COLUMN

リチャード・リンクレイター 『6才のボクが、大人になるまで。』オリジナル・サウンドトラック

家族の12年間の思い出の曲たち、それは先に広がる未来への宝物

 
(C)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.

 

 同じ役者を使い、12年の年月をかけて一本の物語を撮る。そんな途方もない企画で話題を呼んでいるのが、リチャード・リンクレイター監督の新作『6才のボクが、大人になるまで。』だ。「Boyhood(少年期)」という原題どおり、主人公のメイソンが6才から18才になるまで成長する姿が描かれていて、物語はメイソンとシングルマザーのオリヴィア、姉のサマンサ、そして、離婚して離れて暮らしているパパの4人の関係を中心に展開していく。パパがロック・バンドをやっているという設定もあって、サントラはオープニングで流れるコールドプレイを筆頭に、フレーミング・リップスヴァンパイア・ウィークエンドアーケイド・ファイアなど、90年代以降のロック系のナンバーが中心だ。

VARIOUS ARTISTS Boyhood NONESUCH(2014)

 なかでも印象的に使われているのが、パパがメイソンに「これこそ最高の曲!」とカーステで聴かせるウィルコ 《Hate It Here》。エンドロールではウィルコのジェフ・トゥイーディーが息子と組んだバンド、トゥイーディの《Summer Noon》が流れたりもして、このウィルコがらみの2曲にはリンクレイターの男親としての視線を感じさせたりもする(ちなみにサマンサ役はリンクレイターの実の娘、ローレライ・リンクレイター)。そんな音楽好きのパパが、メイソンの誕生日にビートルズのメンバーのソロ曲ばかりを編集したミックスCDをプレゼント。「ビートルズは4人揃ってこそ素晴らしい」と力説するあたりは家族と別れて暮らすパパの後悔を滲ませたりもするが、そこで軽快に流れるのがポール・マッカートニー&ウィングス《Band On The Run》。そして、大学入学が決まったメイソンが一人立ちして新しい街へと車を走らせるシーンで流れるファミリー・オブ・ジ・イヤー《Hero》は、予告編にも使われたりして映画のテーマ曲のようなところもある。爽やかで、前向きで、繊細で。そんなテイストのナンバーが中心になった本作は、メイソンがどんな少年時代を送ったのかを、写真ではなく音で綴った“アルバム”だ。

【参考動画】ファミリー・オブ・ジ・イヤーの“Hero”
【参考動画】映画「6才のボクが、大人になるまで。」トレイラー映像

 

 

『6才のボクが、大人になるまで。』
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
出演:パトリシア・アークエットエラー・コルトレーン/ローレライ・リンクレイター/イーサン・ホーク/他 
配給:東宝東和(2014年 アメリカ)
◎11/14(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー!

40周年プレイリスト
pagetop