シンガーソングライター、そしてコーラスシンガーとしても活動を続けるRyo Yoshinagaが、初のフルアルバム『Aarre』をリリースした。メロウなシティポップ調の曲がある。90年代R&Bテイストの曲もあるし、エレクトロなサウンドで味付けをした今様R&Bポップもある。軽やかに弾む曲もあるし、深みと広がりを持つバラードもある。そのように多彩な楽曲が収められているが、「私が作りたいのは聴きやすさのあるポップな曲。曲によってテイストは変わっても、とにかく良質なポップスと言えるものを歌っていきたい」と彼女は言う。そう、まさしくここにあるのは良質で、高質とも言えるポップスだ。全ての詞曲をRyo Yoshinagaが書き、アレンジをスガ シカオやFurui Rihoらのライブや作品に関与するキーボーディストのハナブサユウキが担当。ボーカル表現の個性と魅力も大いに伝わってくるこのアルバムの制作に入るまで、彼女はどのような道を歩いてきたのか。そしてどんな思いで制作に臨み、楽曲に何を込めたのか。じっくり話を聞いた。

Ryo Yoshinaga 『Aarre』 Ryo Yoshinaga(2024)

 

素晴らしい仲間と良質なポップアルバムをようやく作れた満足感

――2024年10月2日に『Aarre』がリリースされました。Ryoさんのボーカルの個性と魅力が様々なタイプの楽曲から伝わってくる、クオリティの高いポップスアルバムだと思います。今どんな気持ちですか?

「私はけっこう長く活動させていただいていて、ライブに来てくださる方にはコロナ禍前から〈アルバム出します〉と言っていたんですけど、コロナ禍で活動ができなくなって、明けてからもそれまでのように活動ができなかったんです。

そういう時期を経てアルバムを作ることができたので、〈やっと〉という思いがあります。時間はかかりましたけど、一緒に音楽を作ってくれる仲間ができたし、CDは例えばタワーレコードさんが店舗によってはコーナーで展開してくださっていて。

昔のようにガムシャラにやるだけだったら、こういう作り方や届け方はできなかったので、なるべくして今のタイミングになったんだ、これも運命だったんだと思っています」

――満足のいく1stアルバムができたということですね。

「はい。曲作りは好きで、こういう曲を作りたいというイメージもいっぱいあったんですけど、今までは頭のなかで鳴っている音をうまく形にできずにいました。高いクオリティの作品にするにはどうしたらいいのかわからなかったし、活動自体、どのようにしていけばいいのかわからなかったところもあったんです。

でも素晴らしい仲間と出会うことができて、以前は作れなかった曲を作ることもできた。私はまだ知名度も低いですけど、これからいろんな人に聴いてもらいたいという気持ちが強いですし、そのための良質なポップスを集めたアルバムができたという満足感でいっぱいです」