EVENT & LIVE REPORT

Luby Sparks、KONCOS、WOOMAN、ステレオガールが出演した〈Mikiki Pit Vol. 8〉をレポート!

Mikikiがいま、このタイミングで観てほしい出演陣を揃えたショウケース企画〈Mikiki Pit〉。その第8回が4月24日、東京・下北沢BASEMENTBARにて開催されました。Luby Sparks、KONCOS、WOOMAN、ステレオガールの4組を迎えたこの日の模様を、編集部がレポート! 当日のライヴ写真とともにお伝えします。

 

WOOMAN

この日、1番手を飾ったのは、今年の序盤にKiliKiliVillaから初作『A NAME』をリリースした4人組、WOOMAN。まずは、7インチでリリースもされた代表曲“STILL INSIDE”を披露した。まるで重機がゆっくりと前進していくような力強いドラミングに加えて、フロントマン・YYOKKEの野太い声を活かしたアンセミックなメロディーが会場の温度を一気に上げた。

そのままパンキッシュな“ALL AGES”に突入。ソリッドなギターがBASEMENTBARのフロアを射抜く。3曲目の“WANTED”は、タイトな8ビートがポゴダンスにうってつけの高速ダンス・ナンバー。WOOMANのとりわけロックンロールな楽曲には、彼らが思春期にのめりこんだのであろうガレージ・ロック~ポスト・パンク・リヴァイヴァルの匂いがあり、同世代にあたる筆者はついニヤリとしてしまう。

うってかわって“MAGENTA RING”、“LONG STANDING”とミッド・テンポの楽曲を立て続けに演奏。ノイジーさは抑え目に、ギター・アルペジオの美しさがメロディーのエモさをいっそう際立たせている。特に3連のリズムが敷かれた“LONG STANDING”は、大観衆が拳を振り上げながら熱唱している光景を想像してしまうバンド屈指の名曲だ。

地を這うかのごときベースラインを響かせる“SIX DAYS”を経て、最後は“SUN”。淡々と打ち鳴らされる4つ打ちのビート、その無機質なクールさにバンドの4人が10年前に深く関わっていたレーベル、Cuz Me Painの諸作を想起した。バンドや表面的なサウンドは変わったかもしれないが、彼らの音楽愛や美学はまったくブレず、あの頃のまま。お互いしぶとくやってますね~、そんなふうに声をかけられる存在がいる嬉しさを実感したライヴだった。 *田中亮太

SETLIST
1. STILL INSIDE
2. ALL AGES
3. WANTED
4. MAGENTA RING
5. LONG STANDING
6. SIX DAYS
7. SUN

 

KONCOS

2番手は 、古川太一(キーボード/ベース/ヴォーカル)&佐藤寛(ヴォーカル/ギター)&紺野清志(ドラムス)からなるトリオ、KONCOS。 彼らは、ラッキーオールドサン、South Penguin、ニカホヨシオが出演した2016年11月の回Bullsxxt、JABBA DA FOOTBALL CLUB、Ms.Machineが出演した2018年4月の回にも登場。実は今回で3度目の〈Mikiki Pit〉でのパフォーマンスとなる(いつも本当にありがとうございます!)。

「こんばんは、KONCOS始めます」。古川太一の一声でステージがスタートした。この日はなんと、イントロダクション的な楽曲やゾンガミンのカヴァー“Bongo Song”などを含む演奏された9曲すべてが音源化されていない新曲。ファストでポップなKONCOSの魅力が貫かれた新曲の数々で、会場をグルーヴィーに盛り上げていく。

曲によってヴォーカリストが代わるし、古川はステージの端から端、さらに客席まで行き来しながら楽器をとっかえひっかえするしで、徹頭徹尾めまぐるしいが(オーディエンスは目で耳で追うのに必死だ)、その破天荒なパフォーマンスとサウンドに、もっと自由にこの場や音楽を楽しんでいいんだ、という気にさせられた。

〈Mikiki Pit〉では毎度、熱いパフォーマンスで会場を間違いなく盛り上げてくれるKONCOS。〈ライヴハウスでの出会いや同時代の音楽からの刺激を咀嚼したうえでたえず変わり続けているKONCOSは、やはり一瞬たりとも観逃せないバンドだと言える〉と編集部の田中が書いているとおり、KONCOSはつねにKONCOSを更新し続けている。今回のラインナップではキャリア的には先輩にあたる彼らだが、誰よりもフレッシュでパンクなパフォーマンスを見せてくれたように思う。 *高見香那

SETLIST
1. Intro
2. Sing
3. I Like It
4. Magic
5. Never Been Better
6. Neon Light
7. Nite Like This
8. Bongo Song(ゾンガミンのカヴァー)
9. Everyday  
※オリジナル楽曲はすべて仮題

 

ステレオガール

3組目はステレオガール。楽屋では、ここでは書けないような内容の歌を歌っていた毛利安寿(ヴォーカル)をはじめ、和気あいあいとしていた女4人、男1人だが、全員黒い衣装でステージに上がれば表情は一変。安寿がボソッと「こんばんはWe Are STEREOGIRL From TOKYO」と言うと、1曲目の“L.S.D.”へ。chamicotと吉田奏子というキャラの違う2人のギタリストがギターをかき鳴らし、轟音が空をつんざいていく。少し切なさのある演奏と、それに乗る安寿のキュートだがしっかりと芯のある歌声が、場内の視線を釘付けにしていく。

歪んだベースから始まるシャッフル・ナンバー“P.R.D.”では、間奏で安寿が指揮を振るような仕草。本サイトの連載〈下北沢で噂のあいつら〉でも書かれていた〈体全体で指揮者みたいに楽曲のイメージを表現〉するとはこのことか、と納得。バンドは一体感を増していき、間髪入れずに“GIMME A RADIO”へ。

「いい感じの顔ぶれだし、優越感を持って楽しんで」と安寿がぶっきらぼうなMCを挟むと、そのまま〈タバコを咥えてどこへ行く/僕は人殺し〉と歌う衝撃的な歌詞の“ひとごろし”へ。繰り返す轟音と静寂。ギター・ソロで目がイッちゃってるchamicotと、虚空を見つめる安寿の対比のアンバランスさがバンドそのものを表しているようだった。続く“あいわな”では、広大なフレーズとキャッチーな歌メロが展開される。暗い曲ではないのに誰も笑顔など見せないのがこのバンドの特徴だ。

「最後の曲です。いい思いをして帰ってください」とまたしても安寿がぶっきらぼうに言うと、そのまま“サバクを見に行こう”へ。感情のまま突き進むヴォーカル&ギターに対し、アイコンタクトでリズムをキープする大塚理玖(ベース)と立崎ゆか(ドラムス)。しかしまたしてもchamicotは感情を爆発させてギター・ソロを弾きまくる。その場にへたり込む安寿。フィードバックの余韻を残し、5人は舞台を去っていくのであった。 *酒井優考

SETLIST
1. L.S.D.
2. P.R.D.
3. GIMME A RADIO
4. ひとごろし
5. あいわな
6. サバクを見に行こう

 

Luby Sparks

「ツイン・ピークス」のテーマ・ソングである“Falling”そっくりのベースラインがフロアに響く。そこに重なっていくドラムのビートとギターの甘いフィードバック・ノイズ。静謐かつ厳かなイントロダクションから、Luby Sparksはショー(彼らの場合、〈ライヴ〉というよりはこちらのほうが似つかわしい)が幕開けした。

“Sparks”“Tangerine”とテンポの速いギター・ポップが続けて披露される。Erika Murphy(ヴォーカル)とNatsuki Kato(ベース/ヴォーカル)の歌が重なり合う繊細なハーモニーを聴きながらも、どうしてもあの“Falling”の音が頭から離れずにいた。

「ツイン・ピークス」の劇中歌である“The Nightingale”をカヴァーしたこともあるという彼らだが、あのドラマを観た者であればわかるとおり、そこにはデヴィッド・リンチが作り上げた確固たる世界観がある。ドリーミーで耽美的だが、ときにグロテスクでもあり、なおかつ超現実的。悪夢のようでいて、同時に理想郷のようでもある。

そのドリーミーで耽美的な部分を空間的な音作りと親しみやすいメロディーに、いびつさや攻撃的な側面をロック・バンドとしての勢いに置き換えたのがLuby Sparksの音楽だと言ってもいいかもしれない。演奏を聴きながら、ふとそんなことを思った。

彼らの音楽には映像喚起的な側面がある。それは映画「ルビー・スパークス(Ruby Sparks)」に由来しているバンド名とも無関係ではないだろう。新作EP『(I’m)Lost in Sadness』で説得力を増したその特性は、やはりライヴでこそ強く発揮される。ステージで演奏する姿を観ていると、そのたびごとにしか描けないひとつの世界観や、風景を表現しようとしているかのようだ。

どこかマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの“Thorn”を思わせるノイジーなフレーズが耳に残る“Perfect”、ヒプノティックな“Cherry Red Dress”、電子パッドの打音が響くダンサブルな“(I’m)Lost in Sadness”、そして嵐のようなフィードバック・ノイズの洪水が聴き手を飲み込む“Look on Down from The Bridge”。Luby Sparksは『(I’m)Lost in Sadness』の収録曲を曲順どおりに演奏した。それはEPで完成させた世界観の再現を試みているかのようでもあり、逆にそれをショーのなかで崩し、再構成しているかのようでもあった。次の作品ではどんなサウンドスケープを描くのか、楽しみで仕方がない。 *天野龍太郎

SETLIST
1. Intro 
2. Sparks 
3. Tangerine 
4. Perfect 
5. Cherry Red Dress 
6. (I'm) Lost in Sadness 
7. Look on Down from The Bridge 

 

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