ジャズを起点としながら、孤高のギター道を突き進む巨匠が放った18年ぶりのソロ・アルバム。爪弾かれる一音一音に深いリヴァーブをかけ、淡い色合いの抽象画のような世界を描き出していて、言葉にはできないけど深く心に印象が残る映画を観た後みたいな余韻と、超現実的な静寂をもたらしてくれる。己の音を真摯に探究し続けてきたアーティストだけが鳴らすことのできる、神秘的で崇高なる〈音楽〉。

 


ビル・フリゼールの18年ぶりとなるソロ・アルバム! 久しぶりのはずだが、あなたは色彩を変えてずいぶんといろんなところに居た。あなたが奏で始めた独特な音はいつの間にか、あなた以降のギタリストにとっては、演奏できなければならない、発音できなければならないギターの音色の、原色の一つになって居たのだから、あなたは居なくともあなたの音は、あちこちから聴こえてきていた。今更あなたの音楽がジャズだなんていうつもりなんてありません。しかし改めて聴いてみるあなたの音色は、ジム・ホールのように繊細で、青空に漂う雲のようなレイヤーを想像していた音は、軽々と減衰していきます。微かな音の揺れ、気配に感動。