Reiのコラボプロジェクト〈QUILT〉。刺激をもらえるライバルでもあり大切な友人でもある藤原さくらを招いた第一弾楽曲“Smile! with 藤原さくら”に続く第二弾はペトロールズの長岡亮介を招いた“Don’t Mind Baby with 長岡亮介”だ。長岡とReiというと、2015年にリリースしたReiのファーストミニアルバム『BLU』の共同プロデュースを長岡が務めたことが思い出される。
アコギと歌による微睡むような朝の情景描写から始まり、一気に明るいカントリーミュージックに展開される “Don’t Mind Baby with 長岡亮介”には、長岡がアマチュア時代から出演しているライブハウス・赤坂カントリーハウスに集うミュージシャンたちも参加しており、旧知の仲だからこそのフレンドリーなムードが溢れている。また、Reiの楽曲では珍しいフィドルやペダルスティールギター、バンジョーといった楽器も入り、表現の幅を大きく広げている。
〈別れ〉をテーマに書かれており、長岡が愛する〈車〉やReiと長岡を結ぶ色=青といったモチーフが歌詞に入れられた大切な楽曲について、Reiに訊いた。
恩師、憧れの人、ライバル、家族……一言で表せない〈長岡亮介と私〉という関係
──ファーストミニアルバム『BLU』の共同プロデューサーである長岡さんを〈QUILT〉の第二弾のゲストとして招いたのは?
「『BLU』で亮介さんとご一緒させていただいてから、2作目以降はセルフプロデュースで作品を作ってきました。そんな中、〈QUILT〉というリスペクトするミュージシャンとコラボレーションして作品を作るプロジェクトを立ち上げ、亮介さんと一緒にやるのは必然かな、と。それでご一緒することを想定して作った2曲をプレゼンさせていただいたら〈両方やろう〉と言ってくださって。今回は“Don’t Mind Baby”をリリースしました」
――では、もう1曲も聴けるかもしれないんですね。
「あるかもしれないということです(笑)」
──そもそも7年前に長岡さんと『BLU』を共同プロデュースするに至ったのは?
「ティーネイジャーの頃から亮介さんの音楽に親しんでいて、ペトロールズも東京事変も聴いていました。私は上京して下北沢のライブハウスに通うようになったのですが、そこの楽屋に亮介さんが時々いらっしゃって、〈フランスの旧車が好き〉という共通点から車の話をしたりして。ライブハウスのコミュニティーを通じて自然と仲良くなっていきました。
彼はギタリストでありながらソングライターでもあってシンガーでもある。いろんな側面でシンパシーを覚える点がたくさんあったので、一緒に作品を作りたいと思ってお声掛けしました」
──当時の長岡さんとの思い出で特に印象に残っていることは?
「〈違和感は必ずしも悪いものじゃない〉という亮介さんの言葉がすごく印象に残っていて、以降はそれを大切にして音楽を作るようになりました。私はクラシックギターから音楽を始めたということもあって、当時は生楽器が絶対的なものだと考えていて、打ち込み音楽に対して考えが柔軟じゃなかったんです。音楽に対する姿勢を柔和にしてくれたのは亮介さんの言葉でした。時には〈リンゴが白い〉ことを受け入れたほうがいいこともあるというか。そうやって自分の当たり前を全員の当たり前だと思わないところからスタートすると表現の幅が広がるなと思います」
――Reiさん主催のライブイベント〈Reiny Friday〉に長岡さんが出演されたこと(2018年11月9日の〈Vol.9〉)もありましたよね。それ以降はどんな関係性だったんですか?
「時々会う親戚のような感じだったのですが、この度音楽の中で再会したことでより関係が深まりました。今回ご一緒するにあたって、亮介さんが乗っているシトロエンのDSという車のミニカーをプレゼントしたのですが、その時に添えた手紙にも〈亮介さんは私にとって恩師だし憧れの人だしライバルだけど、今回家族になれた気がする〉と書きました。何かひとつの言葉で表せる関係じゃなくて〈長岡亮介と私〉という人間関係なんですね。
東京事変の浮雲さんとしての活躍を見てすごくかっこよくて〈悔しいな〉って思う時もあれば、ペトロールズのライブを観て〈私も頑張ろう〉と勇気をもらえる日もある。その時々によって感じ方は様々ですけど、何にせよ亮介さんが音楽を続けているということが私の大きなモチベーションになっています」