INTERVIEW

沖仁『Spain』 フラメンコ・ギターにしかできないアレンジで、誰もが思い浮かぶ“Spain”を表現

沖仁『Spain』 フラメンコ・ギターにしかできないアレンジで、誰もが思い浮かぶ“Spain”を表現

フラメンコ・ギターにしかできないアレンジで、誰もが思い浮かぶ“Spain”を表現

 フラメンコ・ギタリスト、沖仁の新作『Spain』は、レコード会社移籍第一弾であり、意外なことに初めてのスペイン作品集になる。

 「灯台下暗しですよね。わりとオリジナル作品を作りたいという気持ちが強くあったので、新しい環境でこのテーマを提案されて、初めてそういう切り口もあるなと(笑)。ただ、スペインにまつわる曲は、膨大にあるので、楽曲を絞り込むのが結構大変でしたね」

沖仁 Spain Sony Music Japan International(2018)

 選曲は幅広い。定番曲の『アルハンブラ宮殿の思い出』や『禁じられた遊び』の他に、アルバムの冒頭をオペラ『カルメン』のアリアが飾るなど多彩だ。4回目の録音になるチック・コリアの名曲『スペイン』は、これまでとは全く異なるバンドとの共演で弾いている。

 “誰もが知る有名曲”に的を絞るなかで、アレンジ、演奏面で掲げたテーマのひとつが“王道路線”だった。

 「フラメンコ・ギターは、リズムもアレンジも特殊という思い込みが僕の中にあった。楽器の特性として単音が弱いので、どうしても手数が多くなったり、パーカッシヴな演奏になったりする。聴いた人に原曲とは全然違う曲に聴こえますね、なんて言われると、シメシメなんて思っていた。でも、今回は、手数を減らすなどフラメンコ音楽の特長を封じて、多くの曲をシンプルで、スタンダードなアレンジで演奏しています」

 そんな大きな発想の転換へと彼を導いたのは、初期にレコーディングした名曲《アマポーラ》だった。

 「シンプルに歌のメロディだけを弾くなんて、曲として成り立つのかなと、当初はすごく不安でした。初めてのアプローチを前にひとりでいろいろ試して、いざスタジオでピアノやパーカッションなどと「せーの」で、ライヴ式で演奏してみると、結構いいね、ということになり、僕の意識がすごく変わりましたね」

 そのシンプルなアレンジの演奏に、師匠から譲り受けた1967年製の名器ラミレスが貢献してくれた。

 「これまでは弾きやすさでギターを選ぶことが多く、音色は二の次になっていた。でも、それでは今回は通用しないと思い、あまり弾いていなかったラミレスを引っ張り出してきました。歌のメロディをシンプルに弾くには一音にどれだけの説得力、存在感、魅力があるかが問われてくる。ラミレスがあったからこそ、この新境地を拓けたと思っています」

 曲に合わせて楽器を持ち替えているので、今回は多彩な音色でも楽しめる。フラメンコ・ギターが時にはハープにも和楽器にも聴こえたりする。また、《スペイン舞曲》などではシンプルななかに「フラメンコにしか出来ないアプローチ」を隠し味として忍ばせている。その絶妙なバランスが新境地をより豊かにしている。

 


LIVE INFORMATION

沖仁 CONCERT TOUR 2018
○11/21(水)18:30開演 会場:愛知・電気文化会館 ザ・コンサートホール
○11/28(水)18:30開演 会場:大阪・いずみホール
○12/8(土)  17:00開演 会場:北海道・札幌市教育文化会館 大ホール
○12/15(土)17:00開演 会場:福岡・電気ビルみらいホール
○12/19(水)18:30開演 会場:東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル
○12/21(金)19:00開演 会場:宮城・電力ホール

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