©Nikes Soos

2CELLOSは解散するが、ハウザーの挑戦は続く!

 2011年に2CELLOSが動画で配信したマイケル・ジャクソンの“スムーズ・クリミナル”の演奏は、世界に衝撃を与えた。チェロってこんなに激しく演奏できるものなの? さらにデビュー作ではニルヴァーナなどロックバンドのヒット曲をレコーディングした。朗々と奏でるチェロの優美なイメージを大きく変えた2CELLOSは、ルカ・スーリッチとステファン・ハウザーのロンドン留学中に誕生した。幼い頃から厳しいレッスンを積み重ねてきても、クラシックで成功出来る人はほんの一握り。2人も当時 「先の見えない不安を互いに抱えていた」と言うが、彼らの成功は、悩める音大生にクリエイティヴの可能性を示し、チェロを習う子供達に夢を与えた。

 そんな2CELLOSが解散を発表し、11月21日の丸善インテックアリーナ大阪と22日の日本武道館が最後の来日公演となる。彼らは、なぜこの決断をしたのか。海外メディアの取材に応じたハウザーは、30代半ばになった現在のライフスタイルの違いを理由に挙げている。3人の子供の父となったスーリッチは、家族との生活を優先したいと考え、ハウザー自身はこれからも世界に挑戦し続けたいと語っている。彼らしいと思うのは「私は少しクレイジーで、まだまだアグレッシブに動き回っていたい」という言葉だ。もっとおもしろいことが出来そうという期待が膨らむ。

HAUSER 『The Player』 Masterworks/ソニー(2022)

 それを裏付けるようにリリースされたばかりのハウザーの新作『ザ・プレイヤー』は、多彩なラテン・ナンバーを集めた編成で、バラードでは官能的に、またリッキー・マーティンの軽快なヒット曲“リヴィング・ラ・ヴィダ・ロカ”などではラテンのリズムをチェロで刻みながら、オーケストラとの共演で華麗に披露している。そこから溢れ出るエネルギーや、ラテンバンドと共演する“ワカ・ワカ”のMVの映像に彼ならチェロの伝統的な枠を崩しながら、もっとおもしろいことが出来そうという期待が膨らむ。

 音楽性の違いが袂を分かつ理由ではないので、将来的に再結成もあるだろう。それを期待しつつ、2CELLOS最後の活動を楽しみたい。

 


LIVE INFORMATION
2CELLOS ジャパン・ツアー・スケジュール
2022年11月21日(月)丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
開場/開演:18:00/19:00
2022年11月22日(火)日本武道館
開場/開演:18:00/19:00
https://udo.jp/concert/2cellos2022