クリスマス盤やサントラを出し、ロンドンでのセッションを経て主戦場に戻ってきた感のあるMJBの新作。不幸や不遇が原動力にもなってきた彼女にとっては夫との離婚も発奮材料となったか、DJキャンパーとB.A.M.をメイン・プロデューサーに迎えた本作では先行曲“Thick Of It”のようなアンビエントな音色を配したスロウを中心に、激しさも込めたブルージーなヴォーカルで抑揚をつけながら歌っていく。カニエ・ウェスト客演のドラマティックな“Love Yourself”をはじめ、DJキャレドの呼び込みでミッシー・エリオットとミーゴスのクエヴォが絡むトラップ調の“Glow Up”、バッドバッドノットグッドと制作を手掛けたケイトラナダを迎えてのサイバーな“Telling The Truth”など、ゲストの色に染まらない旬な共演も上々。EDMを仄かに匂わせるケイノン・ラムら制作の快活なブギー・ディスコ“Find The Love”は後半のハイライトだろう。現行モードに身を浸しながらR&Bの王道を行くソウル・クイーンの堂々たるアルバムだ。