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【Pop Style Now】ビリー・アイリッシュ、ディアハンター、ファット・ホワイト・ファミリー……今週必聴の5曲はこれ!

2019年1月4~11日

【Pop Style Now】ビリー・アイリッシュ、ディアハンター、ファット・ホワイト・ファミリー……今週必聴の5曲はこれ!

天野龍太郎「Mikiki編集部の田中と天野が毎週月曜日にお送りしている〈Pop Style Now〉。月曜日が成人の日だったので、今週は火曜日の更新です。改めてご説明いたしますと、この一週間に海外の音楽シーンで発表された楽曲のなかから必聴の5曲を紹介している連載です」

田中亮太「毎週、我々2人がチェックしたもののなかから各自のオススメを集めたプレイリストをシェアしているんですけど、今週はそれが100曲を超えるという……。2019年はじまった感ありましたねー」

天野ラナ・デル・レイベイルートケラーニフューチャーなどなど……。あとはみんな大好き、ゼブラヘッドの新曲とか。豊作すぎました。激論の末、泣く泣く外した曲も多かったです。でも、いつものプレイリストに全部入れてありますので、ぜひチェックを」

田中「そのなかから〈Pop Style Now〉が厳選した5曲とは? まずは〈Song Of The Week〉から!」

 

Billie Eilish “WHEN I WAS OLDER (Music Inspired By The Film ROMA)”
Song Of The Week

天野「というわけで、〈SOTW〉はビリー・アイリッシュの“WHEN I WAS OLDER”です! これは〈今週の一曲〉感ありますね」

田中「連載初登場なのでビリー・アイリッシュについて説明しますと、彼女はLA出身のシンガー・ソングライター。2001年生まれで、まだ17歳ですね」

天野「2000年代生まれ……! 年齢が一回り以上違うのはけっこうショックです。それはさておき、ビリー・アイリッシュはデビュー曲“Ocean Eyes”(2016年)がヴァイラル・ヒット。その後はリスナーのみならず、セレブからも愛される超人気シンガーになっていくわけです」

田中「ファッション業界からも注目されていますね。特徴的な銀髪と独特のファッション、そして憂いと不機嫌さが混ざったような表情はものすごい存在感があります」

天野「憂鬱で繊細な歌とサウンドは、ジュリアン・ベイカーがポップ・シンガーになった感じと言えばいいのでしょうか。彼女の歌は〈ジェネレーションZの声〉と言ってもいいかもしれません。昨年は〈サマソニ〉にも出演して、ここ日本でもファンが急増中です」

田中デビュー・アルバム『when we all fall asleep, where do we go?』を準備中のビリー・アイリッシュですが、そんななかで突如リリースされたのがこの曲。タイトルどおり、アルフォンソ・キュアロン監督のNetflix映画『ROMA/ローマ』にインスパイアされて書かれた曲とのこと」

天野「変調された歌声とダークなムードのプロダクションが強い印象を残しますね。プロデュースは、音楽制作のパートナーであるお兄さんのフィニアス・オコンネル。ちなみに、この曲も収録されるキュアロン監督監修のアルバム『Music Inspired By Roma』がこれからリリースされるとか。アルバムも楽しみですし、2019年はビリー・アイリッシュの年になりそうですね!」

 

Sharon Van Etten “Seventeen”

田中「2曲目は、シャロン・ヴァン・エッテンの“Seventeen”。今週はこの曲と、ゲサフェルスタインとウィークエンドとの共演曲“Lost In The Fire”で悩みましたね」

天野「はい。シャロンは去年の10月に“Comeback Kid”を取り上げていたので、今回は他のアーティストを紹介すべきかなと考えもしたんですが、やっぱりこの“Seventeen”が素晴らしすぎて……」

田中「もう最高ですね。前曲同様にパンチの効いたドラムが印象的。鍵盤やシンセ、ギターのフィードバック・ノイズなどで徐々に昂揚感を高めていく見事なアレンジメントです」

天野「〈私は自由だった、17才だった〉という歌詞もロマンティック。早くも2019年屈指の力強いロック・アンセムが誕生したんじゃないかなと思います」

田中「NYを舞台に、現在の自分と若者時代の自分が交差するというMVも含めてスプリングスティーン的ですよね。監督のモーリーン・タウィーが〈シャロンはNYへのラブレターを作ろうと考えていた。若いアーティストの希望になりつつも、その夢を打ち落とすこともできる、この美しい街を捉えようとした〉と語っています。なんか泣けるな~」

天野「ですね。“Seventeen”も収録されるニュー・アルバム『Remind Me Tomorrow』はいよいよ今週末、1月18日(金)にリリースです!」

 

Deerhunter “Plains”

天野「続いてはディアハンターの“Plains”。これまた今週末にリリースされるアルバム『Why Hasn't Everything Already Disappeared?』からの楽曲です」

田中「アルバムからはすでに“Death In Midsummer”と“Element”という2つのシングルが切られていますね」

天野「なかでもこの“Plains”は、とりわけポップで親しみやすい一曲です。軽快に鳴らされるパーカッションやパッドの音、シンコペーションを効かせたシンセ・ベースがポップな印象をさらに強くします。〈ディアハンターってもっと不敵なサウンドを鳴らしていなかったっけ?〉って思いました」

田中「キュートで、トイ・ポップっぽさもありますよね。エレクトロニクスを大胆に導入しながら洗練されたアンサンブルを聴かせていた『Fading Frontier』(2015年)を経たからこそのサウンドという感じも」

天野「ポップさや、どこかレトロ志向な感じは『Halcyon Digest』(2010年)も思い出します。〈ディアハンターらしさ〉をどんどん更新し続けている彼らしいというか。ちなみに、サビで呼びかけている〈ジェームズ〉というのはジェームズ・ディーンのことだとか

田中「不毛な土地についての歌詞も、50年代のアメリカをこよなく愛するブラッドフォード・コックスらしいものですね。モノクロの映像が目に浮かぶようです」

天野「ダークでハードボイルドで乾いた世界観ですよね。とにかく、今週リリースの新作『Why Hasn't Everything Already Disappeared?』にはめちゃくちゃ期待しています。21日(月)からの来日ツアーも超楽しみ!」

 

 Fat White Family “Feet”

田中「次はファット・ホワイト・ファミリーの新曲“Feet”! 先日、〈Fat White Family 2019〉と題されたティーザーが公開されて、その直後にこの曲も発表されました!」

天野「『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界観を茶化した映像で、笑っちゃいました……。ファット・ホワイト・ファミリーといえば、映画『T2 トレインスポッティング』で『Songs For Our Mothers』(2016年)収録曲の“Whitest Man On The Beach”が使われたことでも注目を集めましたよね。それだけでなく、周辺のミュージシャンも含めてネットワークがリゾーム状に広がってて、ここ数年のロンドン・シーンのひとつの象徴というか」

田中「そうです! 南ロンドンが拠点のバンドなんですけど、政治的なメッセージを含む過激な歌詞と不穏なポスト・パンク・サウンド、そして破壊的なライヴ・パフォーマンスは、シェイムゴート・ガールら後続のバンドに大きな影響を与えました。ムーンランディングズやインセキュア・メンなどメンバーの別プロジェクトも盛んで、いまのUKインディーの震源地と言える存在ですよ!」

天野去年の夏にはシェイムとツアーもやったとか。アークティック・モンキーズを小馬鹿にした〈トリビュート・ギグ〉を開催したり、そういう反抗心と諧謔精神が最高です。この新曲は、エレクトロニックなビートとシンフォニックなアレンジが聴きどころですね。ユルさもあったサイケデリック・サウンドからグッと洗練されてて、オートチューンを使ってるのもイマっぽい感じ」

田中「新作からドミノに移籍したそうで、さらなるブレイクが期待されますね。そんなニュー・アルバム『Serfs Up!』は4月19日(金)リリース! バクスター・デューリーとのコラボも収録されるそうです!」

天野「〈Serfs Up!〉って、すごいタイトルだなあ……」

 

Ibibio Sound Machine “Tell Me (Doko Mien)”

天野「最後はイビビオ・サウンド・マシーンの“Tell Me (Doko Mien)”。ロンドンを拠点とするナイジェリア系のシンガー、イーノ・ウィリアムズが率いるアフロ・ディスコ・バンドです」

田中「世界各地のグローカルな音源を発掘しているレーベル、サウンドウェイから2013年にリリースされた初作『Ibibio Sound Machine』が話題になりましたね。〈イビビオ〉とは、ナイジェリア南部に暮らす民族集団のことなんだとか」

天野「なので、イーノはイビビオ語と英語の両方で歌っています。音楽的にはアフロ・ビートにポスト・パンクやエレクトロ・ファンクの要素を取り入れていて、トーキング・ヘッズやLCDサウンドシステムを彷彿とさせますね」

田中「ブリブリのベースとパワフルなホーン・セクション……推進力たっぷりのディスコ・サウンドには爆踊りしちゃいますね。ライヴもめちゃくちゃ楽しそうなので、〈フジロック〉とかで来日してほしいなー」

天野「そんな彼女たちの新作『Doko Mein』は3月22日(金)リリース。前作『Uyai』(2017年)からですが、レーベルがマージというのもおもしろいですね。今週はこんなところで。それではまた来週! 今週末はジェイムス・ブレイクの新作『Assume Form』を筆頭に、注目作が目白押しですよ!!」

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