INTERVIEW

DOTAMAがいまこそ時代を味方につける! 般若やDJ WATARAI迎えた渾身の新曲群含む〈これぞ〉な楽曲収めた初のベスト盤

DOTAMA『DOTAMA BEST』

DOTAMAがいまこそ時代を味方につける! 般若やDJ WATARAI迎えた渾身の新曲群含む〈これぞ〉な楽曲収めた初のベスト盤

異端のままポピュラリティーを掴んだラッパーのこれまでとこれから

 「フリースタイルダンジョン」をはじめとするTV/ラジオのレギュラー番組に、CM曲の制作や出演、そして何よりバンドのFINAL FRASHを含めた自身の作品リリースやライヴ活動と、これまでに増して精力的な一年を過ごしたDOTAMA。とりわけお馴染みのフリースタイラーとしての顔と並んで、ジャンルに囚われないアグレッシヴな音楽性は彼のトレードマークだ。それは所属する術ノ穴の縁や現場を含めた多様な交流によって培われてきたもの。高低を自在に行き来する独特の声質とラップ・スタイルも、そうした周囲の音楽性から引き出された面があると彼は語る。

DOTAMA DOTAMA BEST 術ノ穴(2016)

 

人とは違う音楽を

 「バキバキのビートでラップするってなると、自然と低音に負けない高い声になっていって、かつBPM100以上の速度感に対応していったら、いまのスタイルになった。それこそ僕がラップをやり出した頃はとにかく個性が立ってないとダメな時代だったんで、人と違うことをラップしよう、人と違う音楽を作ろうって思ってるうちにこういう感じになっていった部分もあります」。

 これまでの道のりを振り返り、「いまだにまざまざと記憶に残ってますからね、全然受け入れてもらえなかった感触が(笑)」と、いまでこそ笑って話すものの、わかりやすい文脈やスタイルからハミ出してきたDOTAMAの音楽は、いわゆる日本語ラップ~ヒップホップ・シーンの中で浮いていた時期もあった。だが、昨今のラップ・ブームを牽引する(彼も一役買った)MCバトルの盛り上がりと、ジャンルを問わないラップ表現の裾野の広がりが日本で現実となりはじめた現在、彼はその異才ぶりを自分のアドヴァンテージとしている。術ノ穴での初リリースとなる『DOTAMA & OLD MACHINE』(2007年)以降の10年で生み出してきた楽曲を選りすぐって一枚のCDにまとめた今回の『DOTAMA BEST』は、そうした現状を踏まえたタイミングという意味でもまさしくベストな一枚だろう。

 「いまはアイドルもラップしてればバンドマンもラップしてて、結構みんな普通にフリースタイルができるような時代になったけど、それこそ10年前にはラッパーとロック・バンドとアイドルが対バンするような時代が来るとはホントに考えられなかったですよね。ヒップホップないしはラップにいろんな多様性を求める時代だからこれを作れたっていうのもホントにありがたい話ですし、いまでこそ独特のトピックをおもしろおかしく歌う曲というのも普通ですけど、そのなかでも〈これぞDOTAMAだ〉って、より自信を持って聴いてもらえるような曲を集めたつもりです」。

 

楽しんでもらえるもの

 時代がようやくDOTAMAに追いついた……とは大袈裟かもしれないが、彼にとってはいまこそ、時代を味方により届けるべきところにその音楽を届ける絶好の機会だ。彼の話は続く。

 「時代のトレンドに自分の個性を乗っけて表現できる人ってホント上手いなと思うんですけど、僕はそれができなかったんですね。自分の個性が剥き出しで、自分が新しいと思うものをパッケージングする能力しか持ってないから、そこでいろんなところに自分の旗を置いてって、13年かけて集まってきていただけたお客さんとかメディア、シーンの空気があるからこれを作れたと思ってます。全部集めてみるとあっち行ってこっち行ってみたいな感じに聴こえるけど、それもいまの時代性に合ってるのかもしれないですね」。

 ソロ名義の2作に各種コラボ盤を加えた全7枚のアルバムからの楽曲を中心に、当ベストには新曲も3つ収められている。変化球的な内容を曲名が物語る“楽曲のテーマは『テーマ』”は、人と違う視点に力を注いできた歩みの集積ともなるオープニングの一曲。また、本音が溢れるこの時代に〈今聞きたいのは建前だ〉の一節が刺さる“本音”は、TREKKIE TRAXからのリリースを出発に注目を集める気鋭のトラックメイカー・MASAYOSHI IIMORIのビートで、「フリースタイルダンジョン」繋がりもある般若との共演が実現している(余談ながら、般若は自身の公式サイトのインタヴューで『FINAL FRASH』を2016年のベスト3の一つとも語っている)。さらに、〈ベストな歌〉を歌いたいという一見ストレートな歌詞がDOTAMA曲としては逆に異色に映る“ベストソング”は、DJ WATARAIプロデュースの颯爽としたトラックに乗せて新たな面を見せるラスト・チューンだ。

 「“本音”はよりバトルに近いテンションの曲。自分のラップのクセを中和してくれる最強の人って誰だろうって思ったら般若さんだった。王道の強さを持ってて、かつ自分と同じぐらいクセがあって、昔からホントに一緒にやりたかった人だし、〈ダンジョン〉でこれだけ現場をご一緒させてもらってるので、言えるタイミングなのかなって。“ベストソング”は自分の中では、ラッパーがやるセルフ・ボーストの2016年最新アップデート版なんですね。言い方はいろいろあるけど、ミュージシャンの終着点って、みんな同じだと思うんですよ、みんなに感動してもらえる曲、〈ヤベえ!〉って言ってもらえる曲を作りたいっていう。それをまとめた意味合いで作ったんですけど、WATARAIさんのビートがすごくて、それに誘導されて書いたところもあります」。

 クセのあるラップ・スタイルがいまなお聴く人を選ぶものであることを自身で認めながら、とりまく環境の変化を受けて、「人と違うことをラップしよう、人と違う音楽を作ろう」の一心だったDOTAMA自身もいささか変わってきたようだ。彼の言う通り、層を広げるファンの存在や、普段の曲作りとは違うCMなどの楽曲制作経験がそこには大きく関係しているだろうし、他ならぬ13年に及ぶキャリアがそうさせるのだろう。彼の今後の音楽はその先にある。

 「ずっと続けてきて、妥協するわけではなくお客さんが望んだイメージと自分のやりたいことを一致させて、より楽しんでもらえるものを作れるような器用さが自分の中にできてきたのかなと思ってて。サード・アルバムでは、わかりやすくしつつ〈うわ、聴いたことねえ〉っていう曲を作りたいですね」。

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