コラム

アグネス・オベル(Agnes Obel)× 室内楽アンサンブルのライブ映像に嘆息

ナショナル・ソーダストで構築した壮麗な音響空間に浸る

アグネス・オベル(Agnes Obel)× 室内楽アンサンブルのライブ映像に嘆息

アグネス・オベルは2020年1月16日、ニューヨークのブルックリンにあるナショナル・ソーダスト(National Sawdust)でライヴを行なった。2015年秋にオープンしたナショナル・ソーダストはクラシックからワールド・ミュージックまで多様な音楽のプログラムを行ってきたライヴ施設で、これまでにフィリップ・グラスやヨーヨー・マ、クリス・シーリ、ニコ・ミューリー、グレン・コッチェなどが出演、また、ジョン・ゾーンやテオ・ブレックマン、本田ゆか等がキュレーターを務めたプログラムを実施してきた。複数のジャンルに跨がるシンガー・ソングライター兼キーボード奏者であり、ポスト・クラシカル〜現代音楽とも接点を持つアグネスにふさわしい場所と言えるだろう。

現在ネット上で公開されている映像は、“Won’t You Call Me”と“Island Of Doom”、“Myopia”、“Camera’s Rolling”の4曲。いずれもドイツ・グラモフォンからリリースされたアグネス・オベルの最新作『Myopia』の収録曲だ。エレクトリック・ピアノを弾き語りするアグネスを、3人の女性ミュージシャンがそれぞれヴィオラ&メロトロン、チェロ&オルガネラ、パーカッションでサポートし、しかもコーラスを付ける。こうした4人編成だが、アコースティックとエレクトリック楽器が組み合わされ、2人の弦楽器奏者は弓弾きとピチカートの両方を駆使し、さらにバンド専属のエンジニアがアグネスたちの歌と演奏にさまざまな音響効果を施している。よって室内楽アンサンブル的編成が奏でている音楽とは思えないほどの音響空間が構築されており、そのある種壮麗な音響空間に引き込まれずにはいられない。

アグネスは昨年11月にプロモーションのために来日した際に3人の女性ミュージシャンと共にショーケース・ライヴを行なったが、いつか本格的な初来日公演が実現する日を、僕は心待ちにしている。

 

*2020年5月16日追記
記事初出時に掲載していた写真はアグネス・オベルのものではなく、カミーユ・トマのものでした。読者のみなさまには謹んでお詫び申し上げるとともに、訂正をさせていただきます。 *Mikiki編集部

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