INTERVIEW

SCOOBIE DO『CRACKLACK』 リーダー不在の3名で語る、スクービーらしくもちょっと違う新作

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  • 2017.10.13
SCOOBIE DO『CRACKLACK』 リーダー不在の3名で語る、スクービーらしくもちょっと違う新作

13年ぶりのシングルとして4月にリリースされた“ensemble”を予告編に、13枚目のオリジナル・アルバム『CRACKLACK』を10月4日に届けたSCOOBIE DO。ポップなファンク・ナンバー“Love Song”を幕開けに、80sブギー・テイストの“Cold Dancer”、ミッド・テンポのディスコ・ファンク“禁じられたふたり”あたりではトレンドとも向き合いつつ、ジャズ・フレイヴァーな“My Rhythm”“Lack”、熱いギター・ソロを聴かせる“愛はもう死んだ”、往年のブラック・ムーヴィーさながらのスリリングなファンク・サウンドに歌謡風味のメロウネスを乗せた“MI.RA.I”……と、字面だけ見れば想定内のサウンドのように思えなくもないが、実際に耳にしての印象は先行の“ensemble”と同様に、どこまでもSCOOBIE DOらしいけど〈いつもとはちょっと違う〉感じだ。

それもこれも今回は、リーダーでありソングライターのマツキタイジロウがDAWで制作したほぼ完成形に近いデモをバンドで再現していくという手順を踏んだことによるものなのだが、そもそもそういったことになった背景には、ベースのナガイケジョーが発したある〈ひと言〉が。ということでMikikiでお送りする今回のインタヴュー。“ensemble”リリースの際にはマツキタイジロウに話を訊き、そこでアルバムに繋がることも語ってもらっていましたので、今回はそれを受けて彼以外のメンバー――ヴォーカルのコヤマシュウ、ベースのナガイケジョー、ドラムスのオカモト“MOBY”タクヤにご登場いただきました。

★“ensemble”リリース時のインタヴューはこちら

SCOOBIE DO CRACKLACK CHAMP(2017)

マツキタイジロウが好きなものを音にして、それをスクービーで演奏してるような感じ

――“ensemble”でのマツキさんへのインタヴューの中で、ナガイケさんが〈このままのやり方で本当にいいのか?〉ということをおっしゃっていた、という下りがありましたね。

ナガイケジョー「まあ、何かをひっくり返そうと思って言ったわけでもなくて、ただなんとなく、自家中毒にならない制作手法を探ってみようというか……余所のバンドとか見て、プロデューサーを立ててみたりとか、エンジニアを変えてみたりとか、そういうのあるよねっていう話をしたかっただけだったんですよ。セルフ・プロデュースっていうかたちで10年やってきて、着々とキャリアを積んで成長してきて、野音は動員的にもライヴ的にも大成功だったし、じゃあその次にSCOOBIE DOは何を目指しましょうかっていうときに、〈さらに〉っていうのは絶対あるんですけど、その〈さらに〉っていうところをメンバーのみんなはどういうふうに思ってるんだろうっていうのをひとつ確認しようと思ったら、そこでひとつ川が氾濫したっていう(笑)」

バンド結成20周年を祝して2015年10月4日に日比谷野外音楽堂で行われた〈ダンスホール野音〉の様子
 

――思いのほか、影響を被ったと。それこそメジャーのアーティストだったりすれば、今度のやつはここが前と違いますみたいなトピックを必ず求められたりしますしね。

ナガイケ「そういうことを言われがちじゃないですか。この人と組んでみたらおもしろいんじゃないかとか、ね。それでまあ、今回は誰かプロデューサーを立ててみようかとか、そういう話になったりもしたんですけど、ただまあ、そうなると今度はどこを目指してプロデューサーを立てるのかというところで、またそこも漠然とした状態だったので、じゃあ今回はオレがプロデューサーみたいな形でやるよってリーダーが立ち上がった感じなんですよね」

――プロデューサーのクレジットは……?

ナガイケ「クレジット自体はいつものようにバンド名義になってるんですけど、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムの4つの音以外のアレンジは完全にリーダーがやっているので、リーダーの〈プロデューサー目線〉を活かした作品と言ったほうがいいのかもしれないですね」

ナガイケジョー
 

――“ensemble”のインタヴューでもマツキさんが語っていますが、アルバムに向けた一連の制作前に、マツキさんが入野自由さんの楽曲プロデュースをしたことが大きかったようですね。

ナガイケ「リーダーはもともとアレンジャー的資質が高い人だと思うんですけど、今回は鍵盤のアレンジとかもわりとしっかりと作ってきて。そういうところも、入野自由さんの制作があったからこそだと思います」

オカモト“MOBY”タクヤ「〈デモをきっちり作らないとプレゼンできないよ〉みたいなことを言われたらしいので、本腰入れて打ち込みをやるようになって。もう、いまや空き時間とかずっとMacBook開いて波形とにらめっこしてますから」

――DAWを駆使してアレンジまでほぼ完成形に近いデモをきっちりと作って来る、という順序が踏まれたことで、受け取ったときの印象もいつもとは違ったと思いますが。

ナガイケ「そうですね。“ensemble”を聴いたときは、リズムもキメキメだし、ドラムも〈ダチーチーチー〉みたいなのがたくさん入ってくるから、複雑な曲を作ってきたなというイメージでしたね。いままでにまったくない感じではないんですけど、ガッチリ構築されてるというか、Aメロがあってサビがあってっていう構成とか、リズム・パターンがいちいち展開していくところとか、すごいなって思いながら聴いてました。でもね、弾いてみたら、コード感とかはいつもの感じなんですよ。突拍子もないコード進行が出てくるわけでもなく、単純にいつもの感じなんだなというのはあって」

――なるほど。

ナガイケ「実はデモをガッチリ作ってきてるっていうこと以外作り方はいつもと何も変わってなくて、それでまあ、結局はスタジオに入って〈ベースはこんな感じで〉というやりとりにはなるわけで。ただ、弦楽器は〈こんな感じで〉って言われれば弾けちゃう、いままでとさほど変わらない作業なんですけど、ドラムは〈こんな感じで叩いてほしい〉というのが伝わりやすくなったから、打ち込みのドラムを生で再現できるかできないかっていう問題もあると思うんですけど、手癖で追えない感じがあったんじゃないかな」

MOBY「最初聴いたときはスゲェいろいろやってるなあって思ったんですけど、やってみたら意外とそうでもなかったというか、たしかに僕が手癖では叩きそうもない感じの部分もあることはあるんですけど、全体的にはなんとなく僕が叩きそうな感じになってるんですよね。やっぱりバンドのアンサンブルを考えて作ってるんだなと。おそらく他の人に提供するデモとは違う、SCOOBIE DOのデモをちゃんと作ってるんだなと思いました。実際、このメンバーでやるとバンドの音になるというのはすごく感じたし、やっぱりSCOOBIE DOの音だなって思いますね」

オカモト“MOBY”タクヤ
 

ナガイケ「まず、ドラムがMOBYだから、MOBYの音になる」

MOBY「訛りまくりのドラムがね(笑)」

ナガイケ「そこで決定づけられるっていうか、デモとは明らかに違うものになるという。人がやることだから変わっていけばいいと思うし、ガッチリ作ったデモがあるのは、ひとつ台本が出来てるということだと思うんですよね。そのうえで演じるというか、自分が演じるうえでの肝みたいなのをどこに置くかが、ひと通り最初から最後まで読んでいくと〈ここかな?〉っていうのが感覚的にわかってくる。まあ、わかってくるというのは自分の判断ですけど、そういうのがわかりやすいやり方だと思う、今回は。正直、デモからいくらでも変えていいと思うんですよ。ここから始めようねっていうだけのことだから」

――曲の構成やリズム・パターン、コード感などはさておいて、今回の『CRACKLACK』は、音色のアレンジにおいて新しさを感じさせる部分が多々ありますよね。それこそ1曲目“Love Song”のイントロ、最初に鳴るドラムからしてイジってますし。

MOBY「今回のアレンジはある意味、SCOOBIE DOっぽくしようという気がいちばんないですね。マツキタイジロウが好きなものを音にしてる感じ。それを演奏して歌ってるのがSCOOBIE DOっていう、極端に言えばですけど」

――ライヴで再現することはあまり考えてない?

ナガイケ「ライヴはライヴでやればいいと思ってるんだろうね」

MOBY「今回に限らず、レコーディングで出してるドラムの音とライヴで出すドラムの音は、基本、分けて考えていて。僕のイメージとして、レコーディングでライヴっぽい音にしたいときは逆にライヴっぽくしない、がっつりミュートをかけたほうがライヴっぽく聴こえるというのもあるので。細かいところはエンジニアの中村(宗一郎)さんに任せちゃうので、基本的に特別なことはしてないです。中村さんが録りやすそうな好きな音にしてるっていうだけで。あのスタジオでイイ鳴り、イイ雰囲気でっていちばんよくわかるのは中村さんだから、ある程度準備したらあとは任せるっていう感じでずっとやってますけどね」

 

スクービーがスクービーであること

――ここまで主にリズム隊のお2人にお話を訊いてきましたが、ヴォーカルとして今回の新曲群はどう受け止めましたか?

コヤマシュウ「いつもそうですけど、まあ、歌モノだなあって。アレンジはいろいろあるんだろうけど、オレはあんまりそういうところを考えてなくて、ちゃんと歌う、イイ感じになるように歌うだけ(笑)。コード感とかはいつもの感じってナガイケが言ってましたけど、たしかにメロディーの部分に変化を感じてはいなくて。新しい感じでやろうってところから始まってるけど、言葉とメロディーみたいなところは〈スゲェ意外〉という感じはまったくしない。まあ、最初にデモをもらったときは、これって最終的にSCOOBIE DOっぽくなるのかな?みたいなことをちょっと思ったりしたものもあったし、まあ、SCOOBIE DOっぽくならなくてもいいかなとも思ったんだけど、出来上がってみるとSCOOBIE DOっぽい、リーダーの作るイイ歌っていう、そんなふうに思いましたけどね」

コヤマシュウ
 

――今回、プロデューサーとしてのマツキさんにフォーカスされる部分は多いと思うんですけど、ギタリストとしての存在感もちゃんと見せてるというか……“愛はもう死んだ”のギター・ソロは熱いなあと思いました。

コヤマ「これ、すんごい時間割いてやってましたよ。スタジオは、最初にリズム隊が入ってベーシックを録って、その次の順番で歌って、ギター録って、みたいな作業に入るんですけど、このギターはめちゃくちゃやってたなあ。聴いてるほうとしては1発目のテイクからぜんぜんOKだと思うんだけど、〈違う違う〉って。エンジニアの中村さんも、〈ないがちだけどありなもの〉への嗅覚がすごいから、いまのはナシですねとか言うし(笑)。まあ、出来上がってみるとありそうでない、いかにもな歪んだギター・ソロとは実は違ってたりとか。DAWでアレンジができると、音を挿すっていうことで風景が変えられるじゃないですか。でも、ギター・ソロって古典的というかね、いちばん〈ないがち〉にしづらいから、そこでの戦いはいつもしてますよね」

ナガイケ「ギタリストとして、そこで何か残したいとも思うだろうし」 

コヤマ「毎回、そこは難産なひとネタとしてやっているんじゃないかと思いますけどね」

ナガイケ「ギター・ソロといえば、“Lack”のソロは好きですね。ちょっとジャジーな感じで。フレーズ的には目新しいというわけではないんですけど、音の強弱のニュアンスが絶妙で、ここ聴きたくなるなっていうポイントになってますね。やっぱり人が演奏してるから、そういうところって大事なんですよね。そういうのはどちらかというとプレイヤーのエゴですけど、普通に音楽を聴いてる人は歌詞とメロディー、まずはそこを聴く人が大半で、それ以上の濃い部分となると、弾く人のエゴと聴く人のエゴのぶつかり合いになってくと思うから、そういう部分でも耳を惹きたい」

コヤマ「今回、音がちゃんと入ってるデモ、それを生の音に差し替える……って言ったらヘンですけど、感覚的にはそういう感じなわけですよね。なんだけど、やっぱそれぞれ人間が弾いたもの叩いたものになっていくと、ナガイケが言ったような感じでちょっとゾクッとするものが生まれるんですよ。その感じはイイですよね、SCOOBIE DOの良さだなあって思った。すごく音圧があるけど、よくよく聴いてくとただ詰め込んでるだけ、あんまり楽器感というか生感がないというのかな、それはそういうものでアリだとは思うんだけど、聴いてるとつまんねえなあってことになってくる。すごく地味なテーマではあるんだけど、オレら自身の手でやっていく価値はあるというか、この音でカッコイイだろ、こっちのがカッコイイじゃんって言わせたいっていうかね」

――まあ、そういうことは誰でもできるわけじゃないですしね。百戦錬磨のSCOOBIE DOだからできることではあるし。

ナガイケ「何げにそういうことなんですよね。まあ、今回はガッチリとしたデモを作って来たところがひとつの変化ですから、マツキさんがいままで作ってきたものが大きく変化したわけじゃない。マツキさんが聴いてるイマドキのものとかも意識してると思うし、アレンジもこういう感じでって一個洗練されたものになってるけど、聴いてるとマツキ印だなと。入野自由さんの現場で曲を聴いたときも、びっくりするぐらいマツキ印で、これを入野さんに提供してること自体がグッとくるみたいな。そういう部分で本人も〈オレはこうなんだ〉というのをいろんなところで思うところはあったんでしょうね。僕もベースを弾いてて〈結局は自分っぽくなるな〉というところがジレンマというか、でも、結局〈これが好き〉みたいなところに落ち着いちゃうから、ちっともイイとは思わないけどみんなイイって言ってくれるからイイや、とはあんまりならないわけで。今回、ひとつこういう作り方をしたことで、逆に自分たちが自分であることを出しやすくなったんじゃないかな」

MOBY「そうそう」

ナガイケ「だから『CRACKLACK』はすごく自分たちっぽい作品だなって思うんですよ」

 


MOBYからのお知らせ

VARIOUS ARTISTS ダチーチーチー Pヴァイン(2017)

BERNARD PURDIE Lialeh Groove Diggers/Pヴァイン(2017)

TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」にてDJ JINさん(ライムスター)ともに提唱したドラムのフィル〈ダチーチーチー〉の素晴らしさが各所で呼び、遂に〈ダチーチーチー〉が入っている曲ばかりを集めたコンピレーション・アルバム、その名も『ダチーチーチー』が11月15日(水)発売決定! それに先駆け、〈ダチーチーチー〉のオリジネイターとしても知られるドラマー、バーナード・パーディが74年にリリースした映画のサウンドトラックにしてレア・グルーヴの大名盤『Lialeh』も再発。ライナーノーツはMOBYが入魂の3200文字書き下ろし!(MOBY)

 

ナガイケジョーからのお知らせ

ナガイケジョー ベーシストの名盤巡り 低音DO リットー(2017)

「ベース・マガジン」にて2009年から続けている連載コラムが今年100回目を迎えたことを記念して、このたび書籍化が実現! その名も「ベーシストの名盤巡り 低音DO」!〈ていおんどう〉と読むんだよ。ベースのことはもちろん、文学&禅&猫イラストなど雑多なネタを交えた軽妙な文体は、コレまさにベーシストのなせるワザ! サラッと踊りながら一筆書き。グルーヴィーだね、大事なのはリズムです、まずは踊るように手に取ってみてください!(ナガイケ)

 

Live Information

〈『CRACKRACK』発売記念インストア・ライヴ〉
10月21日(土)タワーレコード名古屋パルコ店
10月26日(木)タワーレコード仙台パルコ店
11月2日(木)タワーレコード梅田NU茶屋町店

〈Funk-a-lismo! vol.11〉
10月20日(金)千葉LOOK
10月22日(日)静岡UMBER
10月28日(土)秋田CLUB Swindle
10月29日(日)青森Quarter
11月3日(金・祝)広島Cave-Be
11月5日(日)高知X-pt.
11月11日(土)長野LIVE HOUSE J
11月12日(日)金沢vanvanV4
11月18日(土)四日市CLUB CHAOS
11月19日(日)京都磔磔
11月23日(木・祝)大分club SPOT
11月25日(土)鹿児島SRホール
11月26日(日)熊本Django
11月28日(火)神戸太陽と虎
12月2日(土)新潟CLUB RIVERST
12月3日(日)福島Out Line
12月16日(土)盛岡the five morioka
12月17日(日)仙台LIVE HOUSE enn 2nd
12月23日(土)高松DIME
12月24日(日)滋賀U☆STONE
2018年
1月7日(日)札幌ペニーレーン 24
1月14日(日)福岡LIVE HOUSE CB
1月16日(火)岡山CRAZY MAMA 2nd Room
1月21日(日)水戸ライトハウス
1月27日(土)名古屋CLUB UPSET
1月28日(日)梅田TRAD(前umeda AKASO)
2月11日(日・祝)Zepp Tokyo ※ファイナル

〈クアトロマンスリーシリーズ 2017〉
"シャウト&ソウルな男達"
10月12日(木)東京・渋谷CLUB QUATTRO
共演:THE BAWDIES
"ダンスでパラダイスな男達"
11月9日(木)東京・渋谷CLUB QUATTRO
共演:KEYTALK

〈晩秋アコースティックFunk-a-lismo! in 城下公会DO〉
11月21日(火)岡山城下公会堂

〈あなたが決める!年忘れリクエスト・ベストテン!〉
12月29日(金)モーション・ブルー・ヨコハマ

〈新春アコースティックFunk-a-lismo! in京都〉
2018年1月11日(木)京都拾得

〈新春アコースティックFunk-a-lismo! In福岡〉
2018年1月13日(土)福岡LIV LABO

★ライヴ、その他のイヴェント情報の詳細はこちら