかえぽがグルグルと思い悩んでいるときに……。

「そう、私はずっとヘラヘラしてたんで(笑)。いま自分がその局面に立たされた感じです」

――それがちょうど2年前ぐらいからだったんですか?

「NHKホール以降ぐらいから急に悪くなっちゃって」

――それでも辞めずにいられたのは何があったんですか?

「やっぱり苦しいときは心のなかで辞めたいとか逃げ出したいっていう気持ちはあったんですけど、15周年っていう大事な節目が迫ってるなかでここまでやってきて、自分の弱い気持ちだけで辞めちゃっていいのかなっていうのもあったし。

NHKホールが終わってこれからもっと上を目指していかなきゃいけないと思ったときに、すぐ辞めるみたいな勇気はなくて。でも去年かな? ゆっきー(雪田容史/T-Palette RecordsのNegicco担当)とかには〈もう辞めたいです〉って呼び出して言っちゃったりしてて。

そのときに、〈じゃあ辞めてください〉とかそういうことは言われず、すぐに解決策を出してくれて、〈ボイトレを入れるとかなんとかするから〉って、よくなる方向にみんなが持っていってくれたから」

――当たり前ですよ。Negiccoはそういうグループですから。

「みんなが手を差し伸べてくれて、いまギリギリやってきてるって感じですかね」

――〈いいよ辞めて。若くてかわいい子入れるから〉って感じのグループじゃなくてよかったですよ。

「そうだったらそれで〈辞めます〉ってなってたんですけど(笑)」

――この3人だからこそNegiccoなので。

「そう言ってくれる人がいるから、〈私なんか〉っていう気持ちはありますけど、この3人のバランスとか、〈この3人だからNegiccoを応援したくなるんだよ〉とか言ってもらえると、自分も必要とされてるんだなってあらためてここ2年ぐらい感じてます。すごい迷惑かけてますけど……(涙)。まさか涙、涙のインタヴューになるとは思わなかった(笑)。よかった、先に写真を撮っといて」

――〈卒業とか考えてません〉って言ってた人が、ここまで悩むようになるとは……。

「そうですね、まったく1ミリも思わなかったんですけど」

――そういう時期に体力的に余裕のある活動になって、ホントよかったですよ。

「そうですね。ゆっきーが新潟に来てくれて、なんかゆっきーのNegiccoに対する気持ちも優しくなってきて」

――それまで優しくなかったんですか(笑)。

「厳しかったんですよ(笑)。何回つらい涙を流したことか」

――意外と当たりが強くて。

「当たりが強くて(笑)。そこは変わりましたね。あと、ゆっきーが新潟のフリーペーパーに出てて、〈Negiccoの魅力ってなんですか?〉って質問に〈ひとりひとり声が違って癖がなくて、それがすごくいい〉って言ってくれてて。そう思ってくれてるからこそちゃんと歌えるようになりたいなと思って。

Negiccoの3人の歌声が好きってファンの人も言ってくれてますし、ちゃんと戻ってこなきゃなって思いますし。調子いいときと悪いときの差がけっこうあるらしいので、自分的にはちゃんと歌いたいっていう気持ちを持ってても調子が悪いと無理だったりするんです」

 

ただのヲタなんで(笑)

――そういう状況だったからなんでしょうね、ぽんちゃのTwitterを見ていると辞めていくアイドルへの感情移入がすごい感じられて。

「そうなんです、℃-uteさんとか最近のチャオベラ(チャオ ベッラ チンクエッティ)さんとかも」

――アイルネ(アイドルネッサンス)から何から他人事じゃないというか。

「そうそうそう。思うところがけっこうありました、その時期は」

――有安(杏果)さんの件※しかり。この2年でよかったことといえば、ももクロと絡めた※※っていうのもありましたね。

※℃-uteは2017年に解散。チャオ ベッラ チンクエッティは8月に解散予定。アイドルネッサンスは2月に解散。有安杏果は1月にももいろクローバーZを卒業した
※※2017年7月13日に放送された「坂崎幸之助のももいろフォーク村ちょいデラックス百田夏菜子生誕後夜祭×加藤いづみ生誕前週祭」で共演

「そうなんですよー。まだ5人のときに一緒にステージに立てました、うれしいです。推しメンずっといなかったんですよ、箱推しで。だけど(百田)夏菜子ちゃん推しになりました」

――直接会ったら、あの人間性にはやられますよね。

「ホントにまっすぐですね、純粋に。あの瞳が忘れられなくて」

――それこそ彼女の高校の同級生が〈太陽〉って言う気持ちがわかる。

「そうそう、ホントにアイドル」

――裏表のない、いい意味でのバカっていう(笑)。

「たしかにみんな言ってた(笑)」

――念願のももクロに会えて、この2年では対バンきっかけでエビ中とのつながりも深くなって。

「そうなんですよ、エビ中さんとも」

――ぽんちゃは〈エビネギ〉の前の運営同士が共演するイヴェント※にまで来ましたからね。

※2016年10月31日の〈エビ×ネギ運営会議 〜まずは運営が仲良くなろうね〜〉

「そうなんですよ! どうしても観に行きたくて。ホント出るつもりなくて、こっそり観に行こうと思ったんですけど」

――メンバーが来たらステージ上げますよ、オッサンしかいないんだから。

「ハハハハハハ! ちょっとだけトークに参加させてもらって」

――〈エビネギ〉のライヴはどうでした?

「〈エビネギ〉はホントに夢のような時間で、リハーサルから夢みたいで。自分が好きだからこそ距離をまったく詰められなくて、リハのときもファンとアイドルとして見てたんで、こっちに来ると離れたりして(笑)。どっちも人見知りだからぜんぜん距離が縮まらなかったんですけど、本番で急にグッと2組ともスイッチが入って接近できて。

知れば知るほどエビ中さんの……曲とかパフォーマンスももちろん好きなんですけど、中身もすごい好きになっちゃって。スイッチが入る瞬間の輝きがすごいなと思って。私は安本彩花ちゃん推しなんですけど、彩ちゃんのこともっと好きになりましたね」

――安本さんも人間性がいいですよね。

「豪さんのインタヴューでネガティヴなこと言ってましたね。あれも含めて好きです。お父さんとの関係性も好きです」

――お父さんとの密な関係で有名でしたけど、〈最近はお父さんと距離を持つようにって。大人になったんです〉とか言ってました。

「えーっ、ダメダメダメ! ずっと仲良くしてほしい。そうなんですか?」

――ええ、ちょっといろんな変化があったらしくて。

「彩ちゃんも20歳になりますもんね。カレーが苦手なんですって」

――カレー好きとしては複雑ですね。

「そう、カレー好きとしてはこっちの世界に連れて行きたいなと思うんですけど」

――一緒に美味しいカレー屋さんに行ったりしたいのに。

「でも、〈チャレンジはしたいんですよ〉って言ってくれて、そう言ってくれただけでもうれしいです」

――安本さんの悩みも超まじめな、いい子特有のヤツなんですよね。

「ホントに! 彩ちゃんはいまの歌い方に悩んでるらしくて。自分のなかでも優しい歌声が好きで、そういう歌い方をしたいんだけど、曲調的にも激しいのが多かったりするなかで、ロックな感じの歌い方にシフトしていったことがすごい悩みだったらしくて。私のことファン代表として、〈私のいまの歌い方どう思いますか?〉みたいなことを聞いてくれて。

――かなり答えづらい質問じゃないですか!

「私は彩ちゃんが何になろうと好きなんで」

――わかりやすく盲目的なヲタで(笑)。

「昔の歌声ももちろん好きだし、いまのカッコいいのも大好きだし、すべてが好きなんで。でも、それって逆に相手を悩ませるだけなのかなと思ったりして」

――向こうとしてはアドヴァイスが欲しいのに。

「だから〈私に聞いちゃダメだよ〉みたいな」

――ただのヲタなんで役に立たない(笑)。

「そう、ただのヲタなんで(笑)」

それだけNegiccoにみんな期待してくれてるんだなって

――ボクは安本さん、小林(歌穂)さんの優しいまっすぐな歌い方が好きなんですよ。

「ホントにいいですよね。歌穂ちゃんの語るような、“感情電車”の入りとか最高じゃないですか。

私立恵比寿中学の2017年作『エビクラシー』収録曲“感情電車”

――超いいですよね。

「超いいです! ホント涙が出そうになるぐらい。スーッと入ってくるんですよね」

――歌って感情を入れるよりも、あれくらいフラットにやられたほうが持っていかれるんですよね。

「そう! だからあれを聴くと自分は力が入ってるなって感じたり。もっとリラックスしていいのにとか」

――あそこまでリラックスするのはなかなか難しいですよね、あれは天性の何かがある。

「あれはホント天性だと思います、あのキャラクターも含めて……かわいい!」

――ぜんぜん同業者目線じゃないですね(笑)。

「ホントに(笑)。一緒にいると穏やかじゃないです」

――それだけ距離が詰まったグループに大変なことが起きて※、ぽんちゃもものすごいショックを受けたわけですけど……。

※2017年2月8日に松野莉奈が死去

「そうですね……それがあったとき、新潟に来る予定だったんですよ、プロモーションで。新潟の私たちの番組にも出てくれる予定で。その1時間後ぐらいにニュースを見て」

――小林さんとかが新潟に行く予定だったんですよね。

「そうです、歌穂ちゃんと(中山)莉子ちゃんが来てくれる予定だったんですけど、中止になったって聞いて。後日、お別れの会にも参加させていただいて」

――あの前後でエビ中を全員インタヴューしてたから、みんなの気持ちがわかっちゃうというか、ぁぃぁぃ(廣田あいか)が辞めるのもわかるんですよね。自分の人生を考えた場合、ここで一歩踏み出すしかない、みたいな。

「19歳で自分の人生のもっと先のことを考えて事務所も辞めてっていう決断をしたのってすごい勇気が要ることだし、自分が10代のとき、そんなことは考えてなかったです」

――プラス10歳ぐらいでようやく悩んで。

「ようやく考え始めたんで(笑)。だからホントにすごいなと思って。でもあの子はホントに才能があるのはみんな知ってると思いますし、また違うかたちでぁぃぁぃちゃんが見られたらいいなとは思います」

――エビ中は校長(藤井ユーイチ/マネージャー)がすごいんですよね、このタイミングで辞めるのが決まってるぁぃぁぃをボクにインタヴューさせてくれて、校長同席で辞める話もして、ふつうに今後の話とかを仲良くして、ここは特殊な運営だなと思いました。

「そうなんですね。ぁぃぁぃちゃんの卒業公演が終わったときのみんなの写真とか見ても、円満だったんだなってすごい伝わりました」

――アイドルもいろいろ大変なことが多いわけじゃないですか。ぽんちゃもそれを実感するようになったんでしょうけど。

「はい、実感しました。15周年を迎えるにあたって長く続けてきてよかったなって思うし、いろんな人に言われるんですよ。〈20年やってるNegiccoが観たいな〉とか、その先のことをみんな言ってくれたりして。

そんなの無理だよって思った時期もあったんですけど、でもNegiccoにそれだけみんな期待してくれてるんだなって。期待されると萎縮しちゃうんですけど……」

――プレッシャーはかけないでほしいわけですよね。〈20年やってくれなくちゃ困るよ!〉じゃなくて、〈いつまで続けてもぜんぜんいいから〉って感じでフワッと応援してほしい。

「そうですね。でも、Negiccoにはそれができる気がする。私も来年30になるんで、Negiccoを続けながら、いまラジオのレギュラーとかさせてもらってて、Negiccoとは違う部分でもNegiccoを知ってもらえるような個人的な活動で、特技を見つけられたらいいなと思ってて」

――Negiccoがすごいと思うのが、もうアラサーと呼ばれる年齢なのに、なんなんですかね、この思春期感(笑)。

「ハハハハハハ! 遅れてきた思春期感が(笑)」

――超思春期じゃないですか。だからぜんぜん大丈夫ですよ、いま思春期ってことは、ほかの人と10年ぐらいズレてるんで、ぜんぜんまだ続けられるってことだと思うんですよね。

「ありがとうございます(笑)」

――ほぼティーンですよ!

「ハハハハハハ! ティーンですか!」

 

気持ちが下を向いてると全部うまくいかないんで、ちょっと明るくなっただけでも自分的には変わったなと思ってて

――あとは、どうやれば続けられるかなんですよね。2年ごとに会うたびに金銭面がネックだっていう話になるんですけど(笑)。

「ハハハハハハ! たしかに前回も金銭面の話が」

――そこから〈税金が高い〉みたいな話になったりで。

「そうだ、〈病院代が〉とか言ってましたよね」

――それで政治批判みたいになったりが続いてるんですけど(笑)。

「Nao☆ちゃんが県知事選に出るしか!」

――〈世の中を変えないと!〉って(笑)。しかし、まさか金銭面以外の問題が出てくるとは思わなかったですね。

「ホント、脳天気に〈金銭面、ハハハ〉とか言いたかったですけどね」

――Twitterでも「もうね、やるしかないんだよ!」って書いてたじゃないですか。揺れ動きつつ覚悟を決めたんだなって。

「はい、もう覚悟は決めてるんで。逃げ出したいとは思いつつも」

――逃げ出したくなってたんですか?

「いいものができないときは落ち込みますね。その前は準備して、〈これだけやったんだからやればできる〉って思いながらやっても失敗しちゃったりして。

でも、ライヴ中に2人がアイコンタクトしてくれたり、そういうのを見ると支えてもらってるなと思うので。……ステージ上でファンの人の顔があんまり見られなくなっちゃって」

――それは精神的な問題で?

「それもありますし、どう思われてるのかわからないから怖くなっちゃって」

――歌に自信が持てないから。

「……っていうのがあって、あんまり人の顔がハッキリ見れなくなっちゃって遠くばっかり見るようになってしまって。だけど2人を見ると2人はいつも目を合わせてくれて、それがすごいうれしいし。最後まで頑張ろうってすごい思わせてくれて」

――こんな流れで聞きづらいですけど、武道館でライヴをやるべきかどうかみたいな話になったとき、けっこう危機的な状況になったみたいじゃないですか。このメンタルのときに危機的な状況が訪れてたのかと思うと、けっこう大変だったんだろうなっていう。

「……危機的な状況? そうでしたっけ?」

――覚えてないですか? 自分がいっぱいいっぱいで(笑)。

「あ、そうだそうだ、だんだんよみがえってきました」

――その結果、武道館はやらないことにしたっていう。

「そうですね。でもそれは3人で話し合って、最終的にはそういう決断をしたんですけど。最初に一回、〈どうする? ここで決断しなかったら武道館には立てないよ〉って言われて、3人で〈じゃあやります〉みたいな曖昧な返事をしちゃったんですよ。

そのときに3人で、〈これでいいのかな?〉って。〈じゃあいいや〉でいいのかなってなっちゃって、〈ちょっと時間ください〉って言って、これは運営さんとかスタッフさんとかだけじゃなくて3人の気持ちで答えを出そうって話して、そのときにかえぽが難しいって感じになって。

Nao☆ちゃんはNao☆ちゃんで、〈今年立てなかったらもう無理だ〉って。でも20周年で立つっていう選択肢もあるかもしれないけど、それはまだわからないじゃないですか。だから、ほぼ難しいんじゃないかって話になって。私も2人の意見はすごくわかるので」

――ぽんちゃは真ん中にいたわけですね。

「真ん中にいた感じですね。どちらかと言えば武道館に立ちたい寄りだったけど、自分の歌のこともよぎってて、そういうところで大切な武道館をっていうのをそのときは考えてて」

――どうせ夢の舞台に立つんだったら、もうちょっとコンディションがよくなってからとは思いますよね。

「思いますよね。映像化とかになったときに……やっぱりそんなことも考えたりしてて。で、3人で話して、なしってことになって」

――かえぽは何か突き抜けた感じになってて、すごい楽しそうだったんですよ。

「そうなんですよね」

――ぽんちゃはいま大変な状況からちょっと希望が見えてきたぐらいの状態というか、まだ霧の中にはいるけど抜け方がわかってきた状態だけど、それでも続けていく決意はできた、と。

「そうですね。それに努力も必要だと思いますし。いまも正直、これで合ってるのかわからないってなりながらも頑張ってるので。まず気持ちが下を向いてると全部うまくいかないんで、ちょっと明るくなっただけでも自分的には変わったなと思ってて。

クマさん(熊倉維仁/マネージャー)もポジティヴなこと言ってくださいますし、それだけ受け入れてたらあれですけど、闘いながら、いつか〈あのときは大変だったね〉って過去の話にいつかできたらいいなって思ってます」

――〈なんであのときあんなに落ち込んでたんだろう?〉って。

「そう! そういうこと言いたいです」

――かえぽは完全にそのモードでした(笑)。

「ハハハハハハ! そうですね、一緒にいてそう思います」

 

そうか、自信か。たしかにそれは足りてないかもしれないです

――ホントにわかんないもんですよね。現状はなんとも言い難いかもしれないし、気休めかもしれないですけど、なんとかなるとしか言えないですね。みんな意外となんとかなってきてるし。

「そうですね。豪さんのオーラをいただいて(笑)」

――ダハハハハ! こういうのはメンタルが一番大きいですよ、本当に気の持ちよう。

「うん、ホントにそう思います。そこはちょっとずつよくなってきてるので」

――ボクもトーク・イヴェントとか長年やってるけど、最初の3年ぐらいぜんぜんしゃべれてなかったですから。自信をつけていくしかないんですよ。

「えーっ、豪さんがですか? 想像できない。そうか、自信か。たしかにそれは足りてないかもしれないです。どこかで不安を抱えながらやってる」

――いまどんな厄介な相手と絡んでも、まあなんとかなるだろうっていう自信はありますからね。

「厄介な相手(笑)」

――ぜんぜんしゃべらないような人でもなんとかしてみせますよっていう。

「豪さんも闘ってますね、すごい! Negiccoもこの前、インナー・イヴェントに呼ばれて、サプライズ・ゲストだったんですよ」

――サプライズ・ゲストって困るんですよね。ホントにみんながサプライズとして驚いてくれるならいいんですけど。

「そう、みんなが〈キャーッ!〉とか言ってくれるならすっごくうれしいんですけど、何もなくて(笑)」

――ノー・サプライズ・ゲスト(笑)。

「県外から来た人もいて、そもそもNegiccoを知らない人もいるので。そんななかで3曲サプライズで歌って」

――この前、「BUBKA」の編集長の結婚パーティーで〈サプライズ・ゲストの西恵利香さんです!〉って言われて掟ポルシェとかコンバットRECとかもいるボクらのテーブルだけ盛り上がったんですけど、ほかのテーブルの親戚縁者とかは無反応なわけですよ。それに宇多丸さんがすごい怒ってて、〈だったら俺が前説で、この人はこういう人だって説明したのに!〉って。

「たしかに」

――みんなアウェーな現場でひどい目に遭ったりするわけですよ。

「新木場のプロレスのリングとか、アイドルをまったく見たことない人たちの前で歌ったりしたので。昔、ネギ投げてたじゃないですか。そのネギを持ってスカートめくられたり、すごい現場で」

――うわーっ!

「でも、そういう人たちにも楽しんでもらえるように……それも経験になって」

――下積みで痛い目にもいっぱい遭ってますからね。

「ありました! (浅草ROX)まつり湯で音が止まって、Nao☆ちゃんが〈コントやろう〉とか言い出して。最初はどうしたらいいかわかんなかったです。〈幽体離脱、どうするんだっけ?〉みたいな。ぜんぜん顔も似てないのに」

――おなじみの芸人パクリシリーズですね(笑)。

「ハハハハハハ! そうなんですよ、オリジナルじゃないっていう」

――おもしろい、おもしろくないじゃなくて、力強くやり切ったら勝ちなんですよ。

「ですね、そこがまだ足りないなと思いました」

――Nao☆ちゃんの強いところはそこですからね、躊躇しない。

「ハハハハハハ! この前、Tパレ感謝祭的なイヴェント※あったじゃないですか。あのときも、はるな愛さんの本名が大西賢示さんって知らないっていう」

※2017年12月17日の〈T-Palette Records presents [Live]meets palette〉

――神懸かってましたよね。トーク・コーナーで大槻ケンヂさんと言い間違えて〈大西賢示さん〉って言って、〈それはこの後に出てくる人の本名ですよ!〉っていう(笑)。

「〈え?〉とか言ってて、すごかった(笑)」

――ぽんちゃも、もう大丈夫ですね。

「はい、大丈夫だと信じていきます」

――2年後は、もうちょっと呑気な感じで取材しましょう。

「そうですね、全編笑って終わりたいですね」

――これはこれで大事な話が聞けたと思います。

「みんなが気になってる部分ではあるかもしれないです。あんまりそういうこと話さないんで」

――よかったと思います、ありがとうございました。