今回も大量の音楽的成分と高度な演奏力を存分に注いだ5作目。十八番であるマイナー調のメロディーに乗せた“人生の針”では過去の過ちや痛みを滲ませつつ、確かな前進を歌う。〈私以外私じゃないの〉とうそぶいた過去曲の続編的な“私以外も私”も目を引く。ハイパーなバンド・アンサンブルにストリングスが噛み合う“透明な嵐”、アーベインな雰囲気から終盤はアヴァンギャルドに転じる”綺麗になってシティーポップを歌おう”、 アヴィーチーっぽいイントロから打ち込みの16ビートを繰り出す“哀愁感ゾンビ”のほか、ディスコやドリルンベースもあり、どこまでも縦横無尽。表題通り音楽の視聴方法が多様化した現代においても独自の音楽を貪欲に突き詰める、彼らの揺るぎなさが結実した一作だ。