卓越したギタープレイとボーカルの魅力で知られる、シンガーソングライター/ギタリストのReiさん。彼女が〈今これしか聴いてない!〉というイチオシの音楽を月ごとに紹介する連載が、この〈Rei’s REPEAT REPEAT!〉です。

2021年最後となる第8回は、少し趣向を変えて〈今年めっちゃ聴いていた音楽〉というテーマでお届けします。1年を通してReiさんを虜にしていた作品、それはブルーノ・メジャーの2020年作『To Let A Good Thing Die』です。

すでに仕事を納めた方もまだの方も、甘さとほろ苦さが同居するブルーノの音楽をReiさんの愛情ほとばしる文章と一緒にぜひご堪能ください! *Mikiki編集部

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今月はこれしか聴いていない。わたしは音楽も、映画も、食べ物も、一度ハマると狂ったようにそれをリピートする癖があるようだ。みなさんも現実が息苦しい時、すがるような気持ちで音楽を繰り返し聴いた経験が少なからずあるのではなかろうか。

シンガーソングライター/ギタリストのReiです。当連載〈Rei’s REPEAT REPEAT!〉ではわたしがついつい繰り返し聴いてしまう、個人的バズり盤を紹介していこうと思う。

いつもならその月に聴いている盤を一枚お届けするのだが、今回は年末ということで今年一番聴いたと思しきアルバムを紹介したい。

BRUNO MAJOR 『To Let A Good Thing Die』 Harbour/BEAT(2020)

今年はブルーノ・メジャーの『To Let A Good Thing Die』をめっちゃ聴いていた。

耳の早いリスナーにはもはや説明不要なブルーノだが、ここで改めて紹介しておこう。ブルーノ・メジャーはイギリスのシンガーソングライター。2014年に4曲入りのEP『Live』でデビュー。音楽大学でジャズを学んだ経験や、スタジオミュージシャンとして活動していた技術を存分に生かした、奥深いプレイとソングライティングで頭角を現した。続いて満を持してリリースされたファーストアルバムは12回の〈毎月新曲出します宣言〉を経て完成した『A Song For Every Moon』(=ひと月につき一曲)。この作品と並行して、作家/プロデューサーとしての活動も始動。

そして、世界をブルーノの虜にする決め手となったのが今回紹介するセカンドアルバム『To Let A Good Thing Die』である。

ブルーノ・メジャーの2020年作『To Let A Good Thing Die』収録曲“The Most Beautiful Thing”
 

ロンドンから北へ1時間ほどの場所に位置するブルーノの故郷、ノース・ハンプトン。彼はこの長閑な街から〈上京〉するような形でロンドンに移り住むが、この作品はちょうどその都会の喧騒の中で、仕事も軌道に乗らず、お金も無く、自己肯定感もどん底に落ちていた頃に作られたアルバムだという。

誰もが感じたことがあるであろう〈無力感〉。虚しくて、さみしくて、バカバカしくて、必要とされていないこの感じ。それを身勝手な正義感を押し付けるような形ではなく、やわらかく包み込むように癒してくれるのがこのアルバムの不思議なところだ。

きっとそれはアルバムを作っていた当時のブルーノが、自身を偽らずに歌っていたから。彼の言葉を借りると「ただ、今思っていること、感じている感情を、心の蛇口をひねるように出していく」のだそう。弱っている姿も、すべて、正直に。

ブルーノ・メジャーの2020年作『To Let A Good Thing Die』収録曲“She Chose Me”
 

話すことなんてないさ
僕は僕がどんな姿かわきまえてる
教科書通りのつまらない男さ
だけどこんなにもたくさんの人が住むこの世界で
彼女は僕を選んだ

何をやるにも一人だった
だけど、彼女が現れてそれは変わった
彼女が僕を選んだから

毎晩、夜空の星に感謝するんだ
彼女ほど美しいひとが
自由にぼくを愛してくれること
そう、本当だよ、愛してくれているのさ

時々僕は自分に問いかけるんだ
〈他の誰でもなく、なぜ僕を選んだんだろう?〉
僕が知る中でもっとも綺麗な女の子
彼女は僕を選んだ

そして、ホントウに愛してくれているんだ

“She Chose Me”より

すべての和訳をここに記したいほど、彼の言葉はまっすぐでピュア。情けなくて、惨めだけど、やっぱり君が好き。そんな気持ちが生々しく伝わってくる。

その健気な姿にハートがくすぐられることは言うまでもない。

 

〈Rei’s REPEAT REPEAT〉第8回、いかがだっただろうか。ブルーノのことなら夜を語り明かせるほどだが、今回はこの辺で。

今年もMikikiと読者のみなさんにありがとう。そして音楽、ありがとう。ベロア製の枕のような、ブルーノの音楽に慰められながら、わたしは2022年を迎えるとしよう。

PS わたしの新曲“Don’t Mind Baby”も聴いてね。ギタリストの長岡亮介さんと作った自信作。ぜひ年越しそばのお供に。

参考文献:
https://www.theaureview.com/music/interview-bruno-major-uk-on-to-let-a-good-thing-die-unleashing-the-brain-and-songs-to-cry-to/

 


RELEASE INFORMATION

Rei, 長岡亮介 『Don’t Mind Baby with 長岡亮介』 Reiny/ユニバーサル(2021)

リリース日:2021年12月10日
配信リンク:https://lnk.to/Rei_Dont_Mind_Baby

TRACKLIST
1. Don’t Mind Baby with 長岡亮介

 

LIVE INFORMATION
Reiny Friday -Rei & Friend- Vol.13

2022年2月18日(金)東京・鶯谷 東京キネマ倶楽部
Act:Rei
Friends:奇妙礼太郎

■Reiny Records先行受付
2021年12月23日18:00〜2022年1月5日(水)23:59
https://eplus.jp/rei22-rr/

■チケット
1階(自由席):5,500円(税込/ドリンク代別) ※整理番号付き
2階(指定席):6,500円(税込/ドリンク代別)

■お問い合わせ
HOT STUFF PROMOTION:03-5720-9999(平日12:00〜15:00)

 


PROFILE: Rei
卓越したギタープレイとボーカルをもつ、シンガーソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。
2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、ファーストミニアルバム『BLU』でCDデビュー。
〈FUJI ROCK FESTIVAL〉〈SUMMER SONIC〉〈RISING SUN ROCK FESTIVAL〉〈SXSW Music Festival〉〈JAVA JAZZ Festival〉〈Les Eurockeennes〉〈Heineken Jazzaldia〉などの国内外のフェスに多数出演。2017年秋、日本人ミュージシャンでは初となる〈TED NYC〉でライブパフォーマンスを行った。2021年2月26日、初の海外デビュー盤となる『REI』をアメリカNYに本拠地を置くVerve Forecastよりリリース。