OPUS OF THE YEAR 2019
[特集]2019年の100枚+

例年通りor例年以上に素敵な音楽が多方面から届いた2019年――そんな充実の
年を象徴するグッドなアルバム作品を、順位ナシの100枚で振り返ってみましょう!

 


ONE HUNDRED PLUS ONE
ライター陣の選ぶ2019年の〈+1枚〉

­◆青木正之

NATHAN MICAY Blue Spring LuckyMe(2019)

チェイス&ステイタス、ミニマル・ヴァイオレンス、バロン・ファミリーなど、2019年も至るところでレイヴがリサイクルされ、見つけては一人で興奮していたのですが、そんななかでフューチャー・サウンド・オブ・ロンドン『Accelerator』の影響をモロに反映させた本作の眩しいほどの煌めきは格別でした。大友克洋インスパイア系のアートワークを差し引いてもなお十分に魅力があり、彼への熱が冷めることは当分なさそう。Boiler RoomでのDJも神がかってました!

 

◆荒金良介

ZIG ZAGS They'll Never Take Us Alive Riding Easy(2019)

LA発のトリオによるサード・アルバムは、メタリカのファースト・アルバムを彷彿とさせるパンク・メタル全開で飛ばしまくる。狂気の爆撃チューンの連打にただただ身を委ねるのみ。頭をカラッポにして聴いてほしい最高の一枚だ。ほかにサタニック・メタル・パンクのデヴィル・マスター、サタニック・ドゥワップのツイン・テンプルそれぞれの新譜もオススメ!

 

◆赤瀧洋二

西松一博 貿易風物語 ビクター/Tower to the People(2019)

終わることのないのシティー・ポップ・ブームの中で、再評価の著しい一枚でしょう。私自身もこのアルバムのことはまったく知らず、2018年にアナログで復刻された際にジャケ買い。シンセを大量に使用し、エスニックで近未来な世界観はまさに〈80年代に香港やマカオあたりで貿易をする日本人〉。彼のヴォーカルと歌詞にどことなく和の美意識を感じさせるところが良いんですよね。CDはタワレコ限定のリイシュー。2019年にもっとも聴いたシティー・ポップです。

 

◆池谷瑛子

VARIOUS ARTISTS NO MUSIC, NO LIFE. TOWER RECORDS 40th ANNIVERSARY ソニー(2019)

もし本が選べるなら、高橋芳朗著「生活が踊る歌  TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』音楽コラム傑作選」。必死こいて新譜を追いかけてた生活から降りた私に、程良い距離感と深さを保って新旧の音楽と付き合う在り方を提案してくれた素敵な一冊です。で、そんな気分のサントラにしてたのが超定番曲ばかりのこのコンピ。知ってるつもりの有名曲たちも、意識と知識を更新すれば鮮やかな味わいになるのです。とか言いつつ懐古ばかりもすぐ飽きちゃって、新譜聴くのが結局楽しい、そんな不惑にして惑いまくる年でした。

 

◆一ノ木裕之

ERNEST HOOD Neighborhoods Rexius/Freedom To Spend(2019)

ジャンル問わず女性アーティストの盤に目が行くことの多かった一年でしたが、あえて選ぶなら新録はシッソ『Mateso』やカール・ストーン『Baroo』、リイシューはこれかマーティン・バートレット『Ankle On』あたりになっちゃうかなーと。夢心地とはまさに本作のこと、その麗しさに毛穴開く思いでした。2020年はとりあえず1月のAmamiaynuのライヴまで生きることを目標に……。

 

◆稲村智行

VARIOUS ARTISTS Shaft WaterTower(2019)

映画「ブラック・クランズマン」でスパイク・リーが悲願のアカデミー脚色賞を受賞する一方、映画「ボーイズ'ン・ザ・フッド」などで知られるジョン・シングルトン監督の訃報も届いた2019年。そんななか、そのジョン・シングルトンも2000年にリメイクしていた「シャフト」が19年ぶりの帰還。3世代共演の様相になった本編同様にこのサントラも幅広い世代が楽しめる選曲で、クエイヴォ&スウィーティー“Too Much Shaft”などの新録に、JB他のクラシックが並ぶのもこの映画ならではかなと。

 

◆金子厚武

ichika I AFD's Music Entertainment(2019)

日本を、いや世界を代表するSNSギタリストによるボーカリストとのコラボ作。Instagramなどで触れることのできる彼の独創的なプレイと世界観、海外著名人たちの熱狂ぶりはすさまじく、ピート・タウンゼントにメッセージで褒められたというエピソードにはもはや笑うしかない。本作にも参加し、ichikoroでも活動を共にする川谷絵音をはじめ、強烈な個が今後もシーンをリードしていくのでしょう。I以外Iじゃないの。