山田一雄、死の5か月前の《英雄》。言わずと知れたこの大曲で、結成間もない大阪センチュリー交響楽団(現・日本センチュリー交響楽団)と共演。2管編成という小編成の新鋭オーケストラを率いて、ベートーヴェンに真正面から向き合うようなこの演奏は、奇を衒うことなく、とにかくひたむきにスコアを音にしていく。そんな老巨匠のタクトについていく若きオーケストラの姿。その両者の真摯な演奏に、この曲の魅力を再認識させられずにはいられない。特に終楽章へ向かえば向かうほどその濃度は増していく。聴き終えた後の満足感は間違いなし! 同時収録の十八番の『イドメネオ』の《ガヴォット》も貴重!

【参考音源】山田一雄指揮、モーツァルト“交響曲第14番”