2014年のバンド結成以降、独自のコンセプトでハイペースにリリースを続けているザアザアが、〈愛「」〉をテーマにしたミニアルバムを完成させた。1曲1曲に〈愛にまつわるお話〉があり、聴く人の想像力を掻き立てるストーリー性に溢れた作品に仕上がっている。

ザアザア 『愛 「」』 little HEARTS(2020)

今ヴィジュアル系バンドの中で最もエモいギターロックバンド〈ザアザア〉。ネガティヴな歌詞をキャッチーなメロディーに乗せ、毎回コンセプチュアルなリリースをする彼ら。メンバーの経歴もかなり個性的。

まずは、ヴォーカルとベースが実の兄弟。兄であるベースの零夜が、メンバーが集まらなかったため仕方なく弟の一葵をヴォーカルに誘うことから全てが始まった。ギターの春は元うどん屋の店長をやっており、ザアザアを結成するために店長を辞任。本人曰く「うどんよりバンドの方がコシがあった」とのこと。ドラムの亞んはプロレスラーを目指していた過去があり、得意技はローリングエルボー。

このメンバーからなるザアザアが、今回〈愛「」〉をテーマにしたミニ・アルバム『愛「」』をリリースすることとなった。幅広い楽曲で彩られた〈お話〉はそれぞれ主人公が違い、憎しみや喪失感などテーマもさまざま。

収録曲は“ビー玉”“オレンジの空”“クローゼットの奥の奥の奥の奥”“夜の性”“ハッピーウェディング”“あなたはきっと浮気してる”の全6曲。リード曲の“クローゼットの奥の奥の奥の奥”は、大切だった人との思い出をいつまでも捨てれずにクローゼットの中に残してしまっている主人公のお話。もうひとつのリード曲となる“ハッピーウェディング”は、過去の恋人の結婚式を目の当たりにした主人公のお話。

今のあなたにぴったりな〈愛の「形」〉はどれでしょうか。