Mikikiがいま、このタイミングで観てほしい出演陣を揃えたショウケース企画〈Mikiki Pit〉。次回は4月24日(水)に東京・下北沢 BASEMENTBARで、Luby Sparks、KONCOS、WOOMAN、ステレオガールの4組を迎えて行います。

こちらの記事では〈自身の音楽性を形成した楽曲〉というテーマのもと、出演者みずから選曲した10曲をご紹介。今回はWOOMANのフロントマン、Yosuke "YYOKKE" Tsuchidaが選曲しました。デンマークのコペンハーゲンからオーストラリアまで、ここ10年のインディー・カルチャーにおける重要シーンを先導していたバンドが並ぶなか、高校時代に聴いていたというエモやパンクもピックアップ。いまっぽくクールなルックスの奥底に熱い歌心を抱えている、WOOMANのバックグラウンドが伝わるものになっています。 *Mikiki編集部

 

〈Mikiki Pit Vol. 8〉
WOOMANを作った10曲

※Spotifyにない楽曲は、記事内に掲載の動画でご試聴ください

Lower “Soft Option”
その既視感のない佇まいと掴み所のない楽曲に中毒性があり、アートワークやミュージック・ビデオやマーチャンもすべてディレクションに統一感があって、そしてあっさり活動をストップしてしまったミステリアス具合。〈バンド〉と一括りにできない、何か一つの生き物ような存在感で良い意味でシーンにおいて違和感をもたらしていたバンド。そういった必要性のある〈違和感〉の部分で個人的に大分影響を受けました。またポッシュ・アイソレーション周辺でももっとも共感できたバンドです。この曲はなによりMVのメンバーの顔が良いです。そして何度聴いても覚えられない。だからまた聴く。ある種の発明だと思います。

Merchandise “Telephone”
WOOMANがトータル的にいちばん影響を受けているかもしれないのはマーチャンダイズです。この曲が収録された、カーソン・コックスの才能が爆発したアルバムではセクシーでいて重厚な世界観をキープしつつもポップな要素も見せる現時点で彼らの最高傑作かと思います。格好つけすぎない恰好良さとロマンスの共存。こんなムードのある電話の歌ってほかにないです。アメリカで一度ライヴを観たことがありますが、カーソン・コックスがボロッボロのマーチン10ホール(紐きつめで)を履いていてそれも良かった。

※2014年作『After The End』

Total Control “Safety Net”
オーストラリア/メルボルンのバンド、トータル・コントロールの個人的に彼らの作品でもっともキャッチーだと思う曲。音楽めっちゃ聴いてる人が書いてるメロディーだなと。そこにポスト・パンクの不穏な空気が混ざって唯一無二となっている。ロウワーにも近い存在感で僕の昨今の〈バンド〉のイメージを覆されました。最新EPもめちゃ良かったですが、僕の思うトータル・コントロールの魅力はこの曲に集約されていると思っておりますがどうでしょうか。

※2017年のEP『Laughing At The System』

Royal Headache “Carolina”
オーストラリアのロイヤル・ヘッドエイクもまた近年のWOOMANにとって影響源であると思っています。勢いだけかと思いきやどの曲もメロディーがしっかりあって半分のテンポでもきっと良い曲なのにわざわざ早くしてるところが最高です。が、この曲は珍しくミドルテンポであるところと、(おそらく)30代半ばのメンズがシャウトしながら〈泣き〉を歌うってお最高……と思った点が印象的な1曲です。演る側でも聴く側でも音楽で〈泣ける〉という感情、いつまでも忘れたくない部分です。

The Districts “Long Distance”
2017年のSXSWに出演するDYGLに遊びについて行って、現地で秋山(信樹)くんに教えてもらったアメリカ/フィラデルフィアのバンド。2000年代後半のUKインディー、USインディーに色濃く影響を受けたであろうライヴを見て、ストレートでダイナミックな演奏に胸を打たれ一発で好きになり、帰国後すべての音源をレコードで買いました。なかでもこの曲は彼らの持つ折衷感が繊細にうまく溶け込んだ1曲。最近のアルバムも良かったですが、こちらのほうが〈らしさ〉があって好きです。ネット以降の感覚で、いま生身で感情をぶつけるような演奏はより人々を惹きつけるのではないか?と考えるキッカケになりました。

Cazals “Poor Innocent Boys”
Diorのコレクション・モデルも務めたフィルがヴォーカルを取るカザルスの代表曲。無駄が無いシンプルなロックに言葉の乗せ方とメロディーが良いんだなー。キツネからリリースしたアルバムは録り音にメジャー感あって正直好きになれずでしたが(曲はスーパー良いので聴きますが)、先行して1-2-3-4(ちなみにレーベルまだやってる!)から出たこの曲の7インチのほうがエッジがあってソリッドで格好良いのです。

Think About Life “Paul Cries”
20代前半、この曲を聴いていなかったら音楽やってなかったかも、というくらい衝撃を受けたのがシンク・アバウト・ライフ。マイクとシンセとリズム・ボックスがあれば無敵!なところが最高です。ロックって、バンドってもっと自由なものなんだな! 俺らにもできるかも!と思わせてくれた意味ではいちばんの下敷きになっているのかも(結果違うものが出来上がったけどそれが人生というもの。受け入れるのも強さです)。上京して間も無く原宿アストロホールで見たライヴはいまも忘れません。友達のガリアーノ君が泣いていたことも忘れません。

Electronic “Twisted Tenderness” 
ニュー・オーダーのバーナード・サムナーと元スミスのジョニー・マーによるユニット。両バンド共にリアルタイムではなかったしそこまでガッツリとハマってはないですが、このユニットは別物です。まじキラーメロしかない。正直ニュー・オーダーよりもこっち。音も20年前の曲だけどちょうどいまにジャストな気分で最近よく聴いていました。UKのお茶の間で流れていてほしいな(多分流れてた)とか、「トレインスポッティング」(96年)のテーマがこっちだったら、という妄想で脳内再生したりして楽しんでいます。こんなシンセが全面に出た曲もいつかWOOMANでやってみたいことではあります。

The Get Up Kids “Out Of Reach”
10代の頃に聴いていて良かったと思える音楽のなかの一つ。ブラーもオアシスもニルヴァーナもそりゃクラスの話題についていくために聴いていたし好きだけどゲット・アップ・キッズのこの曲で泣ける友達のほうが信頼できる。この間友達のTeen Runningsが弾き語りカヴァーしていたので思い出し、最近また聴いてみたらめちゃくちゃ良かったです。アメリカのバンドは10代当時ゼブラヘッドとかのイメージしかなかったけれど(笑)、こんな繊細なバンドもいるんや!と私の音楽世界地図を広げてくれた一曲であります。

Snuff “Iyehf Taidu Leikh”
最後はまたまた10代の頃に聴いていた曲です。イギリスのパンク・バンド、スナッフの名曲。イントロのギター・リフからすでに歌ってて最高だなぁと、久しぶりに聴いてみたけど本当に良い曲だと思います。最近WOOMANの曲を書くときに着想として浮かべるものが10代の頃に聴いていた曲だったりして、それは原点回帰という意識でもなく単純にきっとより深く記憶に刻まれているから。僕らもどこかのティーンにとってそういう曲を書けたら素敵やなと。そう思い直し、明日からまたライヴに制作に力を入れていこうと思います。

 

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Live Information
〈Mikiki Pit Vol. 8〉

2019年4月24日(水) 東京・下北沢BASEMENTBAR
出演:Luby Sparks/KONCOS/WOOMAN/ステレオガール
開場/開演:19:00/19:30
終演:22:10(予定)
料金:前売り 2,000円/当日 2,300円(いずれも入場時に+1ドリンク要)

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