“グラフィティー”“BTB”のように音色一発でときめくナンバーに磨きがかかったほか、ダウナーなエレクトロ・サウンドのなかにソウルの要素なども感じる“ONE”、自然と身体が動くメロディーでしっとり聴かせる“煙”といった新機軸もいっぱい。押し引きのバランスが絶妙で、意表を突く熱血さで滑り込む“resonance”のギター・ソロとかまんまとハッとさせられた。結成10周年と聞いて納得の、5枚目のフル・アルバム。

 


形を変えながらも、常にキャッチーとクレイジーのいいとこ取りをしているパスピエ。5作目のフル・アルバムは、これまでの現行のサウンドを推し進めながらも、原点回帰のような趣もところどころに見せるのがツボ。なかでもリード・トラック“グラフィティー”が秀逸で、バンド、特に成田ハネダの暴れっぷり&クレイジーっぷりには〈こういうのを待ってました!〉と言わずにはいられない。