ソープランダーズとのバンド・セットのアルバムが続いた前野健太の新作は、初の全曲弾き語り。11曲中5曲が新曲で、アコースティック・ギターの音色も歌声も静かに囁きかけるような、真夜中の気配が漂っている。そして、そんなメロウな歌にしっかりと閉じ込められたいまの日本の空気感。ドキュメンタリーのような生々しさを感じさせつつアレンジや音響に細かく気配りされていて、さらりとしていながら聴き応え充分だ。