谷崎潤一郎の構造的ー建築的美観を揺るがす芥川龍之介の詩的精神、香るような文体がもたらす美への傾斜そんな構造物の可能性や、堅牢に設計されたコンセプトに、破壊ではなく、綻びをあらかじめ仕込んだコンセプトを対置する。本のタイトルであるフラジャイルコンセプトとは、「くくり→ほどく→くくり」を繰り返す運動のような思考が生成のことなのだろうか。様々なルールや制度の折り重なる網をかいくぐって新しい建物の出現を想像し続ける建築家の言葉は、時に「ぽよよん」、時に「たゆたう」。エッセイは現実の出来事を流し込む、フラジャイルな器を求め、たゆたう。