夏 × 音楽=青春
[緊急ワイド]サマームード2014、または未来の思い出

フェスが楽しみだという人も、おうちが一番のぜいたくだという人も、何も変わらず季節をやり過ごすという人も、好きなことを好きに楽しんで普通に生きるのが素敵な選択肢!! そのとき、こんな音楽があれば……とかとか。

 

 昨年11月にリリースされたShiggy Jr.のファースト・ミニ・アルバム『Shiggy Jr. is not a child』は結構な衝撃を秘めた作品だった。むちゃくちゃキャッチーなポップ・ミュージックが至極あっけらかんと成立している様に驚きとフレッシュネスを感じたのだ。しかも、その瑞々しくも練り込まれたポップスを鳴らしているのは、結成からいまだ2年未満という若きインディー・バンドだったのである。

 「もともとポップ・ミュージックが作りたくて、バンドを組む前からaikoとかを聴いては、どうしたらこういうものができるんだろうって。J-PopとかK-Popが好きだし、洋楽でも売れているものばかり聴いているんですよ。ジャミロクワイとかスティーヴィー・ワンダーとか」(原田茂幸、ギター/コーラス)。

 「だから狙ってこういうバンドになったわけじゃないんですよね。ライヴを始めたら周りはロック・バンドばかりで、ポップな曲ばかりやるバンドっていないなってようやく気づいて」(池田智子、ヴォーカル)。

2013年作『Shiggy Jr. is not a child』収録曲“Saturday night to Sunday morning”

 そんな彼らが半年ちょっとのインターヴァルで、早くも2枚目のミニ・アルバム『LISTEN TO THE MUSIC』を完成させた。「夏に出すので、夏らしい作品にしたかった」(原田)という本作では、表題曲をはじめとする多くの楽曲でエレクトロニックかつダンサブルなビートをフィーチャー。アッパーな音使いで、聴き手の耳をがっちり捉えるポップネスをさらに強化させている。

 「ケイティ・ペリーをプロデュースしてるドクター・ルークとかマルーン5とかが好きで、彼らの打ち込みと生楽器を混ぜる作り方に影響を受けているんですよね。ただ今回は僕がガシガシ打ち込みして、ほぼ完成型まで自分ひとりで作りました。かっちりまとまったものを作りたかったし、そのためにはこういうやり方が良かったので」(原田)。

Shiggy Jr. 『LISTEN TO THE MUSIC』 mona(2014)

 DJ WILDPARTYによるリミックスも収めるなどダンス・チューンが並ぶ一方で、オールドタイミーなソウル・ポップ“day trip”や、90年代R&Bタッチのメロウな“baby I love you”といったナンバーも収録。バンド・サウンドに囚われない多彩なアレンジメントを詰め込み、振り幅の広いポップ・アルバムに仕立てている。

 「今回はライヴで再現できるかはとりあえず横に置いて作ったんです。だからこそいろんなことができたし、前のアルバムとは違ったものになったんじゃないかと思います。この曲たちをどうライヴでやろうかっていま考えているところなんですよね。まあ、私は変わらず歌うだけだから、みんながんばれって(笑)」(池田)

 ウェルメイドでありながらJ-Popのど真ん中を行くようなポピュラリティーを備えているところが、Shiggy Jr.のいちばんの個性だし、たとえば(池田が作品に参加してもいる)tofubeatsとも共通する新しさだと思う。アイドル・ソングともクラブ・ミュージックとも並列で聴けちゃうそのサウンドは、これからさらに広いリスナー層を獲得していくに違いない。

 「いつも流行っている音を採り入れていきたいって思っていて、そういう意味でSMAPみたいにやりたいねって。ああいうことをバンドでやれたらいいなって思います」(池田)。

 

▼関連作品
左から、Shiggy Jr.の2013年のミニ・アルバム『Shiggy Jr. is not a child.』(mona)、ケイティ・ペリーの2013年作『Prism』(Capitol)、マルーン5の2012年作『Overexposed』(Octone/A&M)、DJ WILDPARTYの2013年のミックスCD『VERSUS』(KSR)、池田智子がコーラスで参加したtofubeatsの2014年のEP『ディスコの神様』(unBORDE)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ