戦前“海行かば”が軍国主義に利用されたこともあって最近まで忘れ去れつつあった作曲家、信時潔だがここ数年は神武天皇の東征を描いた交声曲「海道東征」が毎年のように大阪フィルハーモニー交響楽団によって演奏されるなど復権著しい。そんな「海道東征」に3つ目となる新録音が登場。今上天皇即位の奉祝行進曲《令和》を作曲指揮した北原幸男さんが東京交響楽団を指揮した令和元年の録音。古語中心の北原白秋の作詞は多少古めかしいが格調高い。大阪に生まれ「海道東征」の後半に出てくる神武天皇と長髄彦が戦ったという生駒山を仰ぎ見て育った信時潔の没後55年を寿ぐ記念作。