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EMPiRE

EMPiREがめざすもの

――合宿というと、今年の合宿からEMPiREにあの2人が選ばれたのはなぜですか?

「EMPiREこそピシッと見えたいなっていうのがあるんですよね。逆に言うといつものWACKみたいなガチャガチャ感ではなく、僕の中ではSPEEDさんとかみたいに、ちゃんと揃ってカッコイイっていう見え方をしてみたいなっていうのがあったし、せっかくavexさんと初めから共同でやらせてもらってるので、よりいっそうスタイリッシュに見せてみたいなって思って選びました。2人ともスタイルも良かったし、振る舞い方も芸能人っぽかった。だからBiSに選んだのはもっと人間臭い奴らですね(笑)。僕の感覚の話なんですけど」

――となると、YUiNA EMPiREさんがBiSに移籍になったのは?

「やっぱりYUiNAは、いろんな面を見てても人間っぽいというか、EMPiREに合わないとかじゃなくて、僕の思うEMPiREじゃなかったし、BiSでやるのがおもしろいかなって思ったっすね。あともうひとつ、単純にやっぱりEMPiRE自体の流れが非常に順風満帆な状況だったので、何かしらのストーリーがあってもいいのかな?っていう意識もありました」

――EMPiREの見え方に対する理想像があって、よりそれに近い形にしたかったと。

「はい。テンテンコもよく言ってましたけど、旧BiSみたいな〈見世物小屋〉なら、たぶん関係ないんですよ。ただ、WACKがフェイクながらも王道みたいに思われていくなかで、EMPiREの揃った見た目っていうのは大事なファクターだと思ってますね。いまはまだ実力が伴っていないので、僕もツアーには全部帯同して、まさにいま細かく指導してる最中ではあります。おもしろいのは、EMPiREの奴らは良くも悪くもそれなりにできるんですよね。BiSHはもう目も当てられない時もあったのに、EMPiREは70点あたりを取ってくる(笑)。ツアーの最初の仙台からボロクソに言ってやろうと思って観てたんすけど、〈あれ? これ初めてのツアーだよな?〉〈何かソツなく喋ってるな……〉みたいな(笑)。別にわざわざ不器用を求める必要はないですけど、だったら100点取ってほしいし、難しいところですよね。いまは大きい変化よりも土台をしっかり作りたいっていう段階で、最初は〈駆け足で〉って思ってたんですけど、やっぱり土台がしっかりしないとダメかなって気がしてるんで、僕はそんなに焦ってないんです。あと単純にWAggが動きだしたら下からの突き上げはあるはずだし、それはEMPiREが出来てからのGANG PARADEの変化と同じですね。まあ、聴いてくれる人も増えてきて、今回の『EMPiRE originals』も凄く良いので順調に上がれるんじゃないかなと僕的には思っています」

――9月はEMPiREとギャンパレ、それぞれのリリースとツアー・ファイナルがあって、その先にまた動きがありそうですね。

「ですね。WAggが始まって、BiSHのツアーもあるし。あと、僕が今年から洋服のブランドも始めまして、その〈NEGLECT ADULT PATiENTS〉でちょっと大きなイヴェントもあって、アパレルのほうも忙しくなるっていう(笑)」

――自分の首を絞めまくってますね(笑)。

「もう意味わかんないっすよね。でも、ピストルズに教えてもらったようにファッションと音楽は切っても切れないものだし、やりたいことは全部やらないと。やっぱどれも愛しいし、捨てられないオモチャみたいなのが増えてって(笑)。まだ書けないことも多いんですけど、ここからまたいろいろ目まぐるしくなると思います」

 


渡辺淳之介
WACK代表。BiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiREらのマネージメント/プロデュースを手掛け、自身の立ち上げたアパレル・ブランド〈NEGLECT ADULT PATiENTS〉のクリエイティヴ・ディレクターとしても暗躍中