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魅惑の〈凄腕〉チェロ奏者によるクラシカル・アルバム第2弾

 2本のチェロによる“スムーズ・クリミナル”の超絶カヴァーなどで全世界を虜にした2人組2CELLOSのひとりステファン・ハウザー。2020年にソロ名義〈ハウザー〉としてリリースした1stアルバム『クラシック』では、J.S.バッハ“G線上のアリア”を始めとする名曲たちをチェロが主役のアレンジでロンドン交響楽団と録音し、そのあまりにも美しく〈甘美な〉世界で〈ロックな〉2CELLOSの彼しか知らない音楽ファンをも魅了。2022年には新旧のラテン・ポップスを情熱たっぷりに披露した『ザ・プレイヤー』を発表し、再び人々の度肝を抜いた。その後2CELLOSは11年の活動に終止符を打ち、現在ルカ・スーリッチはコンポーザー・チェリストとして活躍中。我らがハウザーはというと、2023年10月に発表した祝祭感あふれる『クリスマス』でホリデーシーズンを彩ったのがまだ記憶に新しい。

HAUSER 『Classic II』 Masterworks/ソニー(2024)

 そんな彼から届いた4作目のフル・アルバムは、ロバート・ジーグラーが指揮するロンドン響と再びタッグを組んだプロジェクトの第2弾。前作と同じように自身のルーツであるクラシックの名旋律をチェロで朗々と歌い上げたものだが、音楽用語の〈アダージョ(くつろぐようにゆったりと)〉をキーワードに、心に安らぎを与えるような楽曲ばかりが集められているのが特徴だ。“アルビノーニの…”とそのものズバリな名前で知られるオープナーから、モーツァルト、ラフマニノフ、ベートーヴェン、マーラーらが書いた傑作から抽出したそれらの楽章たち、ドヴォルザークやドニゼッティのオペラ・アリアにシューベルトやブラームスの歌曲からも〈癒やしの〉旋律がセレクトされていて、まさに激動の時代を生きる私たちが求める内容(しかも2枚組)になっている。なお日本盤には、巨匠エンニオ・モリコーネの息子で映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の“愛のテーマ”を一緒に書いたことでも知られるアンドレアが、亡き父に捧げた特別な楽曲がボーナス・トラックとして収録されているのも嬉しい。ソロ単独初来日公演も目前、今後もハウザーから目が離せない!

 


LIVE INFORMATION
HAUSER REBEL WITH A CELLO JAPAN TOUR 2024

2024年4月24日(水)大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
開演:18:30

2024年4月25日(木)東京国際フォーラム ホールA
開演:18:30

2024年4月27日(土)東京NHKホール
開演:18:00

http://itony-live.co.jp/hauser-jp24/