INTERVIEW

MFAレコードがマーク・ジュリアナやニア・フェルダーら注目プレイヤー参加のオムニバスで捉えた、最新のNYジャズ・シーン

MFAレコードがマーク・ジュリアナやニア・フェルダーら注目プレイヤー参加のオムニバスで捉えた、最新のNYジャズ・シーン

 『A Magnetic For Artists(アーティストを引き寄せる場)』という意味を持つMFAレコードは、まだ20代半ばという高瀬大地が発足させた新興レーベルだ。「もともと大阪の貿易会社でCDの輸出の仕事をやっていたんですが、それを辞めてレーベルを始めたいなと思って、とりあえずニューヨークへ行ったんですよ(笑)」と語る彼は、ギターを弾いていた大学生の頃からレーベルを作りたいと思っていたという。MFAレーベル第1弾となる『メルティング・ポイント』(7月23日発売)は、グラミー賞受賞アーティストのモーリス・ブラウン(tp)、サラ・ヴォーン国際コンクールでライジング・スター賞を獲得したジャズメイア・ホーン(vo)、現在の注目度No.1のマーク・ジュリアナ(dr)やニア・フェルダー(g)、阿部大輔(g)など、ニューヨークを拠点に活動する若手が多数参加した、オムニバス・アルバムだ。

THE NYC IMPROV PROJECT Melting Point MFA(2015)

  「もともと第1弾はニューヨークで作りたかったんですが、ジンク・バーやスモールズといったクラブでやっているスタンダード中心のものから、マーク・ジュリアナがやっているエレクトロニカを取り入れたものまで、いろいろな音楽を聴いているうちに、アイディアが多くなりすぎたんですね。で、どうせならひとつのジャンルで縛るより、ニューヨーク全体の音楽シーンを捉えることができないかなと考えたんです。タイトルは、人種のるつぼという意味のメルティング・ポットだとありきたりなので、ニューヨークのブルックリンというひとつの場所にみんなが集まったということで、『メルティング・ポイント』にしました」

 

マーク・ジュリアナ

 

 ニューヨークのミュージシャンとのコンタクトを取るにあたっては、プロデューサー兼ベーシストとしてアルバムに全面参加した、現地在住の奈良岡典篤(b)が重要な役割を果たした。高瀬は同級生を介して彼と知り合った昨年来、連絡を密に取りながら企画を練り上げていったという。アルバムは4組のアンサンブルによるそれぞれ2曲の演奏を中心に構成されている。ジャズメイアを主役とするアンサンブルは、ベースとのデュオによるトラディショナルなブルースと、環境音をまじえたオープンなインプロヴィゼイション、ジャリール・ショー(as)を筆頭とするアンサンブルは、スタンダード風の彼のオリジナルとファンキーなオルガン・ジャズ、モーリス・ブラウンとマーク・ジュリアナ、ニア・フェルダー、阿部大輔を擁するアンサンブルは、エレクトロニカの要素を盛り込んだジャム・セッションと都会的なコンテンポラリー・ジャズ、サリヴァン・フォートナー(p)を中心とするアンサンブルは、ファンキーなジャム・セッションとアップテンポのラテンという具合に、内容も多彩だ。各アンサンブルの顔ぶれは、現地調査を基に、高瀬が盛り込みたいと思う音楽のジャンルやスタイルに合わせて決めた。

 

ニア・フェルダー

 

 「ジャミソン・ロス(dr)はジャリールと一緒にやったことがなかったんですが、優しいドラムを叩く人なので、ジャリールには合うかなとか、マーク・ジュリアナとモーリス・ブラウンを合わせたらどうなるのかなとか(笑)」

 ライヴ形式の一発録りを基本に録音した演奏は、ライヴ録音とスタジオ録音の中間的な、独特の臨場感を帯びている。

 「CDでスタンダードなんかの演奏を聴いても、それほどワクワクしたことはなかったんですよ。でも、実際にニューヨークでジャズを聴いて、やっぱり生で聴くと全然ちがうなと思ったんですね。ニューヨークの音楽シーンのカッコ良さは、やっぱり生でしか表現できないのかなと。だから、実際のライヴならここで観客が拍手するんだろうなとか、その場で聴いている雰囲気を出したかったんですよ」

 MFAの第2弾はニュー・オーリンズのシーンを捉えたものになる予定だが、方法論としては全く違うものを考えているという。20代としては珍しく、レーベル・オーナーとして音楽と関わる道を選んだ高瀬大地の動向に、これからも注目したい。

40周年プレイリスト
pagetop