2018.04.13

〈RO JACK〉優勝、後藤まりことの共作シングルのリリース、東京女子流“ラストロマンス”の制作などなど、2017年から今年にかけて八面六臂の活躍を見せ、話題を振り撒いている〈うたう最終兵器〉春ねむり。待望のファースト・フル・アルバムは、その比類なき才能を証明するのに申し分ない快作となった。〈きみのいのちをいますぐ鳴らして〉(“MAKE MORE NOISE OF YOU”“鳴らして”)というリリックに象徴されるような、衒いなくストレートにスピットされる言葉の数々は切実。だが、『春と修羅』がヘヴィーに感じないのは、その歌声がポップで軽やかだからだろう。“夜を泳いでた”のようなエレクトロニックなプロダクションもある一方、大半の曲で聴かれるパンキッシュなギターやドラムスが強烈な印象を残す。ラップとロック・ミュージックとの幸福な邂逅、そして新鮮な融合のかたちが『春と修羅』からは感じられる。そうしたユニークなサウンド、そして、どこかデビュー時の七尾旅人を思わせる表現の切実さが、〈新進気鋭のフィメール・ラッパー〉というステレオタイプやバイアスを力強く打ち破っている。

 

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