(左から)Tamotsu、Jinn、Kaneko

2002年にEP『Gathering Chaos』をリリースしたのち、コンポーザーのKaneko(ギター)が音楽活動から退き、活動休止状態になっていたCHAOS CONTROL。しかし、あるきっかけでバンドは突如復活、2022年、ついに1stフルアルバム『Call Of The Abyss』を発表した。その後もコンスタントに作品をリリースしつづけ、現在はKanekoと、兀突骨のメンバーでもあるTamotsu(ギター)、元ILLUSION FORCEのJinn(ボーカル)に加え、サポートメンバーとして摩天楼オペラの響(ドラムス)、ZilqyのMiho(ベース)が参加した強力なラインナップになっている。そんな彼らがバンド名を冠した3rdフルアルバム『CHAOS CONTROL』を完成させた。バンドの歴史とこれからの未来が詰まった渾身の作品について、メンバー3人へライター土屋京輔がじっくりインタビューした。

CHAOS CONTROL 『CHAOS CONTROL』 Repentless(2026)

 

20年休止していたCHAOS CONTROL復活の理由

――もともとCHAOS CONTROLはどのように始まったんですか?

Kaneko「1999年に自分はVIGILANTEというプログレッシブメタルバンドのスタッフをやっていて、当時は趣味で曲を書いているだけだったんです。その曲をVIGILANTEのリーダー大本(浩史)さんに聴かせたら、〈VIGILANTEのレーベルから出さないか〉と言っていただいて。大本さんがメンバーを用意して録ったのが『Gathering Chaos』という2002年のEPです。ただ、ライブは2回ぐらいしかやらないまま僕は引退してしまいました」

――若くしてなぜ引退を決意したんですか?

Kaneko「当時はいまのようにネットがない時代で、やろうとしていた音楽を再現できるメンバーが見つからなくて。人と会ってスタジオに入ってみて〈駄目だな〉となるのを繰り返すことに疲れてしまい、音楽から離れることにしたんです」

――瞬間風速的にいなくなったCHAOS CONTROLが復活すると聞いたときは驚きました。きっかけは何だったんですか?

Kaneko「SNSで『Gathering Chaos』を未だに聴いているという方を見かけたんです。それに〈ありがとうございます〉と返信したらボーカルの光永(敏典)から連絡が来て、〈また曲を書いてみれば〉と言われて。それで、2ndアルバム(『The Legacy Within』)の“I’m Back”を作ったんです。曲がすぐできて、思ったよりギターも弾けたので〈じゃあ、やってみようか〉と思ったのが経緯です。

レーベルのRepentlessを紹介してくれたのはVIGILANTEのレーベルメイトだったTIANANOGUEの岡野(正樹)くんでした。彼のPapilio EffectusというバンドがWalküreとRepentlessから作品をリリースをしていたんですね。最初は自主で出して自己満足できればいいと思っていたんですが、いざレーベルから出すとなったら〈しっかりとしたものを作らなきゃ〉と思い直して。

響さんとMihoさんのリズム隊でメンバーが固まってからは必然的にモチベーションも上がって曲を書くペースも上がりました」

 

知識と表現力を兼ね備えるTamotsu、圧倒的歌声を持つJinn

――順調に音源をリリースしてライブもやっていますが、ボーカリストの交代がありましたね。

Kaneko「光永が声帯を痛めたのでバンドを離れ、元SilexのChoさんにサポートしていただいてたんですが海外に赴任されてしまって。その後、Dan Figueiredoと一緒にやっていたんですが、今度は体調面の問題が出てしまった。

そんな折、兀突骨のAKITA KOKIさんの生誕祭に出演したらJinnさんが出演されていて、楽屋が一緒だったので〈ボーカルを探している〉と相談したことがきっかけでした。そこからJinnさんとライブを重ね、得るものも多く、人間的にも素晴らしい方なので加入していただきました」

――JinnくんはCHAOS CONTROLをどう認識していました?

Jinn「それ以前はILLUSION FORCEで活動をしていたので、CHAOS CONTROLの曲を自分が歌うことはないだろうと思っていました(笑)。でも、オファーを頂いてライブをやってみたら楽しかったんですね。

前のバンドの曲は音域が上だったのが、CHAOS CONTROLはかなり下で同期も使わない。ただ、意外と音域も合ったので、シンガーとして鍛えられたらいいなと思ったんです」

――Tamotsuくんは2025年のミニアルバム『Lost In Time』から参加していますが、どんな経緯だったんですか?

Kaneko「Tamoちゃんが所属していたTHE BARRELSというバンドが、〈Metal Battle Japan〉に出ていたので見に行ったらめちゃくちゃよかったんですよ。そのときに話をしてめっちゃいい子やなと思い、ギターも上手いのでお願いすることにしました。その選択は間違いじゃなかったと思います」

――Tamotsuくんは、加入の決め手はなんだったんですか?

Tamotsu「僕はとにかくライブが好きなので、演奏する機会が増えたら楽しいんです。それと、CHAOS CONTROLは激しいエクストリーム系ですが、技巧的なこともできる。音楽をやるうえで上手い人と一緒に演奏して何かを見つけることが僕の人生において重要なので、加入させていただきました」

――Tamotsuくんの音楽的なバックグラウンドはどういうものなんですか?

Tamotsu「LAメタルやスラッシュメタルとか、80年代メタルですね。ホワイトスネイクとジョン・サイクスが大好きですし、ドッケンもディープ・パープルもレインボーもイングヴェイ(・マルムスティーン)も好きです」

――世代的にリアルタイムではないですよね?

Tamotsu「そうですね。X JAPANから入りました。Xのルーツを探ってアイアン・メイデンに行き、80年代メタルにたどり着き、もっと感情の振り幅が欲しいと思ってエクストリーム系に行った感じです」

Kaneko「20代なのに話が通じるのでびっくりします(笑)。自分が影響を受けてきたギタリストに対する知見が広いギタリストはいまどき本当に珍しいと思います」

Tamotsu「ジューダス・プリースト大好き! パンテラも大好き!」

Kaneko「そこも決め手なんですよね。いまどき上手い人っていっぱいいるけど、ニュアンスの豊かさがあったり、古き良きギターヒーローの匂いをさせたりするギタリストがいない。教科書から逸脱できる人が少ないので、Tamoちゃんはそこが決め手でした」

――Jinnくんも80年代メタルは後追いの世代ですよね。

Jinn「僕はディープ・パープルから入ったんです。リアルタイムで流行っていたドリーム・シアターやホワイトスネイクも聴いていましたし、レインボーやドッケン、クイーンズライクも好きでした。基本的に産業ロックが大好きで、上手いボーカリストが歌うメタルが好きなんです。そういう意味ではクイーンもレッド・ツェッペリンも好き。

CHAOSに入ってからは音楽に合う声を作らなきゃいけないので、リンキン・パークとかも聴いています。最近好きなバンドはアヴェンジド・セヴンフォールドです」

――Jinnくんは韓国出身ですが、ディープ・パープルにはどうアクセスしたんですか?

Jinn「父さんの車で流れていて、“Black Night”のドラムがかっこいいなと思ったのがきっかけでした。90年代後半、世代的にキム・ギョンホには憧れました。ストライパーのカバーを聴いて、すげえ!って。韓国人は高音ボーカル好きが多くて、当時はロックバラードという歌謡系が中心でしたね」

 

Kaneko

パワーメタルを貫きつつ、キャッチーさと多彩さが増したセルフタイトル作

――さて、そんなメンバーが揃った今作ですが、セルフタイトルアルバムであることに意志を感じます。

Kaneko「メンバーが変わってこのメンバーでやっていくということで、一度リセットしたい気持ちはありました。それと、『Gathering Chaos』から5作目、フルアルバムは3枚目ということで、持っているネタを全部出し切りたかった。集大成というか、名は体を表したいという思いでセルフタイトルにしています。名前負けしない、それに相応しい内容にできたと思います」

――どんなアルバムにしようと考えていましたか?

Kaneko「国内にクリーンなハイトーンボーカルでちゃんとしたパワーメタルをやっているバンドがいないと思っていて、CHAOS CONTROLはそれをやりたくて始めたんですね。その帰結として、洋楽を相手にして音で殴り合いができるバンドにしたかった。歌謡曲らしさを出すとかはせず、あくまでピュアなメタルでやるスタイルは当時から変わっていないですね」

――パワーメタルは定義が難しいと思うんです。Kanekoくんにとってのパワーメタルはハロウィンではないですよね?

Kaneko「影響を受けたのがUSパワーのヴィシャス・ルーマーズだったり、スラッシュだったらフォビドゥンやエクソダスだったり。なので、僕のなかでパワーメタルはパワースラッシュなんです。ただ、CHAOS CONTROLはそこだけにスコープを合わせず、ヨーロッパのパワーメタルにベイエリアクランチの鋭く切り込む要素をブレンドさせた音楽を標榜しています。ハロウィンか否かということではちょっと被っているんですが、ヘヴンズ・ゲイトではないけれどブラインド・ガーディアンは近いかも、というような感覚です」

――今作はそういった要素がありつつ、これまででいちばんわかりやすく仕上がっていると思います。

Kaneko「嬉しいです。先ほど言ったように歌謡曲やアニソンに寄せるのではなく、メタルの範囲内でキャッチーに作れたなと。あと、いままではお客さんの視点をイメージをしていなかったんですよ。なので、〈ここでこうやったほうが盛り上がる〉〈こういうフレーズあったほうが美味しい〉といった視点でも考えました。幅も広くて聴き疲れしない、どの曲からでも聴けるアルバムにできたと思います」

Tamotsu「前作より格段にキャッチーになって、バラエティに富んでいると思います。“Fading Away”は〈バラードが欲しい〉と前々から言っていたので、やっと来た!って感じ(笑)。次につながる新しい可能性を感じます」

Jinn「ちゃんとメタルの要素を持ちつつ、けどメロディを活かせていて、行き過ぎずちょうどいいところに着地できたと思います。メロディが行き過ぎちゃうと拒否感があると思いますが、今作は綺麗にまとめられているので歌詞を書くのも楽でした。新しいボーカルスタイルを作る挑戦にもなりましたね」

 

〈これからが本当のスタート〉という意志を込めた“After The Fall”

――1曲目の“Into The Void”とつながった“After The Fall”は先行配信第1弾で、重要な曲だろうなと思いました。この曲は早めに仕上がっていたんですか?

Kaneko「いえ、だいぶ後半です。今作の曲って、実は半分ぐらいは前からあるものなんです。“Evil Eye”“The Sign”“Other Side Of Me”“Lost Universe”は以前からありました。残りの5曲は今年の3、4月頃、ドラムを録りはじめた時期に並行して作ったんです。

“After The Fall”は最後から2曲目ぐらいにできた曲ですね。アルバムの全体的な骨はできていたんですが、〈もう一発パンチが欲しい〉〈1曲目がない〉と思って書きました。もともと10曲目の“Hollow”が1曲目候補だったんですが、こいつを最後に持っていったらいい終わり方になるかなと」

――Jinnくんはアルバムの実質的な1曲目だという意識で歌詞を書いたんですか?

Jinn「そうです。それをモットーに〈これからだぞ〉という意味を込めました。メンバーの腕はいいし、いい曲を書けてるけど、ボーカルが変わったり、やりたいことをちゃんとできていなかった。なので、これからが本当のスタートだと。CHAOSの曲としては短いですが、CHAOSのよさがすべて入っていると思います」

――MVが公開された“The Sign”の曲想はどんなものだったんですか?

Kaneko「『Lost In Time』を出した直後から作りはじめて、ドラムだけは2025年に録ったんですが、前任のボーカリスト(Dan)が辞めることになって制作がストップしてしまったんです。それを仕上げた曲ですね。

CHAOS CONTROLが持っているいろんな要素をわかりやすく表していると思います。聴き方によって切り口が変わるというか。たとえば、3連のギャロップはアイアン・メイデンのように聞こえる人もいるでしょうし、聴き方を変えたらメタルコアのように聞こえたり。

ギターのタップの部分はTamoちゃんから〈2本でやりましょうよ〉とアイデアをもらってやったんですが、地獄を見ることになりました(笑)。すぐにできることだけをやっていてもしょうがないので、お題を課してくれてチャレンジできたのはよかったです」

Tamotsu「今回、僕がギターソロを弾いたのはこの曲だけなので、僕的にはそこが聴きどころです」

――ギターソロはワウを使っているんですか?

Tamotsu「使っていますね。ワウ大好き! マイケル・シェンカー大好き!」

――(笑)。作詞はKanekoくんですね。

Kaneko「歌詞を書いている最中に前任ボーカリストの体調が悪くなったので、〈元気になってこの曲をやろうぜ〉というエールの意味を含んでいました。Jinnさんとやるにあたって歌詞は変えたんですが、僕は何をやるにしても遅いってことはないと思っています。実際、20年活動していなかった自分が復帰して作品を出せているので、〈本気でやったらできるぞ〉〈元気になってくれよ〉と世のオジたちへの思いを込めました」

Jinn「CHAOS入門になる曲だろうと意識し、一般の方にも聴いていただきたいので声にディストーションをあまり入れず自然体で歌いました。ミックスのときはKanekoさんに〈ポップスにしてください〉と言ったんです。MVを撮ったのも大正解だと思います」

 

アルバムの転換点で新機軸のバラード“Fading Away”

――5曲目の“Fading Away”はアルバムの鍵になる重要な曲だと思いました。

Kaneko「この曲はもともとCHAOS CONTROL用に書いたわけじゃなかったんです。同月にリリースされますが、ベースでサポートしていただいているMihoさんのZilqyのアルバム(『Birth of Riot』)用に送った曲だったんですよ。Zilqyでは別の曲を採用していただくことになったので、女性ボーカルから男性用にして、CHAOS CONTROL用にアレンジを変えたのがこの曲です。こういう曲はかねてからTamoちゃんから切望されていたんですよね(笑)」

Tamotsu「ありがたい!」

Kaneko「自分としても満足度の高い曲です。おっしゃるとおりこの曲がアルバムの転換点で、今作はしっかり起承転結や転換ポイントを作れたと思います。

80~90年代のパワーメタルを聴いていた人間のなかにはバラード不要論者がいるじゃないですか(笑)。なので、バラードを書くことに取り組んではいたものの、毎回途中で放棄をしていたんです。でも、最近はTamoちゃんやスタッフに〈バラードをいい加減に作れ〉と言われて(笑)。やっと今回“Fading Away”を書きました。

〈もっとスローなバラードでもいい〉と言われるので、今後はそういう曲にチャレンジするかもしれません。今作はそのスタートになると思います」

――Jinnくんはそれをどう歌いましたか?

Jinn「すごくいいメロディなので単純なラブソングにしたくなかったんです。歌詞はある映画がモチーフになっています。お金持ちが事故に遭って、目しか動かすことができない不自由な状態になる物語で、その主人公の精神状態を入れたかったんですよ。途中で〈After the fall〉というフレーズも入れてアルバムのなかでのつながりも作り、いい感じに仕上げられました」

――こういう曲のギターソロは弾きがいがあるのではないでしょうか?

Kaneko「そうですね。バラードでも変わらずに弾きまくってしまうギタリストっているじゃないですか(笑)。でも、僕が好きなバラードは、ギターソロが歌の延長になっているものです。なので、この曲では歌の流れを引き継いで歌う感覚で弾きたかったんです」

 

Jinn

2ビートの限界まで加速する“Hollow”

――10曲目の“Hollow”は当初1曲目候補だったということですね。

Kaneko「個人的に推し曲です。2ビートでギターソロも派手にやって、というわかりやすくザ・CHAOS CONTROLな曲というか。過去の作品のラストも2ビートと複雑なコンビネーションのリフの曲で、それは僕の信条なんです。

これまではサビを聴かせるためにサビのテンポを半分にしていたんですが、今回は全編突っ走りました。以前はイントロの勢いで終わらせていたので、イントロからサビに向かって勢いが増していったまま加速しつづけて終わらせたかったんです。2ビートの曲はこれ以上は難しいかな、というところまで表現できたと思います」

――この曲が最後にあることによって、CHAOS CONTROLの作風がよくわかりますね。

Kaneko「しみったれて終わるより、速い曲で始まって速い曲で派手にかまして終わるのがこのバンドらしいですね」

Tamotsu「メタリカの『...And Justice For All』の“Dyers Eve”のような〈おあとがよろしいようで〉という感じが好きなので、僕も好きです。サウナに入ったあとの水風呂みたいな(笑)」

――Jinnくんは歌詞をどう書きましたか?

Jinn「実は自己投影みたいな歌詞なんです。いちばん勢いのある曲であり、最後の曲だから余韻が必要でもあり、ということを意識して書きました。僕的には次作のための余韻も作れたと思います」

――タイトルの〈Hollow〉はどんな感覚を表しているんですか?

Jinn「虚しさや虚無感、空虚といったイメージですね。僕は性格的になんでもかんでも100%満足できない人なので、そのことを書いてみたらどうかなというアイデアから出発しています。SNSとかに自己投影している人が多いので、そういったことと接続させて書きました」

――自分はなんのために生きるのか、ということは常に考えているんですか?

Jinn「もちろんです。6曲目の“Tides Of Time”は、かなり自分の人生観を入れていますね。箱根のポーラ美術館に行ったとき、ある大型展示があって、大きな紙を風で浮かせて波のように動かしている作品を見たんですよ。遠くから見ると波や雲に見えて、人生もああいうふうに生きたほうがいいなと思ったんです。そういうことを書きつつ、結局は自分の力で生きていかなくちゃいけない、自分の意思を表現するものだ、という歌詞ですね」

Kaneko「“Tides Of Time”を作曲したきっかけは、今年の1月にずっと連れ添った愛犬が亡くなったことでした。ペットロスで無気力になってしまい、考えや思考が追いつかない、うまくまとまらないなかで四十九日を迎えたんです。このまま何もせず、なんの記録も残さないまま事実を認めるのが嫌で、四十九日のうちに曲を書こうと思って作った曲です。ほかの曲とは一線を画していて、感情マシマシなギターが弾けたと思います。自分のなかで特別な曲ですね」

Jinn「歌うときも水が流れるように、直線で走って最後にパッと弾けるイメージで歌いました」

 

多様なメタルの要素を次々と披露する“Other Side Of Me”

――7曲目の“Other Side Of Me”にはいろいろなメタルの要素が入っていますね。

Kaneko「シーンごとに違う要素をつなげているので情緒不安定な曲ですね(笑)。頭はスラッシュメタルで始まって、メロデスになり、Bメロでメタルコアになり、サビでエモ-ショナルになる、みたいな。自己分析すると情緒不安定な曲だなと(笑)。でも、それが変な違和感にはなっていなくて、むしろそうあるべきという自然な感じで聴けると思います」

――違和感を覚えるかどうかは個人差があるので、どこに判断基準を置くかによって変わってきますよね。

Kaneko「おっしゃるとおりだと思います。僕らの場合、標榜しているのがパワーメタルやパワースラッシュで、スラッシュメタルにはプログレッシブな音楽性のバンドもいっぱいいるじゃないですか。ただ、〈売れている〉という尺度で見るとわかりやすいバンドが多い。メガデスもインテレクチュアルな雰囲気はあるけど、曲の作りはわかりやすい。サブジャンルで切ったときに違和感があるかないかは感覚的なものですが、僕はとっかかりがあるかどうかだと思います。〈作曲はかくあるべし〉という判断軸を僕は持っているので、常にそこを頼りに曲を作っていますね」

――この“Other Side Of Me”の歌詞にはJinnくんの宗教観が表れていると思ったんです。

Jinn「いえ、歌詞は曲に合わせて書いたものですね。サビでメロディの音数が少なくなってテンポも変わるので、ABメロとサビで差をつけたんです。なので、『ジキルとハイド』のようにABメロでは棘があることを言い、サビでは〈Love〉のような言葉を入れて差をつけました。そういう人っているじゃないですか(笑)。表では酷いことを言っていても、内面では〈他人にかまってほしい〉と思っているとか」

――なるほど。〈Lord〉という言葉を使っているので宗教的な歌詞だと思ったんですよ。

Jinn「〈Lord〉は自分だけが思う救世主といいますか。それが自分の周りにいる女の子でもいいし、愛犬でもいい。つまり極端な思考の人が考えるものなんですね。韓国ではよく〈神様仏様〉と言うんですが、そういうイメージです。宗教的なことではなく、人は極端な状況に陥るとなんでもかんでも助けを求めたがる、という意味ですね」

 

ミドルテンポで間口を新たに広げる“Evil Eye”

――ライブでどういう見せ方をするかが楽しみになる曲ですね。“Evil Eye”も早い時期に書いた曲とのことでしたね。

Kaneko「今作のなかでいちばん古い曲で、1stの曲を書いた直後にはありました。2ndにもEPにも合わず熟成されていた曲で、今作にはこれまで以上に幅と間口を広げる役割として必要だと思って入れたんです」

Tamotsu「これまでザ・ミドルテンポな曲がなかったから、こういう曲があると幅が出て嬉しいですし、お客さんも楽しめるのではと思います」

Kaneko「これまでは速すぎたからね(笑)」

Tamotsu「最低テンポが190とか(笑)」

――“Evil Eye”の歌詞は倒錯した精神状態でもがいている様子を描いていると感じます。

Jinn「デモの曲名がイメージに合っていたのでそのまま採用しました。なぜこの曲を“Evil Eye”と称したほうがいいのかと考えたとき、以前、自分が関わっていた集団において人として理解できないことが多かったことを思い出し、そこからスタートしています(笑)。経験したことがない状況や事件に巻き込まれ、パニック状態に陥ると人はどうなるのかを考え、困難な心理状態を描写したらこの歌詞になったんです。曲に合わせて怒りのイメージで強めの声で歌ったので、怒り一本槍の曲ですね(笑)」

――“Lost Universe”も初期からあった曲ということでした。

Kaneko「『Gathering Chaos』の頃の曲を現在に持ち込んでフルリメイクした感じですが、Aメロ以外に面影は残っていないと思います」

――あえて昔の曲を取り上げたのは理由があるんですか?

Kaneko「『Gathering Chaos』のメンバーの人選は自分でしたわけではないので、僕が本当に欲していた仕上がりになったかと言うとそうではなかったんですね。ギターもほぼ一発録りで時間がかけられなかったので、今回〈CHAOS CONTROL〉をタイトルに掲げるにあたり、自分の原点の曲を入れたかったんです。

当時の曲はスラッシュやパワーメタルの色が強いので、いかにも90年代メロディックパワーな“Lost Universe”をリメイクし、Bメロとかをガラッと変えてみたらいい仕上がりになりまして。それに今作はJinnさんに歌っていただくので、わかりやすい曲が欲しかったんです」

――そんな曲をTamotsuくんはどう受け止めました?

Tamotsu「ギター的には得意ジャンルではないんですけど、プレイしている方々が響さんとか現代的に演奏してくださるメンバーなのでやりやすかったです。こういう曲をプレイすると、やっぱり自分は現代っ子だなと痛感させられて辛いですね(笑)」

 

Tamotsu

長尺だが遅いテンポと構成の妙で聴かせる“All As One”

――9曲目の“All As One”はどのように生まれた曲なのでしょうか?

Kaneko「これも2ndのときにあった曲です。僕は曲作りにおいてテーマを設けていて、前に作った曲と似たものを作らないようにしています。特に2ndの時期はそれを意識していて、速い曲が多いのでイントロとかのテンポを落とした曲を作りたかったんですよ。

なので、まずイントロから作ったんですが、クリーントーンの部分は後づけです。クリーンでおもしろいことができないかと考え、パッと浮かんだのがテスタメントでした。きっとアレックス・スコルニックだったらこういうトライアドの音を使うんじゃないかと思ってやってみたら、思いのほかよかった。なので、空想上のテスタメントみたいな(笑)。

ただ、遅いだけだともっさりしてしまうのが嫌だったので、差し込みのポイントでテンポを上げて調整しました。6分40秒ぐらいある長い曲ですが、5分台の曲と変わらない感覚で聴き味がよくて耳疲れがしないようにチャレンジしています。構成もダレたり中弛みしたりしないように意識しました」

Tamotsu「この曲はギターソロがお気に入りなんです。僕が弾いたわけじゃないんですけど(笑)。真ん中らへんの明るくなる部分のフレーズがコードと合っていてすごくかっこいい。あとJinnさんの歌は、サビの語尾の余韻の残し方が芸術的だと思います。リスナーとして聴いていて刺さる曲ですね」

Jinn「この曲は、実は今作のなかでいちばんテンポが遅いんです。なので、できるだけ余韻を残したいと思い、Tamotsuくんが言ったようにAメロとかはあえて音を伸ばして歌っています。ストレートに歌うより、スーッと上がってその音程にたどり着く歌い方もしていますね。曲の雰囲気を壊さず、全体的に引っ張っていくのはボーカルの役目なので、抑揚をつけつつ歌いました」

――CDのボーナストラック2曲は『Lost In Time』収録曲のJinnくんボーカルバージョンですね。

Kaneko「この2曲にしたのは、ライブを念頭に置いたのと、ボーカルが変わったことを打ち出すならこの2曲がいちばん表現できると思ったからです。この並びを決めるために“Hollow”からの流れを何時間もリピートして、耳が馬鹿になりそうでした(笑)」

――“Hollow”で本編が終わりではなく、ボーナストラックにつながっているんですね。

Kaneko「つながっています。CDで聴いてくださる方が続けて聴いたときの聴き味がどうかを考えました。Jinnさんありきの作品としては12曲目まで楽しんでもらいたいですね」

 

新生CHAOS CONTROLを見せつけるライブ

――ライブのセットリストのようですよね。その意味でも今後のライブが気になるところです。

Kaneko「11月22日、3連休の中日の日曜日に新宿ANTIKNOCKでワンマンライブを開催します。年内はもう1本あって、同じくANTIKNOCKで12月25日、Alternation of Generationsさんとツーマンをやります。タイトルは〈DEAD INSIDE XmaS〉です(笑)」

――AOGとのツーマンはどんな経緯で決まったんですか?

Kaneko「うちはライブのカメラマンをLitchiさんにやっていただいてるんですが、ツーマンの相手を相談したら、AOGさんも対バン相手を探していると教えてもらったんです。それでFUMIYAさんへつないでいただいて今回のツーマンの話が決まりました。めちゃくちゃ楽しみですね!」

――FUMIYAと響の敏腕メタルドラマー対決も楽しみですね。TamotsuくんとJinnくんはリリース後の活動にどんなことを期待していますか?

Tamotsu「ゆくゆくは海外に行くことにチャレンジしたいですね。それに向けて、いまどんな立ち回りをするかを考えています」

Jinn「個人的にCHAOS CONTROLは、日本では唯一無二のサウンドのバンドだと思います。今回ちゃんと名刺ができたので、これを礎に基盤を作りたいですね」

――これからは〈元ILLUSION FORCEのJinn〉ではなく〈CHAOS CONTROLのJinn〉という見え方が定着していくわけですからね。

Jinn「そうですね。それに相応しい作品ができたと思います」

 


RELEASE INFORMATION

CHAOS CONTROL 『CHAOS CONTROL』 Repentless(2026)

リリース日: 2026年10月21日(水)
品番:RETS-0048
フォーマット:CD
価格:3,500円(税込)

TRACKLIST
1. Into The Void
2. After The Fall
3. Evil Eye
4. The Sign
5. Fading Away
6. Tides Of Time
7. Other Side Of Me
8. Lost Universe
9. All As One
10. Hollow

Bonus Track
11. Until The End (Jinn Vocal Version)
12. World Of Insanity (Jinn Vocal Version)

 

LIVE INFORMATION
CHAOS CONTROL “3rd Album Release One-Man Show”
2026年11月22日(日)東京・新宿 ANTIKNOCK
開場/開演:17:30/18:00
出演:CHAOS CONTROL
前売り/当日:5,000円/5,500円(いずれも+1 Drink​)

■LivePocket
販売開始:2026年8月29日(土)13:00から
販売終了:2026年11月22日(日)18:00まで
https://livepocket.jp/e/chaoscontrol1122

CHAOS CONTROL Presents 2Man Show【DEAD INSIDE XmaS】
2026年12月25日(金)東京・新宿 ANTIKNOCK
開場/開演:17:30/18:00
出演:CHAOS CONTROL/Alternation of Generations
前売り/当日:5,000円/5,500円(いずれも+1 Drink​)

■LivePocket
販売開始:2026年10月4日(日)13:00から
販売終了:2026年12月25日(金)18:00まで
https://livepocket.jp/e/deadinsidexmas

 

■CHAOS CONTROL are
Jinn - Vocals
Kaneko - Guitar, Backing Vocals
Tamotsu - Guitar

■Support Musicians
Miho - Bass
Hibiki - Drums

■CHAOS CONTROL official site
https://www.chaoscontrol-jpm.com/

■Repentless officialsite
https://www.repentlessrecords.com/