OPUS OF THE YEAR 2019
[特集]2019年の100枚+
例年通りor例年以上に素敵な音楽が多方面から届いた2019年――そんな充実の年を象徴するグッドなアルバム作品を、順位ナシの100枚で振り返ってみましょう!
JUST A TOUCH OF 100
bounceの選ぶ2019年の100枚・後編

JONAS BROTHERS Happiness Begins Republic/ユニバーサル(2019)
この3兄弟のリユニオンは2019年を印象づけるサプライズだった。ライアン・テダー主導のこの復活作も、DNCE系からパワー・ポップ、レゲエ、ディスコ、トロピカル・ハウス、カントリーまでを跨いだジャストな内容に。 *轟
メロウ&チル系のコラボで名を知らしめてきた彼女の初のフル・アルバムは、後見するWONKやSweet William、冨田恵一らも交えて時流に則ったスムースな佳曲集。ニアミスの多いおかもとえみのソロ作も含めて印象深い。 *轟

LIZZO Cuz I Love You Nice Life/Atlantic/ワーナー(2019)
2019年度のグラミー最多ノミネートでも改めて話題の一作。さまざまな意味で時代に即したトピックで語り甲斐のある人だが、ラップも交えた濃厚なアーバン作法をよりポップに拡張した内容は純粋に音楽作品としても楽しみたい。 *出嶌
疎外された側からの眼差しとそれゆえの目線の優しさで綴られた3年半ぶりのフル・アルバム。持ち前の繊細な切実さに強さを纏いつつ、支配力のある歌唱力で多様な曲調をドラマティックに響かせる術は今回も圧倒的でした。 *轟

MARK RONSON Late Night Feelings RCA/ソニー(2019)
『Uptown Special』への反動か、4年ぶりの新作ではよりプライヴェートな雰囲気のソフトなダンス・ポップを繊細に披露。カミラ・カベロや新鋭イェバ、キング・プリンセスらを招いて独特の感傷的な深夜帯ムードを聴かせた。 *轟
6年ぶりのフル・アルバムでは、シティー・ポップ再興の潮流に対する返答“忘れられないの”に著しい猥雑な色気を全編で振りまきながら、CD2枚組のヴォリュームを〈動/静〉の対比で構成。濃厚な世界を作り上げた。 *澤田

SLOWTHAI Nothing Great About Britain Method(2019)
UKラップが盛り上がるなか、タイラー・ザ・クリエイター作品にも参加したノーザンプトン出身の期待株もアルバム・デビュー。皮肉めいた表題もクウェス・ダーコらによる全体の音像も極めて〈英国的〉な薫りが漂うものだった。 *出嶌

CASSIUS Dreems Love Supreme/Caroline(2019)
完成直後にフィリップ・ズダールが急逝し、最後のアルバムとなった一枚。往年の自曲リメイク“W18”からプリミティヴなハウス、ジャングルまで、フレンチ・タッチ創始者としてのセンスと美意識が漲る作りに二重の涙。 *出嶌

またもやの2枚組に多彩なアイデアを詰め込んだ大作。和解したドレイクとのコラボやMJオマージュが話題になる一方、“Early 2K”に代表される近年のスロウバック作法を往時のバウンスの再解釈にまで拡張しているのが興味深い。 *出嶌

フライング・ロータスやスロウタイとのコラボも話題になった2019年だが、本人のアルバムも大充実。リック・ロスやリル・ジョンらを通じてルーツ回帰した伝統的なノリも、一周回ってまた新鮮なサウスの熱気を伝えるものだろう。 *出嶌

ED SHEERAN No.6 Collaborations Project Asylum/Atlantic/ワーナー(2019)
世界的なヒットメイカーによるコラボ盤。ジャスティン・ビーバーやチャンス・ザ・ラッパーら豪華ゲストと時流も踏まえつつ、ブルーノ・マーズ&クリス・ステイプルトンとはハード・ロックをかましたり。制約のないムードが◎。 *土田

ZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座DOPENESSの3名によるスーパーグループの初作。90年代R&B/ヒップホップをリアルタイムで吸収してきた者ならではのノリとヒネリとユーモアで心地良い現代的なアーバン音楽を醸造した名盤です。*出嶌

ハードなラップ巧者と奇才ビートメイカーによる、5年ぶりに届いた『Pinata』の続き……には止まらず、すべてiPadで作成されたスモーキーな音像と野太い語りの融合はシンプルでベスト。キープ・クールの動きも楽しみだが……。 *轟

クレイジーケンバンドの横山剣やceroの髙城晶平など多様なヴォーカリストを招いて賑やかに展開された初の歌モノ作品。インディーの領域で交流が進むアジア近隣国アーティストの参加も2019年らしいトピックに。 *澤田

初作を〈冬〉として、〈秋〉にあたる4作目。自身が始動したアート・コレクティヴにおけるコラボ作業を通じて生まれた本作は、従来の編集的な手法はそのままに、〈祈り〉の表現はより深い領域へ。2019年で最高峰のゴスペル作品。 *土田

あの曲の続きとなるディラ・ビーツの“HER Love”を収めた……だけには止まらず、カリーム・リギンズらオーガスト・グリーンの延長で陣容を固め、BJ・ザ・シカゴ・キッドやダニエル・シーザーも招いた意欲的なレーベル移籍作。 *轟

“Don't Call Me Up”でブレイクしたUKの新星による文字通りの待望作。ダンスホールやアフロ、トロピカル・ハウスの意匠が定番のポップ・フォーミュラとなった時流をそのまま投影した作りも往年のR&Bっぽい歌も激しく2019年的。 *出嶌

より開けた装いでブレイクスルーを果たした2作目。ヴェイパーウェイヴ以降の動向とも共振しながら、90年代の機材に執心することで生み出したサウンドが、現在・過去のどこにもない個性を放つ。 *澤田
BiSHのアユニ・Dによるバンド・プロジェクトが本腰を入れて完成させたフル・アルバムで、ユニークに尖った感性に沿う音作りが開放的な遠心力を生み出した。田渕ひさ子のギターもNUMBERGIRLが復活した夏の記憶を乗せて歪む。 *轟

さまざまな感情をロマンティックに映し出す7枚目のアルバム。パニック!アット・ザ・ディスコのブレンドン・ユーリーを迎えて個性を祝福する“ME!”を筆頭に、時代への言葉も捧げた圧巻のポップネスが今回も強い! *轟

転換点となった『Flower Boy』から2年ぶりにリリースされ、初の全米1位を獲得した大作。引き続きフリーキーな毒気も効かせつつ歌と音の溶け合ったメロディアスな世界に酔わされる。山下達郎“Fragile”のネタ使いも話題に。 *轟
ボカロPを出自とし……と記す必要もなく、コンポーザーのn-bunaが女性シンガーのsuisと組んだ人気バンド。同年の『だから僕は音楽を辞めた』から連なるこの年2枚目のアルバムも、練り上げられた美しいストーリーが楽しめる。 *轟

自身の名を冠したタイトルや素肌を晒したジャケが示すように自信たっぷり。リゾやトロイ・シヴァン、ビッグ・フリーダ、クライロ、スカイ・フェレイラらシンボリックな旬の顔ぶれを豪華に招いたハイブリッド・ポップ快作だ。 *轟

ビリー・アイリッシュと並んで〈次世代のポップ・アイコン〉と目される20歳。元ヴァンパイア・ウィークエンドのロスタムとの共同プロデュースによる初作は、アンニュイさのなかに瑞々しい輝きを封じたベッドルーム・ポップ集だ。 *土田

DJ SNAKE Carte Blanche Geffen/ユニバーサル(2019)
セレーナ・ゴメスとオズナ、カーディBによるビッグ・アンセム“Taki Taki”を筆頭に、ムーンバートンを軸にした多彩な意匠が楽しい2作目。J・バルヴィンからショーン・ポールまで新旧取り混ぜた客演陣もやはりハズさないです。 *轟
時代がEspeciaに追いついた……ってことで、その正統進化を描くアーバンな快作! PellycoloとRillsoulに東新レゾナントも交えつつ同窓会に終わらないのは、アーバンな自作曲を麗しい歌唱で披露する主役の成長があるから。 *轟

欧米のエモ・ラップにもシンクロしながら独自に感情を研ぎ澄ませてきた大阪出身の若きホープがついにアルバム・デビュー。オルタナなギター・サウンドを融合したBACHLOGICの音作りも印象的で、この先も期待できそう。 *轟

LIAM GALLAGHER Why Me? Why Not. Warner UK/ワーナー(2019)
オアシスのデビュー25周年……というタイミングももはや気にすることなく、堂々の登場となったソロ2作目。制作プロセスはバンド時代とも前作とも変わったものの、〈リアム感〉は却って増しているという恐ろしき名盤だ。 *轟
もはや盤石のメロウ・グルーヴを聴かせる一方で、レイヴ調のトラックに挑むなどダンス・ミュージック色を強化した最新作。王道とオルタナティヴを共存させる歩み方で2020年も楽しませてくれるはず。 *澤田
結成10周年に発表された3作目は、市井の〈WEEKEND SOUL BAND〉としてのパーティー感に磨きをかけつつ、レイシズムやヘイトといった社会の影とも真摯に向き合った感動作。この愛こそがメッセージ。 *金子

PIXIES Beneath The Eyrie Pixiesmusic/BMG/ワーナー(2019)
現体制の安定感が自然に投影された3年ぶりの新作。パズ・レンチャンティンが共作した“On Graveyard Hill”など往年のピクシーズ・サウンドにキャッチーな親しみやすさが加味されている。こういう成熟ぶりも悪くない。 *轟

POST MALONE Hollywood's Bleeding Republic/ユニバーサル(2019)
現代の王道を行く男がまたまた文句ナシの特大ヒットを記録した、2019年を代表するポップ大作。ダベイビーやヤング・サグ、オジー・オズボーン、ファーザー・ジョン・ミスティら多彩な客人の誰とも違和感がないのも凄い。 *轟

フレッシュな才能が続々と登場するなか、姫路のMaisonDeに属する彼の活躍は特に目覚ましかった。表面的な新しさに終わらず、きっちり濃いアルバムを仕上げてきたのも頼もしい限りで、これはまさに“NEW CLASSIC”。 *轟
多数のゲストも招いてメタルコア的な拡張と王道のノリを両獲りし、〈新しいメタル〉を提示した現体制で初のアルバム。別格のスケールで世界を席巻してきただけのことはある、いろんな意味でデカい音が鳴らされていました! *轟
前年のヒット“Stay So”を含む7年ぶりのアルバムは、モダンなアフロやトラップにも取り組んで視野の広さとポテンシャルを見せつける充実の一枚に。トップの風格と野心を漲らせた、この年のダンスホール・レゲエを代表する快作! *轟
渡辺信一郎監督によるTVアニメの挿入歌集。スティーヴ・アオキ×モグアイやD.A.N.、cero、アンディ・プラッツらが参加した本作も、ベニー・シングス他の楽曲が並ぶ〈Vol.1〉も、先鋭性と普遍性を両立させた美曲揃い。 *土田
年頭の『LAST GANG PARADE』も最高だったが、ここでは2019年の2作目となるメジャー初作を。直情的なエモさよりも音楽的な幅とメッセージを意識した内容で、感動的な“らびゅ”を筆頭に新機軸となる好曲揃いでした。 *出嶌

JAX JONES Snacks Polydor/ユニバーサル(2019)
ここ数年で大人気になったロンドンのDJ/クリエイターによる初作。マーティン・ソルヴェグとの“All Day And Night”など華やかなポップ・ヒット群を軸に見せつつ、根源にあるハウスの心地良さも体現した楽しい一枚となっていた。 *轟

ソニック・ユースのベーシストによる初のソロ作。ジャスティン・ライセン(チャーリーXCX、ジョン・ケイル他)がプロデュースした本作には色気のあるアート・パンク/ロックが満載。前衛性がスタイリッシュに提示されている。 *土田

トリオ体制では実に18年ぶりとなったアルバム。変わらぬ好相性に懐かしさ以上のものが感じられるのは、彼らがあらかじめ未来の音を自由に表現していたから? J・バルヴィンやJP THE WAVY、MIYACHIとのコラボも流石でした。 *轟
シングル・ヒットを連発し、ソウルを巧みに消化したポップソングで名を上げてきたバンドのメジャー初アルバム。フロントマンは映画「キャッツ」の吹替版キャストも務めるなど、メインストリームへの飛躍は留まることを知らない。 *土田

プロデュースやサポートで2010年代の日本におけるブラック・ミュージックの隆盛を支えてきた3人が、実に6年ぶりとなる新作を発表。みずからのルーツと向き合った、セルフ・タイトルに相応しい仕上がりに。 *金子

大半の曲でファレルと手を組んでレトロな未来に空間移動したシンセ・ポップ作品。80年代テイストを装いつつ往年のハーモニー・ポップ~サイケ感が絶妙に快い。グラミーの常連となった彼だけど、こっちのほうが彼らしいかも? *轟
2部構成、全16曲で1日=24時間を表現したコンセプチュアルな最新作は、多様な音楽性と言語を用いて〈日常〉を描き、翻って分断した社会を切り取った一枚に。どこか祈りにも似た空気は、ボン・イヴェールの諸作と繋がる瞬間も。 *土田

GANG STARR One Of The Best Yet Gang Starr Enterprises/Ingrooves/BIG NOTHING(2019)
思い入れの度合いによって価値や意味が変わるのは当然なわけで……故グールーとDJプレミアが16年ぶりに奇跡のリユニオン。J・コールとの合体もしっくりきたけど、ファウンデーション組の集結にはやはり滾るものがありました。 *轟
歌モノとしては17年ぶりとなる帰還作。世のオザケン観を決定付けた『LIFE』期の作品群に連なるファンキーなポップスに、鋭利かつ時に歪な語りとビートを注ぎ、2019年にアジャストした。 *澤田

ベニー・シングスやランディ・ニューマンとのコラボも経験しての本作では、USのオールドタイミーな音楽的要素に現代のヒップホップ/R&B経由のプロダクションを注入し、タイムレスな歌心を獲得。まだ21歳とは……。 *土田
HANAや優河といった4人の女性ヴォーカリストを迎え、〈ボン・イヴェール以降〉に対する日本からの最良の解答を2010年代の最後に見事作り上げた。ファンとのコミュニティー〈PALACE〉の運営も話題に。 *金子
どんな旋律も麗しく歌いこなす才媛の最新作。初顔合わせの川谷絵音や大沢伸一、古川麦を筆頭とする作家陣にも引けを取らないソングライターとしての資質も素晴らしい。歌手デビューから25周年となる2020年の動向にも注目。 *土田

2019年のR&B最大の収穫。デスチャ使いのスロウ“Playing Games”やアッシャー使いによる当人との合体など、オーセンティックな歌心で今風のインティメイトな音風景を描く姿にはエラ・メイやH.E.R.に通じる心地良さがあった。 *出嶌
















