INTERVIEW

MUROがアニメ/特撮レア・グルーヴの深き世界を紹介! 活動30周年記念し、長年の構想が形になった悲願のミックスCD登場

MUROがアニメ/特撮レア・グルーヴの深き世界を紹介! 活動30周年記念し、長年の構想が形になった悲願のミックスCD登場

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KING OF DIGGIN'が案内する、アニメ/特撮レア・グルーヴの深き世界

 尽きることのない奥深きヴァイナルの世界を真っ黒な手で掘り続ける、世界に名だたる〈KING OF DIGGIN'〉ことMURO。彼の活動30周年を記念した『Super Animated Breaks & SFX ~30 Years and still counting~』は、70~80年代の音源を中心とする日本のアニメ/特撮音楽で構成されたミックスCDだ。和モノのDJミックスとしては、70年代の映画音楽にフォーカスを当てた2010年の『KING OF DIGGIN' ~DIGGIN' OST~ やさぐれファンク番外地編』から5年ぶりの作品で、長年の構想がようやく形になった悲願の一枚でもある。

MURO Super Animated Breaks & SFX~30 Years and still counting~ ユニバーサル(2015)

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 「子供の頃、いちばんのヒーローだった『仮面ライダー』の音楽は、意識して聴いていなかったにせよ自然と耳に入っていましたし、母親によく買ってもらっていたソノシート付きの本がレコードにハマる最初のきっかけだったりして。そういう意味では自分にとって、アニメ/特撮音楽は、音楽の原体験にあたるものなんですけど、そうした音楽の深掘りに拍車がかかったのは、ここ数年、海外で急激に評価が高まってきていることも、きっかけとしては大きいんです」。

 当時、海外で進化を遂げつつあったファンクやフュージョンに触発され、一流のジャズマンや映画音楽家が作曲や演奏で腕を振るった70~80年代のアニメ/特撮音楽の世界。ホーンやストリングスを纏ったスリリングなジャズ・ファンクやアナログ・シンセが浮遊するスペーシーなフュージョン、エレキ・ギターやオルガンが唸るサイケデリック・ロックなど、子供向けの音楽にしてはディープかつエクスペリメンタルな楽曲の数々も、レア・グルーヴ~ブレイクビーツの観点では知られざる宝の山だ。

 「アニメや特撮のサントラには、一枚にいろんなタイプの曲が短い尺でたくさん入っているし、シーンやテーマありきの音楽という意味でヨーロッパのライブラリー音楽みたいだなって思ったんですよね。今回はそうした楽曲を以前から構想していたブレイクビーツの観点でまとめることで、海外のリスナーにも楽しんでもらえるだろうし、数十秒で終わってしまう曲のミックスは現場だと難しいからこそ、ミックスCDにする意義があるな、と」。

 海外のDJにプレゼントすることが多いという「ルパン三世」のサントラをはじめ、ミックスCDの全37曲中7曲を占めるジャズ・ピアニストの大野雄二による洗練を極めた作品、そして作曲家の菊池俊輔が手掛けた、ファンキーな16ビートを特徴とする「仮面ライダー」など、ピックアップされた楽曲は、MUROの記憶や思い出とも強く結びついている。

 「ガソリンスタンドを営んでいた僕の実家の2軒隣には映画館があったんですけど、(親が)忙しくて幼い僕の面倒を見ていられないということで、朝から晩まで映画を観させられていたんです。そのなかに大野雄二さんが音楽を手掛けた映画が何本かあったんですよね。その後、DJ KRUSHと出会って、彼にレコード屋で教えてもらったボブ・ジェイムズと(音の雰囲気が)かなりかぶることもあって、大野さんの音楽にはヒップホップを感じるんです。『仮面ライダー』もそう。今回収録したのは、ほとんどが悪者のテーマだったりして、ヒップホップとの接点は音から感じられる〈悪さ〉にあるのかもしれない(笑)」。

 MUROが30年のキャリアを通じて魅了され続けてきたレア・グルーヴ。その発想は、音楽に新たな価値を与え、過去と現在を繋ぐだけでなく、音楽の未来をも映し出す。

 「この作品が知られざる音楽に触れるきっかけになったら嬉しいし、紹介したい音源は尽きないのでシリーズ化できたらいいですけどね。あと、このミックスCDの世界をバンド形式で再現することにも挑戦したい。『仮面ライダー』の曲を生でやったら最高にカッコイイんじゃないかなって(笑)」。

MUROのSoundCloudで公開されているディスコ・セットのミックス音源
 
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