自身の愛称をタイトルに掲げた10作目。過去2作のように2枚組ではないが、それでも24曲ものヴォリュームで旺盛な創作意欲が迫り来る。ウィズキッドとのダンスホール系ナンバー“Call Me Every Day”や50セントを引用した“Iffy”でダンサブルなキレ味を魅せるし、得意のマイケル節な“Forbidden”やガイ“Let’s Chill”ネタの“WE (Warm Embrace)”などの古典R&Bモードも抜群。ただ今回はエラ・メイとデュエットした“Sex Memories”をはじめとするウェットなミディアム群が出色の出来で、聴き通してみると不思議と統一感があり、余裕さえ感じるオーセンティックなR&Bアルバムという印象が勝る。キャリア17年目だが、まだ33歳。これからもマチュアで高水準な作品を期待したくなる一作だ。