The Fin.、Taiko Super Kicksらをはじめ続々登場する、海外インディー勢とのリンクを感じさせる日本のバンドたち。そのなかでもYkiki BeatやYOUR ROMANCEは80年代のシンセ・ポップを影響源のひとつとし、そこに新たな解釈を加えてきた。ここで紹介するPAELLASもまた、そういった音楽性を感じさせながら、夜のダンスフロアの足音を思い出させるセクシーな魅力を持ったバンドだ。

PAELLAS 『Remember』 Niw!(2016)

 MATTON(ヴォーカル)とBisshi(ベース)によって大阪で結成されたPAELLASは、2009年に始めたバンドを前身にThe Paellasとして活動を開始。後にHomecomingsやThe Fin.、シンリズムなどを輩出したAno(t)raksの第1弾作品として、2012年に『Following EP』を配信リリースすると、続けて同レーベルの出世作となったコンピ『Soon V.A.』にも参加。同年に初のフィジカル作となるファースト・アルバム『Long Night Is Gone』を発表し、ミニマムな音数とポップなメロディー、そして耽美なニューウェイヴ・サウンドを加速させたドラムスのような、月の裏側で見つかったローファイ・サーフ・ポップとでも言うべきサウンドで話題を集めていった。その後はPAELLASに改名し、留学のため一時脱退していたAnan(ギター:never young beach)の再合流や小松(ドラムス)の加入、2014年の東京進出と政田(パッド)の参加を経て現在の体制に。この年に発表した7インチ・シングル“Cat Out”では、それまでのローファイな音がすっきりと像を結ぶように音楽性を一新。ブラッド・オレンジの『Cupid Deluxe』(2013年)を思わせる黒いファンクネスを手に入れた。今回のミニ・アルバム『Remember』は、その延長上にある作品と言えるだろう。

 1曲目の“Hold On Tight”は、ジャスティン・ティンバーレイクやジャスティン・ビーバーからの影響も公言するバンドの個性が、エッジの立ったシンセ・ポップと混ざって良いバランスで着地したメランコリックなキラー・チューン。一時期メンバーの変化もあってか均整を取るのに苦労している雰囲気だったシンセとバンド・サウンドのアンサンブルも自然に溶け合い、良質なメロディーが前面に押し出されている。続く“Night Drive”では、USのイタリアンズ・ドゥ・イット・ベターよりリリースされたクロマティックスの『Night Drive』(2007年)を思わせるイタロ・ディスコ調のアレンジに。ミニマルに抑制されたグルーヴがじわじわと盛り上がり、最初は平熱を思わせたその熱気は最終的に数倍にも跳ね上がるようだ。さらに“Chinese Delicatessen”や“Fever”ではカインドネス風の粘っこいグルーヴを生成。そして前述の“Cat Out”がラストを彩る全5曲は、ついにバンドにとって最強の形を見つけたのではないかと思わせる、彼らの新章とも言えそうな内容だ。

 全編を覆うのは、夜のフロアを思わせる艶やかなグルーヴ。ジョイ・ディヴィジョン譲りの冷たいギター。そして洒脱なR&B風味とメランコリックなメロディーが織り成す、タイトで洗練された昂揚感。躍動するビートに乗って夜の街に滑り込み、そのままフロアで踊り明かす――そんな一夜のBGMにもなりそうな、PAELLASのスタイリッシュなポップネスをお楽しみあれ!