にゃにゃんがプーが新曲“イルカちゃんの推理はあてにならない”を入江陽主宰レーベル、MARUTENN BOOKSからリリースした。

にゃにゃんがプーは静岡・浜松のシンガー・ソングライター/トラックメイカー。プレス・リリースによれば〈可憐な歌声と隠しきれないスター性からニューウェイブ・アイドル視されることもあるが、8bitサウンドのロシア製作曲アプリなどを使用し、作詞・作曲・編曲・演奏すべて自身で行うミュージシャンである〉とのこと。〈ロシア製作曲アプリ〉とは……?

そんな彼女は、2015年にDANGBOORURECORDから発表したシングル“ニュー餅太郎”がカルト・ヒットとなったことで知られている。童謡ともコミック・ソングともつかないファンタジックで謎めいた歌詞、脱臼した(だが緻密な)ローファイ・シンセ・ポップ・サウンド、そして独特のアイコニックな歌声で、いまも多くのリスナーに衝撃を与え続けている一曲だ。また、田島ハルコとの〈P-MODELを悪ノリでカバーする遠隔コピーバンド〉読者MODELでも活動しており、田島の新作『聖聖聖聖』にも参加している。

〈アーティスト写真〉の既成概念を覆す、にゃにゃんがプーのアーティスト写真
 

今回リリースされた“イルカちゃんの推理はあてにならない”は、2016年12月発表の両A面シングル『おねむのくに/ちちのえん』(いずれも名曲)以来、約2年ぶりとなる待望の新曲。〈二日前(ににちまえ)/庭に埋めたマネー〉〈ちび骨のイルカ跳ね笑う〉など、まったくもって不可解な言語感覚と世界観は相変わらずだが、80年代のアイドル・ポップスや〈イエローマジック歌謡曲〉的なゴージャスなサウンドは、にゃにゃんがプーの新たな一歩を感じさせる。

同曲のサウンド・エンジニアを務めたのは、さとうもか折坂悠太Taiko Super Kicksらを手掛ける中村公輔。加藤貴文によるニュー・エイジ(?)なCGのミュージック・ビデオも必見だ。なおMARUTENN BOOKSのオフィシャル・ストアでは、“イルカちゃんの推理はあてにならない”を収録した6曲入りのCD-Rも販売される。

筆者の怠慢により紹介しきれていないものの、MARUTENN BOOKSは最近も活発なリリースを続けている。ツチヤニボンドのリーダー・土屋貴雅によるシリーズ企画〈みんなの般若心経〉の一環として制作されたさとうもかの新曲(?)“般若心経”ガウディーズの“ちょっとピンボケ”などなど。良質でユニークな音楽を届けてくれるレーベルに、2019年も注目したい。