2017年には新曲を含む『IN TRANSIT』のデラックス盤があったとはいえ、再始動してからは初のオリジナル・アルバム、しかもそれがセルフ・タイトルとくれば、彼らが今作にかける意気込みは伝わるはず。ブギーなファンク要素が新鮮だった“Stargazer”やフィリピンのアップ・ダーマ・ダウンよりアーミを歌に迎えたウォーミーなソウル“Transcend”といった先行曲の振り幅と同様、たゆたうようなコードワークとmabanuaのソフトな美声がマルコス・ヴァーリ×アジムス的なメロウネスを醸す“Come Together”、セカンドライン系のリズムにホーンが絡むジャム風の“Dark Gold”といった、多様だけどOvallらしい風通しの良さを備えた全9曲を収録。不変のフレッシュなグルーヴに快哉を叫びたくなる傑作だ。