夏シングル的な『IVORY ep』を間に挿んだ1年ぶりのフル・アルバムは、ステイホーム環境下での制作という背景とは裏腹に、メロウ・ソウルのエレガンスに乗せて街模様や夜遊びの匂いを余裕で纏ってみせている。とはいえ名画タイトルを繋いでいく“サムライ・ボルサリーノ”で〈禍が明けたらハグしよう〉と歌うように、端々から滲むのは在りし日への想い。アダルトな哀愁と苦甘いノスタルジーで2020年のNOWを強烈に刻印した名作だ。