活動休止期間を挿み、4人組の新体制となっての新作が完成。緻密に練られた曲展開、人懐っこい歌メロ、楽曲の構成要素として欠かせない管楽器やハーモニーといった個性はそのままに、リズム隊がサポート・メンバーに変わったこともあってか、曲によってR&Bやヒップホップのような音数を絞ったアレンジに接近している。“Do you know what I mean?”ではヴォコーダーと打ち込みのビートを導入するなどより現代性を纏った作品とも言えるが、それはあくまで一要素であり、ポスト・ロック風の“サースティ”あたりも素晴らしいのが彼ららしい。女性メンバーがリード・ヴォーカルを務める曲もあったりと、より有機的な集合体として自由な創作が可能になったということなのだろう。また、歌詞の独自性も特筆すべきで、特に“分からなくなる前に”や“拡がった現実”のような、現代への批評精神とロマンティックな視線の入り混じった言葉にはハッとさせられる。唯一無二の存在であることを改めて証明する、傑作だと思う。