MY SWEET HOME
華麗なるファミリーの顔ぶれを紹介!

 テイラー・ファミリーの一家団欒ってどんな感じだったのかと、ジェイムズと兄弟の誰かとの共演曲を聴くたびに思っていた。実際、南部の裕福な家庭で育った父とソプラノ歌手志望だった母のもとに生まれたテイラー兄弟は、四六時中音楽に溢れた環境のなかで、その豊かな才能を開花させていったようだ。故人である長兄のアレックスはブルースやリズム&ブルースに傾倒しながら硬派で渋いサウンドをめざし、マッスル・ショールズで録音した作品も残している。末弟のヒューはアレックスに似たタイプで、ロック色の濃い音楽も得意。そして妹のケイトはリンダ・ロンシュタットに近い資質を持ったヴォーカリストとして人気があり、アメリカン・ロック愛好家を魅了して止まない良盤をいくつか残している。

【参考動画】ケイト・テイラーの79年作『It's In There』収録曲“I'm Hog For You Baby”

 

 で、ジェイムズに匹敵するセンスの持ち主と言えるのが、三男のリヴィングストンだろう。兄貴と同じく優れたメロディーメイカーであり、カントリーやジャズを採り入れた懐の深い楽曲をクリエイト。ナイーヴな感触を湛えた歌声もジェイムズに似ていて、2人がハモると区別するのが難しいほどだ(強いて言えば、リヴのほうがほのぼのした雰囲気!?)。

【参考動画】リヴィングストン・テイラーの71年の楽曲“Carolina Day”

 

 さて、その音楽的才能はジェイムズの子供にまで受け継がれており、カーリー・サイモンとの間に生まれたサリーとベンも、98年にそれぞれソロ・デビューしている。さらに、今回の新作『Before This World』では新たな家族も登場。2曲で現在の妻との息子、ヘンリーがハートフルな歌声を聴かせているのだ(双子の片割れであるルーファスは不参加)。この先もテイラー・ファミリーは名門一家として語られていくんだろうな。  

【参考動画】ベン・テイラーの2012年作『Listening』収録曲“Not Alone”

 

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