私はいつから音楽が好きになったのだろう。私の音楽のルーツとなった歌手やバンドはたくさんいるが、そのなかでもきっと初めて出会い、音楽の海へと連れて行ってくれたのが、〈初音ミク〉という存在だ。小学生の頃にボーカロイドを知り、YouTubeで繰り返し繰り返し聴いては、聴いても聴いても底知れないボーカロイドの投稿された楽曲の多さに圧倒されながら、どんどんと深いところまで潜っていった。当時は、HoneyWorksや、じん(自然の敵P)などを好んで聴いていた。

 さらに、歌い手という存在があることを知り、放課後、帰り道の公園で暗くなるまで友達と熱中していた。まるで、画面の中に宇宙が広がっているようだった。関連動画からまた新しい曲を見つけていく様は、星を繋げて星座を創り出しているようで、まだ知らない曲は星の数ほどあった。自分の知らないもうひとつの世界を教えてくれたのは、まぎれもなく彼女だ。Pが作った曲を正確に歌うのだけがボーカロイドではない。ボーカロイドひとりひとりに、個性やキャラクターがあり楽曲によってそれぞれがまた違う顔を見せてくれたのだ。

のーねーむ 夏と私とロックンロール のーねーむ(2019)

 今回みなさんにご紹介する曲は、のーねーむさんの“ドラマの観すぎ”です。この曲と出会い再生した時、久しぶりにボーカロイドが歌う曲を聴き、自分の中の何かが原点に戻ったような気がしました。爽やかで、可愛くて甘酸っぱい、夏らしい一曲。だからこそ、ある意味淡々と歌うボーカロイドがいい方向に可愛らしさや自分の心の中の気持ちみたいなものを引き出しているようで胸がキュンとなりました。そして、昔大好きだった曲たちは、今あの頃のように事あるごとに再生していなくても自分の中でいつまでも鳴り止まないことが嬉しくなりました。

 


原田珠々華(はらだすずか)
2002年生まれ、神奈川出身。ファースト・ミニ・アルバム『はじめての青』(TOWER RECORDS)が好評リリース中。8月31日には大阪・梅田シャングリラで〈夏期集中講座・追試〉を開催し、9月には〈イナズマロック フェス 2019〉や〈円頓寺デイリーライブ〉への出演も控えています。詳細は〈haradasuzuka.com〉にて!
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