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112『Q Mike Slim Daron』 ヴォーカル・グループの最高峰はいまも健在だ!

【特集:RETURN OF SONGSTARS】Pt.5

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  • 2017.11.30

RETURN OF SONGSTARS
[ 緊急ワイド ]R&Bに浸る秋と冬

★Pt.1 CHRIS BROWN『Heartbreak On A Full Moon』
★Pt.2 ELIJAH BLAKE『Audiology』
★Pt.3 DEMETRIA McKINNEY『Officially Yours』
★Pt.4 BRIAMARIE『432』
★Pt.6 ERIC ROBERSON『Earth』『Wind』『Fire』
★Pt.7 ディスクガイド

 


112
ヴォーカル・グループの最高峰はいまも健在だ!

 

 ジョデシィ、アフター7、シルクなどがリユニオン・アルバムを出す近年の現象をして〈ヴォーカル・グループの復権〉と謳うのは早計かもしれない。が、〈集まる〉ことに意義を求め、その効果に気付いている世代にとってヴォーカルを重ね合わせるという行為は尊いもので、データ交換で楽曲制作を行うことが増えてきた昨今では新鮮にも映る。一時は解散となりながら再結成を果たし、2016年にデビュー20周年(前身のフォルテからは今年で27年)を迎えた112が12年半ぶりに放つ新作『Q Mike Slim Daron』は、いまや珍しくなった濃厚なヴォーカル・バトルの醍醐味を存分に味わえる快作だ。

112 Q Mike Slim Daron eOne(2017)

 メンバー4人の名前を単純に並べたアルバム・タイトルは、活動休止中にそれぞれソロとして秀逸な作品を出していた個人としての活躍を尊重したものでもあるのだろう。デビュー時からスリムのナヨ声がグループのトレードマークとされてきたが、新作ではもちろんスリムの声も活かしつつ、Qパーカー、マイケル・キース、ダロン・ジョーンズそれぞれのテナー・ヴォイスにも等しく光が当てられており、先行カットの“Dangerous Games”はそれを象徴するスロウ・バラードとなった。この曲を手掛けたブラック・エルヴィスをはじめ、K・ファム、ダ・ヒートマイザー、エクスクルーシヴズといった制作陣も、現行のトレンドに色目を使わず、メンバーの声を引き出すという一点に集中している。アルバム制作を前提とした再結成は古巣バッド・ボーイの創立20周年にちなんだトリビュート企画やツアーなども後押しとなったはずで、彼らはフェイス・エヴァンスと故ノトーリアスBIGの擬似コラボ作『The King & I』でも“Crazy(Interlude)”に参加していたが、112の今作ではフェイスがインタールードにてお返し的に声を交えており、リリース元はeOneながら〈バッド・ボーイ・フォーエヴァー〉な一幕も見せる。ブライアン・マイケル・コックスが制作に関与したジャギド・エッジとのバラード“Both Of Us”はアトランタ出身のほぼ同期同士によるコラボで、バチバチに火花を散らす競演というよりは大人の余裕が滲み出た共演。ヴォーカル・グループという形態が2017年のいまも十分有効であることを今回の新作は教えてくれる。

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