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『Madame X』の世界を共に創出する大物ゲストやサウンド・クリエイターたち

 これまでもアルバムごとにサウンドやヴィジュアルのイメージをガラリと変え、一時は往年のデヴィッド・ボウイやプリンスばりの変容をみせてきたマドンナだけに、今回も変化そのものは不思議ではない。『Hard Candy』(2008年)あたりからはそうした変化の要因をキャラの立ったサウンドメイカーやゲスト・アクトに求めることも多くなっているが、現時点で『Madame X』の布陣は全貌が明かされておらず……ここでは判明している範囲で整理しておこう。

 まずはゲスト陣だ。チャンス・ザ・ラッパーや馴染みのニッキー・ミナージュを招いた前作『Rebel Heart』(2015年)に続き、今回はコロンビア出身の色男マルーマをはじめ、クエイヴォ(ミーゴス)にスウェイ・リー(レイ・シュリマー)というUS南部のラッパー陣、さらにはブラジルのポップ歌手アニッタをそれぞれにフィーチャー。先行シングル“Medellín”に加えて“Bitch I’m Loca”にも登場するマルーマはいまやラテン・アーバンを代表する人気者としてお馴染みだろうし(XXXテンタシオン&リル・パンプの“Arms Around You”にはスウェイ・リーと共に客演していた)、クエイヴォとは彼の“Champagne Rose”に続く2曲目のコラボとなる。なかでも注目はリオ五輪開会式のパフォーマンスで世界に名を知らしめたアニッタとの“Faz Gostoso”となりそうだ。

 サウンド・クリエイターでいうと、今回メインを担うフランスのミルウェイズは、『Music』(2000年)で抜擢されて以降も『American Life』(2003年)を丸ごと手掛け、スチュアート・プライスにメインの座を譲った『Confessions On A Dance Floor』(2005年)でも数曲をプロデュースしていた付き合いの長い人だ。その他のメンツは以外にも前作『Rebel Heart』からの続投組が目立っていて、“Future”を手掛けたディプロ(メジャー・レイザー、LSD他)をはじめ、“Crave”を手掛けたビルボード(ケシャ、アリアナ・グランデ他)や“I Rise”を手掛けたジェイソン・エヴィガン(マルーン5“Girls Like You”やクリーン・バンディット“Baby”他)、さらにはトラヴィス・スコットの後見人としても知られるサウスの重鎮=マイク・ディーンらが前作に続いて共同プロデュースに参加。ソングライターではブリタニー・ハザード(カミラ・カベロ“Havana”他)も前作に続いて名を列ねている。 *轟ひろみ