YouTubeを観ながらノアーのすごさをチェック
――ではここからは、お2人に選んでもらった曲を聴きながら話を進めていきましょう。
松下「まずはカヴァー・アルバムの『Covers』(2014年)に入っているダフト・パンク“Get Lucky”からいきましょうか」
斎藤「これは(ルイスの)ランチパッドの捌きっぷりもすごいよね」
――〈サマソニ〉とかに出演するようなポップ・バンドに比肩するキャッチーさがありますね。
松下「正直、圧倒的にオリジナルより格好良いと思う(笑)。この曲はティム(・ルフェーヴル)のベースも超カッコイイんだよな。まだ日本でティムが無名だった頃から俺たちは好きだったんですけど、最近の彼はすごく重用されてますよね。テデスキ(・トラックス・バンド)とも一緒にやってるし、とにかくみんなが使いたいベーシストになっている」
斎藤「それこそ、デヴィッド・ボウイの『★』に参加したのが大きかったよね」
――ティムもMikikiの連載で取り上げてましたよね。そういうプレイヤーともノアーは繋がりがあると。今回は2人でライヴするんですよね?
松下「そうです」
斎藤「どんな感じになるんだろうね?」
松下「とりあえずVJというかスクリーンに関する話もしているし、ドラムスも用意してほしいと言われたから相当叩きまくるんじゃないかな」
――じゃあ次は、ドラムスが強烈な曲にいきましょうか。
松下「2010年の初期のナンバーで、“The Mystery Of A Burning Fire”を」
――もう笑っちゃうくらいすごいですね(笑)。ライヴでお客さんが大盛り上がりする光景が目に浮かぶというか。
松下「本当ですね、センスいいよな~」
斎藤「このビデオの感覚もすごく尖っていると思う」
松下「うんうん。80sだよね」
――このクールな歌声がまた良くて。
松下「ちなみに、いまはどうか知らないけど、ジェネヴィエーヴはたしか音楽学校の先生なんですよ。僕も参加しているZA FEEDOがノアーにすごく影響を受けていて、ヴォーカルの沖メイが今回の来日公演でフロア・アクトを務めるんですけど、彼女もジェネヴィエーヴが好きみたい。それにしても、どうすればこんなにエッジーな音になるんだろう(笑)」
――ガツンガツンきますね。
松下「やっぱり、ドラムが本当にすごい。そういえば僕がLAにいた頃、ゴリゴリのフュージョンしかやってなかったはずのデニス・ハム(キーボード)もルイスのバンドにが参加するようになって、そこから一気にイイ感じになったから驚いたんですよね。彼らが一緒にやってるライヴ動画もありますよ」
――これもまた強烈な演奏ですね(笑)。
松下「またルイスについてドラマー視点で話すと、彼はキース・カーロックやマーク・ジュリアナが叩くブロークンなリズム・パターンの先駆けの一人だと思うんですよね。誰が最初にやったのかはわからないけど、例えばキース・カーロックは16分のなかでアクセントを移動したり、どこが1分かわからなくなるようなプレイをAメロからガッツリ入れてくる。それが全部フラット。〈ドーン、パッ、ドンドン、パッ〉じゃなくて〈ガンガンガンガッドンドンドガドン〉みたいな、バスドラからライド(・シンバル)まですべてフラットで。あれってものすごく難しいんですよ」
――はいはい。
松下「ルイスも、すごくナチュラルにそういうプレイをするんですよね」
――さっきのライヴ動画もバカっぽく盛り上がっているようだけど、よく考えたらこんなふうに演奏できないよなっていう(笑)。そういう演奏スキルを証明しているのが、スナーキー・パピーとの共演映像かなと。
松下「ああいうバンドと一緒に演奏するのも余裕ってことですよね」
――こうやってゲストとして呼ばれているのも、LAの音楽シーンにおける支持が厚い証拠というか。
松下「そうですね。あとは、ネイト・ウッドとツイン・ドラムで叩いている動画も超カッコイイ」
――ここまでチェックしてもらえれば、ノアーは実力もあるし、音楽性もずば抜けているし、キャラクターもファニーであるというのが読者にも十分に伝わるんじゃないかと。
松下「間違いないですね。前にニーボディを呼んだときも満員に近い感じで、あとからライヴ映像を観て〈行けば良かった!〉とたくさん言われたんですけど、そう簡単に呼べるものじゃないし、乗っかれるなら乗っかったほうがいいんじゃないかと思います」
斎藤「そうだよね」
松下「ノアーは間違いないですよ、いま観ておいたほうがいいバンドの筆頭だと思う」
――そんなノアーを迎え撃つ、ヤセイの調子はどうですか。
松下「自分たちのリリース・ツアーが終わったばかりで、ちょっとダラダラしてましたけど(笑)」
斎藤「だからこそ、ツアーで培ったものが出るんじゃないかな?」
松下「もちろん。今回のライヴにはノアーへの想いもあるし、期待してほしいですね。俺より拓郎のほうがノアーに思い入れがあるんじゃない?」
斎藤「そうだね。3~4年くらい前から呼びたいと言い続けて、まさか実現するとは思わなかったし」
松下「高橋アフィ(TAM TAM)のDJやメイの演奏も楽しみだし、エッジーなミュージシャンが集まるので、イイ感じに盛り上がるんじゃないですか。お客さんはもちろん、バンドマンに観てほしいな。絶対に刺激になると思う」
LIVE INFORMATION
KNOWER初来日公演「KNOWER×Yasei Collective」
supported by Mikiki
日時/会場:8月5日(金) 東京・青山月見ル君想フ
出演:ノアー/Yasei Collective
Floor Act:沖メイ(ZA FEEDO)
DJ:高橋アフィ (TAM TAM)
開場/開演:18:00/19:00
料金(1D別):前売り/3,000円、当日/3,500円
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